思い返せば、小説や短編が映像化されるときに起こることの多くは似通っているけれど、
西邑の作風には独特の挑戦とチャンスが混在していると感じる。まず権利関係がクリアであること、続いて原作の世界観を映像でどう表現するかという監督や制作陣のセンス次第で、可能性は大きく変わる。たとえば過去に原作の濃密な人間ドラマが成功した例として'鋼の錬金術師'のアニメ化を思い出すと、原作のテーマを丁寧に拾い上げる意思が重要だと実感する。
そのうえで人気や話題性、制作会社の狙いも鍵を握る。商業的に動くか、配信プラットフォームが積極的か、プロデューサーが熱を持つか――こうした要素が揃えば、アニメ化や映画化の話は現実味を帯びる。私はファンとして、原作の持つ独特な語り口や登場人物の細やかな心理描写が大切にされるプロジェクトであってほしいと願っているし、適切なクリエイターが関われば映像化のチャンスは十分あると思う。