僕は『Requiem for Strings』を何度も繰り返し聴いて、たけみつの和声感覚が西洋の機能和声とは別の論理で働いていることに気づいた。音が並ぶ理由を即座に分析しようとすると、作品の本質を見落としがちになる。代わりに、和音の持つ色や持続、消えるまでの時間を追いかけてみると、深い感情や祈りのようなものが伝わってくる。
拙い耳でじっと聴き続けると、『A Flock Descends into the Pentagonal Garden』のような室内楽でこそたけみつの手法がクリアに見えてくる。音の立ち上がりや消え方、楽器同士が互いに触れ合う瞬間に目を向けると、彼の作曲上の意図が浮かび上がる。僕はその作品で、楽器群があたかも空間を歩き回るように動く感覚を受け取った。