銀鱗の表現は照り返しと重なりのバランスが命だと考えている。
描くときはまずスケール一枚一枚の輪郭を意識して、面の向きを揃えることから入る。ハイライトは一点でキラッとさせるのではなく、流線上に沿って小さな光の筋を連続させると自然に見える。僕はよく、硬質な金属質と有機的な肌感の中間を狙うために、明暗差のレンジを広めに取ってから細部の反射を少しずつ足していく。
衣装で再現する場合は、ベースに柔らかい布を使って可動域を確保し、その上に薄いスケールを重ねる方法が使いやすい。重なりの角度を一定にせず、ランダムに振ると光の散り方に自然さが出る。製作中は必ず全身を動かして、鱗が引っかかったり音が出たりしないか確認するのが僕の習慣だ。
自然界の鱗の参考にするなら、たとえば'もののけ姫'の生物表現のように、質感と動きの両立に注目するとヒントが見つかる。最終的には光の捉え方と物理的な重なりを同時に考えることが、絵でも衣装でも説得力を生むと感じている。