馬丁のような素朴で人間味あふれるキャラクターを探しているなら、『天地明察』のオーディオブック版が一番しっくりくるかもしれない。
渋川
春海という実在の天文暦学者を描いたこの作品には、彼を支える名もなき庶民たちの存在が欠かせない。特に
市井の算術好きや町の大工たちが、時に滑稽に、時に真摯に主人公と関わる様子は、馬丁の持つ庶民的で温かみのある魅力に通じるものがある。ナレーションの語り口も非常に臨場感があり、江戸の町の息遣いが聞こえてくるようだ。
現代ものでは『舟を編む』の辞書編集部のアルバイトたちも忘れがたい存在。地味ながら編集作業を支える彼らの会話からは、日々の小さな発見の喜びが伝わってくる。