私は、幸助さんの『特別』になりたかった。ありがとうと心の底から微笑み、優しい瞳で受け入れられたかった。幸助さんにありがとうと言われたことを想像すると心が温かくなる。自分がしたことに、嬉しそうに相手が反応してくれることで幸せな気持ちになる。
幸助さんに望んでいたはずなのに、いざ自分が受け止る側になると『ありがとう』という言葉が出てこなかった。ルシアンの言葉は、私の孤独だった時の心を思い出させた。そして、愛情をもって接してくれている王子たちに無礼な態度を返している自分を恥じた。
「葵がこの前好んで食べていたフルーツをまた取り寄せたんだ。今日一緒に食べないか。」
この日もサラリオが私の様子を伺いに部屋に来てくれた。私はいつも小さく微笑むだけなので、サラリオは話が終わると部屋を出ようとしていた。
「サ、サラリオ様。フルーツも、いつもこうして気にかけてくださることもとても嬉しいです。あ、あの……ありがとうございます。」
整った顔立ちと澄んだ綺麗な碧い瞳をまっすぐ見るのは照れてしまいいつもは顔を合わせられなかったが、今日はドキドキしながらも背の高いサラリオの目を見るために顔を上げて瞳を逸らさず思いを告げた。
「え、あ、ああ……どうしたんだ急に」
サラリオは口元を手で隠し目を逸らした。いつもの私がするような仕草を今日はサラリオがしてる。
「普段、たくさんのご好意