家のために政略結婚したが夫から全く相手にされなかった私が、伝説の〇〇として寵愛の国に転生? 「夫の成功のために尽くすのが女の幸せ」そう教育されてきたのに、夫には想い人がいて迷惑がられる日々。途方に暮れていると滝の激流に吸い込まれタイムスリップ。行きついた先は、 なんと女性に尽くす『寵愛の国』。 私が溺愛!?戸惑う姿が謙虚でほかの女性にはない魅力となりに王子たちの極上な溺愛甘々合戦勃発!金髪慧眼王子たちから甘すぎる言葉に毎日気絶寸前!そして、葵の転生は神話にぴったり。やがて自分の役割を自覚する。『尽くす』行為の行きつく先は?国を動かす壮大な恋愛ファンタジー。
View More葵side時は少し遡り、国王陛下の王宮から戻ってきたその日の夜、私はサラリオ様の部屋へと向かった。いつもは、サラリオ様から尋ねてきてくれるため私から部屋に夜の時間帯に出向くのは、恋仲になってからは初めての事だった。コンコンッ――――「サラリオ様、葵です。」そういうとゆっくりと扉を開けて、中に招き入れてくれた。そして、入った瞬間すぐに力強く抱きしめてきた。「サラリオ、様?」「葵、すまなかった。葵に怖く、嫌な思いをさせてしまった。葵のことを守ると決めたのに国王陛下だからと安心して油断していたよ。本当に申し訳ない」サラリオ様の苦しそうに歪んだ顔を見ていると胸が苦しくなった。私はサラリオ様の手を掴み、胸の前で両手でやさしく握った。「サラリオ様のせいではありません。もう自分を責めるのはやめてください。」その言葉
アンナ王女side「ええ!?ルシアン様が来月、ゼフィリア王国を訪問するですって!?」庭園でお茶を飲んでいた私の元に届いた吉報に、私は椅子から立ち上がり、叫ぶように繰り返した。「アンナ、興奮し過ぎよ。落ち着きなさい。」「お姉ちゃん、喜び過ぎだってば~!」姉や妹から何を言われても気にしなかった。だって、だって……あの愛しのルシアン様とまた会えるのだもの。こんなに嬉しいことはない。私の心臓は、まるで鈴のように軽やかに鳴り響き、全身の血が熱を帯びていくようだった。「あー待ち遠しいわ。でも、来月ってもうすぐじゃない!!!」私はルシアン様との再会を想像して、一人、顔を赤くしながらも頬を緩ませていた。「はあ、ルシアン様が来る前に綺麗なドレスを用意して、あとは運動もして少しでも綺麗と思ってもらえるように頑張らなくちゃ。」慌ただしく感情が変わる私を見て、姉妹だけではなく侍女たちも楽しそうに笑っていた。「アンナ様、なんだかとても楽しそうですね」
「兄さん、医療の学校創設は一年ではとても間に合わないよ。学校とまではいかなくとも、侍女たちが薬草の知識を身に着けるなど、身近な範囲でやって地道に広めるしかない。ここまで来たら、葵の存在を隠さず国民の支持を得るためにお茶会で貴婦人たちに葵がレクチャーするのはどうかな?」キリアンがそう告げると、サラリオは頷いていた。「そうだな。時間が気になっていた。国民を味方につけるということか……それも一手かもしれないな。やってみよう。」「あと、最終的な判断を下すのはゼフィリア国王陛下だ。ゼフィリア王国が今、何を問題として本当に求めているものや課題が分かれば、葵とは関係なく友好関係を築くことができるんじゃないかな。兄さん、僕と一緒に一度、ゼフィリア王国に訪問してみない?」ルシアンがサラリオ様を見ながら提案する。その瞳には、何か考えがあるようだった。こうして、私とキリアンは医療の発展のため、ルシアンはゼフィリア王国との友好関係を強固にするために動き出すことにした。サラリオ様は、この計画を無事遂行するために総指揮を執る。その間、サラリオ様がやっていた任務をアゼルが代理で務めることとなった。私をゼフィリア王国へは行かせない、と四人の王子たちが口を揃えて言ってくれたことに、私の涙は止まらなかった。私自身も約束の一年までに全力を尽くすことを心に決め、私たちは動き出した。この国に、そしてサラリオ様に、私のできる限りの恩返しをしたい。そして何よりも、この愛
「え?父上が、ゼフィリア国王陛下に葵を引き渡す密約していた?葵に会いたいと言ったのは引き渡すための罠だった、だって?」王宮の一室で、サラリオ様は、父である国王陛下がゼフィリア国王と交わした密約について、アゼル、ルシアン、キリアンの三人に説明した。彼らの表情は、一様に驚きと動揺で固まっていた。「ああ、そうだ。葵を引き渡したら、貿易量増加とバギーニャ王国の通貨の価値を引き上げると持ち掛けられ、国王陛下はその交渉を飲んだそうだ。」サラリオ様の言葉に、アゼルは感情を隠すことなく憤りを露わにしていた。「何やっているんだよ!!!!」ルシアンとキリアンも、尊敬する父の決断に言葉を失っていた。「まさか……父上がそんな交渉を受けるだなんて。父上は、国民のことを第一優先で考えていて尊敬していたのに。」ルシアンの言葉に、サラリオは静かに答えた。「国民のことを最優先に考えたからこそだろう。葵は、違う国からやってきた人間だ。ここで暮らしていても『国民』ではない。だからこそ、この地で生まれ育ち懸命に生きる国民のことを考えての決断だと思う。」「でも、そんなことって……。」
「ゼフィリア国王陛下……お願いがあります。私は、女神・葵を引き渡したくありません。どうか、どうか私に少し時間を頂けないでしょうか。」私は、絶望的な状況の中で、最後の望みをかけてゼフィリア国王に懇願した。「時間を与えて、一体何が出来るというのだね。」ゼフィリア国王の冷徹な声に、私の心は一瞬怯んだ。しかし、葵の震える身体を腕に感じ、私は再び決意を固めた。「はい、葵はこの国や周辺国にいる女性とは性質や考え方が大きく違います。周りの女性と同じように扱えば彼女の本来の力は発揮できません。そして、彼女と長く時間を共にした私の元でなら希望と発展を与える真の女神になるでしょう。ここにいて、国を滅ぼすような可能性などありません。」私は、そう力強く断言した。「そして、発展の折にはゼフィリア王国にも十分な恩恵がいくようにします。そのために、どんなことが出来るか知恵を絞らせてください。」「サラリオ!!」父が私に何か言おうとするのをゼフィリア国王が制した。私の言葉には、葵への深い愛と彼女の力を信じる確固たる信念が込められていた。ゼフィリア国王は、その言葉に興味を持ったのか考え込むように黙り込んだ。私は、ただ静かに、彼の次の言葉を待った。そして、しばらくしてから彼は重
父の隣に立つ、ゼフィリア王国の国王陛下はニヤリと笑みを浮かべた。その表情は、私たちがまるで獲物であるかのように、冷たく、そして計算高かった。「いや、バギーニャ王国に『魔法を操る異国の女性』がいると聞いてな。国王陛下に見つけたら連絡して欲しいと言っておいたんだ。その見返りとして、我が国との貿易量増加と祖国の基軸通貨の価値の引き上げを伝えたんだ。この国の『女神様』は、わが国でお世話させてもらうよ。」ゼフィリア国王の言葉に、私はハッとした顔をして父である国王陛下の顔を見た。その目は怒りと失望で滲んでいる。父が話していた「真の危機」とは、隣国との国益を巡る駆け引きであり、その人質として葵が利用されていたのだ。「父上、これが父上が話していた言葉の意味なのですね。」私の声は、怒りで震えていた。「ああ。女神は国を反映させる可能性も、滅びてしまう可能性もある。そんな危険な人物をこの国に置いておくのは危険だ。私が求めるのは、国民の平和と安定した暮らしだ。」父の言葉は、冷たく理性的だった。「だからと言って、国の繁栄のために葵の身柄を引き渡すなんて……人身売買です!」「……そうかもしれないな。しかし、それで全国民の生活が豊かになるのであれば、多少の犠牲はやむを得ない。それに、私はこの女神様がお前と関係を既に持っているなんて知ら
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