「やっべ。火サスみてーに、ついペラペラしゃべっちまった。なんせ、こんなに人と話すのは二年半ぶりなもんで」
「ヒマワリ。大変だったね」「ああ。泣けるよ」 ヒマワリが食べ終わったドカ盛り白桃ゼリーの容器を部屋の隅のゴミ箱にシュートした。キレーな放物線を描いて、町長室を斜めに横切って、壁にかかったおもちゃのゴールボードにあたってゴミ箱に吸い込まれた。「よっしゃ!」 やった!(小声)「ま、レイカが殺人鬼云々の話は、お前を陥れるポンチ絵だ」(「チョーくん。このパワポにシステム構成のポンチ絵入れといてくれる?」)(「ササマダラが。シラベだっつーの。いーかげん人の名前くらいちゃんと覚えろよ。ねーねー、ユメカ。ポンチエってなに? おいしーの」)(「ばっか、レイカ。図面のことだよ。ササマダラは、わざとあーいうの。貫禄出そーと思ってか」)(「ばっかじゃなーい」)(「ねー。若いくせに」)「誰がウチを陥れたの?」「レイカのボケは全然治ってねーな。ハナゲオヤジに決まってるだろ」「町長がなんで?」「そりゃ、保身だよ。保身。ゲームで儲けようってのはよかったんだけど、やりすぎて辻沢のヴァンパイアに手を出したのがまずかった。それで皆さんがお怒りになってて、誰かを犠牲にしなけりゃ収まらなくなってる。あのマダラはげ、アー見えて小心者でよ」 あー、なんか分かる。自信なさそーな感じ。何かにすがってなきゃやってられない感じ。「ほれ、ここにカメラ、これもそうだ。あっちの棚の上にも。この名札には隠しマイクだ。あーあー、ただいまテストのマイクちゅー」 隠しカメラだらけの部屋なんだ。「こうやって逐一監視しないと落ち着かないらしい。ま、小心者ゆえの猿知恵と行動力はたいしたもんだがな」 そなの?「シオネが行方不明になった時、すぐさまウチを行方不明にさせた、とかな」「シオネが行方不明になった時? ヒマワリを? 逆だよ、順番」「それが逆じゃないんだな。シオネは、ウチの捜索願が出される前に、すでに行方不明になってて、非公開捜査状態だった。それを助役とい