意外と魔王軍の“起源”をしっかり描いている作品ってジャンルごとに色が違って、読む側の好みによって刺さるところが変わるんだよね。古典的な神話寄りの深い起源が知りたければ、まずは『ロード・オブ・ザ・リング』とその補完書である『シルマリルの物語』に当たるのが王道だと思う。ここでは“悪の根源”や
堕落した存在がどのようにして勢力を築いたか、種族の生成と堕落の過程が神話的に描かれていて、魔王や魔王に従う軍勢の成り立ちを壮大に理解できる。トールキンの世界観は、後の多くの創作に大きな影響を与えているから、元ネタ的な発想を知るには最適だよ。
一方でゲームや
ラノベ系だと、魔王軍の“社会的・政治的”な起源を丁寧に描く作品が面白い。たとえば『転生したらスライムだった件』は、モンスター同士の連合や国家形成、魔王たちがどう勢力を拡大していったかを細かく描写していて、魔王軍が単なる敵集団ではなく「国」や「組織」になる過程がリアルに伝わってくる。似た方向性で現代ファンタジーの代表格である『オーバーロード』は、主人公側から見た“組織化された魔王級の軍隊の成り立ち”と運用術が詳しく、指揮系統や策略、軍団文化の描き方が勉強になる。
ダークで哲学的な起源を知りたいなら『真・女神転生』シリーズや『ダークソウル』シリーズがおすすめ。『真・女神転生』は悪魔学や宗教的対立をベースに、魔王や悪魔たちがどのようにして人間界に影響を与え、勢力を築くかという“背景理論”を掘り下げる。一方『ダークソウル』は、歴史の循環や火と闇の概念が重要で、軍団というよりは瘴気や瘴流として広がる“存在のあり方”から魔王的な勢力の成り立ちを示唆する。どちらも説明的ではなく、断片から組み立てる愉しさがある。
作品を選ぶ基準としては、「神話的な起源を知りたいなら『シルマリルの物語』系」「国家や組織としての魔王軍が見たいなら『転スラ』『オーバーロード』」「暗く哲学的な成り立ちが好みなら『真・女神転生』『ダークソウル』」という区分けが自分にはしっくりきた。あとは好みに合わせて、古典→現代ファンタジー→
ダークファンタジーの順に触れていくと、魔王軍という概念がどう変遷してきたかがよく見えるよ。どの作品にも独特の味わいがあって、それぞれ違う視点から“起源”を楽しめるのが創作の面白いところだと感じている。