あなたの優しさに、終わりを告げた日早瀬淳弥(はやせ じゅんや)と付き合い始めて八年目、私たちはついに婚約を交わした。
その夜、彼は会社に泊まり、酔いつぶれて帰ってこなかった。
真夜中、私は、彼の酔いが少しでも冷めるようにと、温かい飲み物の入ったポットを手に会社を訪れた。
――けれど、そこで耳にしたのは、彼が隣に座る美しい女性部下に向けて放った、あまりにも冷たい言葉だった。
「あいつは、お前みたいに向上心があるわけじゃない……一生、あんなもんだろうよ。
でもまあ、八年も一緒にいたからね。プロポーズなんて、正直、成り行きみたいなものさ」
長い時間を経て、ようやく結ばれたのだと信じていた。
けれどそれは、彼の情けによる「施し」でしかなかった。
私は手にしていたポットを静かに床へ捨て、その場で婚約を破棄した。
それからしばらくして――
雪が降りしきる中、玄関先に立ち尽くす淳弥は、荒れた声でこう言った。
「夏希(なつき)……俺が間違っていた、後悔している」