壊れた約束、消えた未来
秘密の結婚生活、八年目。
深水智彦(ふかみ ともひこ)は、アシスタントの笑顔が見たい一心で、江市のすべてのLEDスクリーンを輝かせる。
祝福の声が響く中、そのアシスタントは進んでオフィスの皆に手土産を配る。
私はそれを手に取ると、何の感情もなくゴミ箱に放り込む。
すると彼女は、涙を浮かべてすぐに智彦のオフィスに駆け込み、告げ口をする。
間もなくして、智彦は怒りをあらわにし、私の職務を停止する。
会社のビルを出ると、最上階のスピーカーから智彦の声が響いてくる。
「黒川美緒(くろかわ みお)ちゃんの仕事完了を祝って、ポチ袋の準備は完了」
黒川美緒、それが、あのアシスタントの名前。
我先にと私の横をすり抜けていく人々を見ながら、私は淡々と智彦とのすべての連絡を絶つ。
誰にも知られることのなかったこの結婚は、そろそろ終わりにすべき時だ。