異世界行っても引きこもる〜悠々自適な引きこもり人形使いライフ〜

異世界行っても引きこもる〜悠々自適な引きこもり人形使いライフ〜

last updateLast Updated : 2025-07-01
By:  結城 木綿希Updated just now
Language: Japanese
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真の引きこもりたるもの自分の食い扶持くらい家にいながら稼ぐのである。家から出たくないだけで働きたくないわけじゃないからそこんとこ勘違いせんでもろて。え?ここどこ?異世界!?まぁいいやとりあえず引きこもろ。ふむふむ、ここには魔法があるなら魔法使って身代わりを作れば……分身体一号、二号よ!俺の代わりに外で働いてこい!魔法って便利~!

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Chapter 1

#1 死んだっぽい

 俺はどこにでもいる普通の在宅ワーカー。またの名を引きこもり。自室という名の城があるというのにどうしてわざわざ外に出て仕事をせねばならない。誰が何と言おうとサラリーマンになどなるものか!これは俺の自論、それも少々過激なものなのだがあえて言おう。「人生における墓場は就職である」と。

 無職やニート、社会不適合者、親のすねかじり、親不孝者。そんな心ない言葉が耳に入ることだって当然ある。実際自宅に引きこもってはいるし、そういうような世間からの見られ方をするのも承知の上だ。同居中の母には肩身の狭い思いをさせてしまって申し訳ないと思っている。

 だけど、これが俺の生き方だ。極力人との接触を避けて、話すときはいつも端末越し。これが俺だ。この生き方のどこが恥ずかしいというのか。どこに陰口を叩かれるべき要素があるというのか。自ら稼いだ金で家を建て、そこに女手一つで俺を育て上げてくれた母親を呼んで一緒に住む。しかも27歳でだ。引きこもりだから他の人がどうかはわからないがこれでも十分早い方だろう。たぶん……。

 同年代よりしっかり働いているし、親孝行もしている。まぁ孫とかは……うん。それ以外は結構うまくやれているし、陰口を叩かれるのは世の偏見のせいだろう。俺は悪くない。今時自宅で稼ぐ方法などいくらでもあるというのに……。

 「家から出たくないから」と言って働きもしないで引きこもって親にかねをせびるのはダメだとは俺も思う。家から出たくないのなら、家を出なくても仕事ができる仕組みを作ればいい。俺はネットを介してたくさんの人と繋がり、仕事も貰えて生活もできるようになった。その努力も無視してあーだこーだ言いやがって。苦情入れてやろうか。こちとらそれなりに弁護士との伝手もあるんだぞ!

 そんな俺は今、何の因果か真っ白のだだっ広い空間にいた。

「これって、まさか!異世界召喚ってやつー!?」

――告、違います。転生です。

 あ、俺死んだっぽい。

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#1 死んだっぽい
 俺はどこにでもいる普通の在宅ワーカー。またの名を引きこもり。自室という名の城があるというのにどうしてわざわざ外に出て仕事をせねばならない。誰が何と言おうとサラリーマンになどなるものか!これは俺の自論、それも少々過激なものなのだがあえて言おう。「人生における墓場は就職である」と。 無職やニート、社会不適合者、親のすねかじり、親不孝者。そんな心ない言葉が耳に入ることだって当然ある。実際自宅に引きこもってはいるし、そういうような世間からの見られ方をするのも承知の上だ。同居中の母には肩身の狭い思いをさせてしまって申し訳ないと思っている。 だけど、これが俺の生き方だ。極力人との接触を避けて、話すときはいつも端末越し。これが俺だ。この生き方のどこが恥ずかしいというのか。どこに陰口を叩かれるべき要素があるというのか。自ら稼いだ金で家を建て、そこに女手一つで俺を育て上げてくれた母親を呼んで一緒に住む。しかも27歳でだ。引きこもりだから他の人がどうかはわからないがこれでも十分早い方だろう。たぶん……。 同年代よりしっかり働いているし、親孝行もしている。まぁ孫とかは……うん。それ以外は結構うまくやれているし、陰口を叩かれるのは世の偏見のせいだろう。俺は悪くない。今時自宅で稼ぐ方法などいくらでもあるというのに……。 「家から出たくないから」と言って働きもしないで引きこもって親にかねをせびるのはダメだとは俺も思う。家から出たくないのなら、家を出なくても仕事ができる仕組みを作ればいい。俺はネットを介してたくさんの人と繋がり、仕事も貰えて生活もできるようになった。その努力も無視してあーだこーだ言いやがって。苦情入れてやろうか。こちとらそれなりに弁護士との伝手もあるんだぞ! そんな俺は今、何の因果か真っ白のだだっ広い空間にいた。「これって、まさか!異世界召喚ってやつー!?」――告、違います。転生です。 あ、俺死んだっぽい。
last updateLast Updated : 2025-06-03
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#2 お前、何者?
 前回までのあらすじ!引きこもりしてたはずなのに気付いたら真っ白な空間にいて、文字だけのやつにお前はもう死んでいるって言われたんだ!「ひでぶっ!!」――問、茶番は終わりましたか。「人が現実逃避してたってのになんて冷たいやつなんだ!お前の血は何色だァァァァ!あ、こいつ文字だったわ!」――告、説明事項があります。よって、今すぐその無駄にまわる口を閉じなければ私が強制的に口を閉じさせます。「へっ!文字だけのやつに何ができるってんだよ!」――告、黒歴史の暴露を開始します。クールキャラに憧れて意味もなく窓の外を眺めて「ふっ……」と意味ありげに笑う。想い人に偶然を装って接触し、気持ち悪がられる。自作の小説の主人公の必殺技は……「や、やめろォ!わ、わかった!真面目にする!さっきまでのは悪かったと思ってる。だから!だから!」――光《リュミエール》翼《フリューゲル》。「イャァァァァァァァァ!!!!!」――これに懲りたらもう少し真面目に話を……「……シテコロ……シテ……」◇◇――告、もう待てません。真面目に話を聞くか先程の続きをするか選びなさい。 今俺は、無言で土下座をしていた。情けないということなかれ。黒歴史というのは心を深く深く抉る。もう無理ですこれ以上は立ち直れません心が死んでしまいます許してください。そう思いながらする俺渾身のジャンピング土下座。これでダメなら俺は死ぬ。――告、反省の意及び聞く姿勢を確認しました。説明を再開します。 よ、良かったぁ……。でも長くなりそうだからこれだけは先に聞いておかねば。 「先に一つ質問してもよろしいでしょうか。」――告、許可します。「今更なんだけどさ……お前、何者?」 いや、だって気になるじゃん!自分に死を告げ転生を示唆する存在だよ?――解、私はただの応答システムなため個体名がありません。ですので好きなようにお呼びください。 名前がないのか、ふっふっふ……俺のネーミングセンスが火を吹くぜ!俺のネーミングセンスが良すぎて他の人が名前を付ける機会を奪っちゃうから名付けへの参加させてもらえてなかったけど?まぁ?殿堂入りみたいな感じだし?「ふーん、名前ないんだ。名無し……ななし……なな……ナナって呼ぶわ。あ、話止めて悪かったな。話の続きを頼む。」 毎回ビシッと名付けてみんな俺のセンス良すぎて言葉失ってた
last updateLast Updated : 2025-06-04
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#3 僕の名前はセリヌンティウス
――かくかくしかじかです。「いや、かくかくしかじかで伝わるわけk……頭痛っ!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」 意識が遠の……k……◇◇  んな雑なと思われるだろうが尺の節約のためだ。長々説明してもだれるのだ。で、脳にダイレクトにぶち込まれた情報によると『転生するよーこの記憶も残るよー魔力の存在するファレンツィアって世界だよー理論上不可能はないから頑張ってみてねーということだ。』 いや、にしてもマジで頭痛いな……。そしてここはお腹の中だ。まだちょっと頭痛いし寝よ。おやすみなさ〜い。◇◇とある日の貴族家 「メイリー、体調の方は大丈夫かい?」 この家の当主であるリオネルは心配そうに妻であるメイリーに問うた。いかに第二子で多少は慣れているとはいえ心配なことに変わりはないのだろう。 「大丈夫よ、貴方が手配してくれた治癒魔法士のおかげね。お医者様はもうすぐ産まれるって言っていたし楽しみだわ。無事に産まれてくれるといいのだけれど。」「そうだね、どんな子に育つかなぁ。」「きっと貴方みたいに強くて賢い子よ。でも、魔法にも興味を持ってくれると嬉しいわね。ウィル君はあんまり魔法には興味がないようだし……。」「僕みたいな剣士になりたいって言ってくれるといいなぁ〜。ウィルには嫡男としてもう少し魔法を使えるようになってもらいたいんだがなぁ。あいつは少し脳筋すぎるというか……。」「あ、そういえばお腹の子の名前ってどうするの?」「それはもう決めているよ。王宮占星術師長殿にも相談して決めたんだ。」 王宮占星術師、それはこの国の占星術師の最高峰。そんな精鋭たちのトップである占星術師長は術で十数年先の災いまで見通し、王に的確な助言をする賢者として国政を支え続けていた。要するに息子の名前の相談なんてしてんじゃねぇ!ということである。職権乱用、ダメ!絶対! 「それなら安心ね。ほら、貴方のネーミングセンスってその……独特というか個性的というか……。」 そこにツッコミをせずに「それなら安心ね」というあたりある意味お似合い夫婦と言えるのかもしれない。ちなみにリオネルは犬(?)にセリヌンティウスと名前を付けるタイプの男である。彼の名誉のために言っておくと、彼は別に自分のペットの犬(?)を身代わりにして妹の結婚式に出席したりしていない。彼の犬(?)は磔の刑に処されるこ
last updateLast Updated : 2025-06-04
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#4 天上天下うんたらかんたら
 我、爆誕☆ え?ちょっと待って!滑った!?マジで!嘘でしょ!渾身のボケなのに…… 右手で天井指さして、左手を地面指さしてっと。い、いくぞ?言っちゃうぞ?ほ、ほんとに言うからな!すぅぅぅぅぅーはぁぁぁぁぁ……よし!「|天上天下《てんちょうてんちぇ》……う、うんたりゃかんちゃら!」 後半忘れた!てかあれだっけ?何歩か歩いてから言うんだっけ?あぁー!こんなことならしっかり調べとけば良かった!まぁ別に悟りを開く予定があるわけでもないしいいや。「天才だぁ!まだ産まれたばかりのなのに言葉を喋って何かを伝えようとしているぞ!メイリー!メイリー!僕らの子は天才みたいだ!」 そんなこんなでクソどうでもいいことを考えている間にも時間は流れていく。ちゃんと時間が流れているはずなのに頭なでなでが終わらない。今世のお母様?お父様?禿げちゃうのでそろそろ終わりにしてください。え?ほんとに時間流れてる?同じ時間を繰り返してたりしない?動画の最初と終わりを上手いこと繋げたショート動画みたいになってない?大丈夫そ?「そうね、貴方!こんなに賢い子なんだもの!きっと立派な魔法使いになるわ!魔法書を読み聞かせしてみようかしら!」 さて、こうして無事産まれたわけだが……よくあるテンプレ小説なら必死に身体を動かせるようにしたり魔法を使うための特訓をするんだろう。だが、俺は違う。成長障害のリスクを無視するわけにはいかないからだ。俺はイヤだぞ!低身長のままは!避けられるリスクはきちんと避ける。これが異世界生活の常識だ。「それはいい!僕は兵法書を読み聞かせようか……。いや、魔物図鑑の方がいいだろうか……。」「何言ってるの?貴方はお仕事で忙しいでしょうし読み聞かせは私がやります!」 この命が前世に比べて軽い世界では少しの油断が命取りになるのだ。ゲームと違って死んだらそれまでなのだ。謙虚堅実に、かつ最高効率で強くなる。弱さは罪なのだから。今何ができるかを常に考え続けなければならない。それがこの世界で生きるということなのだ。「いや、でも……」「いやもでももありません!この子産まれる時にあたふたしていたせいで溜まった仕事もまだあるんでしょ?」  話は戻るがこの貧弱な身体でなにをすべきかなのだが……結論から言うと『勉強』だ。「わかった……仕事してくるよ。可愛い可愛い僕たちのミシェル。執務室
last updateLast Updated : 2025-06-05
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#5 █████の手記
 この世界最大規模の宗教であるスクラーヴェ教。その始まりは荒野であったと記録されている。その場所に降り立ち瞬く間に緑豊かな森林へと変えた一柱の神こそがスクラーヴェ神であった。「貴方様のお名前をお聞かせ願えないでしょうか」と現場に偶然立ち会った青年がお尋ねしたところ神は「僕?僕は……Sklave。僕は神スクラーヴェ。しがない神界の██だよ。」とお答えくださったと。 一部の者にのみ伝わる口伝によると神は死んだ目で「はぁ……休み欲しいなぁ。あんのクソ母神どもトンズラしやがって!次見かけたら殴る!絶対殴る。十中八九勝てないけど殴る。消滅させられるかもしれないけど一発殴らないと気が済まねぇ!」とも仰られていたとか。まぁ、本当に仰られていたかは眉唾ものだが。 そんなスクラーヴェ教の総本山である聖スクヴェニア教国の大聖堂には世界の成り立ちが記されているとされる聖典が保管されている。これはその原典の一部である。◇◇ ██歴 xxxx年 僕は母神であるか███の雑用を担当する神として生み出された。無茶ぶりばかり正直こんな仕事やってられるかと投げ出そうと思ったことは数えるのも馬鹿らしくなるほどある。でも、僕が自分の仕事をこなさなければ下の者達に迷惑をかける。僕にも部下はいる。でも彼らに無茶ぶりはしたくない。これは僕のプライドの問題だ。僕が……僕がやるしかない。僕にしかできない。僕以外にやる神がいない。██歴 xxxx年 母神が世界を創造した。まだ何もない空間だけどこれからどんな世界になるんだろう。愛すべき小さきものたちはどんな道を歩むんだろう。楽しみでしょうがない。いつか彼らと対話できる日がくることを楽しみに今の仕事を頑張ろう。最近他の神がほとんど仕事をしていない気がする。その分の仕事が僕らに回ってくる。僕らのことを奴隷かなにかと勘違いしてるんだろうか。これでは僕らの負担が大きすぎる。僕はともかく部下たちにこれ以上無理をさせる訳には……上には報告をしたけど動いてくれるかは分からない。音沙汰があるまでは僕が肩代わりして頑張ろう。ハハッ……これが異界で言うところの社畜ってやつか。██歴xxxx年 あれから音沙汰は一切ない。もう2万年は待った。しょうがない横壁破りだけど直接言いに行こう。きっと直接話せば分かってくれるはずだ。大丈夫大丈夫きっと全部上手くいく。██歴xx
last updateLast Updated : 2025-06-05
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#6 必殺きゅるるんスマイル
 こちらミシェル。現在邸宅の書庫にメイド一人を人質に潜伏中。なお、人質のメイドは俺のきゅるるんスマイルの前に陥落済みだ。ふっふっふっふ……勝ったな。 ◇◇  私の名前はアナスタシア。ミシェル様付きのメイドです。14歳で専属メイドですからね。私はこう見えてエリートというやつなのです。そんな私ですが、この度初めての大失態というやつを犯してしまいました。ミシェル様のきゅるるんスマイルと上目遣いのおねだりに負けて抱き抱えたまま書庫まで連れてきてしまいました。私は悪いメイドです。  拙いながらも必死におねだりするご様子に心が揺らぎつつも心を鬼にして一度はお断りしたのです。ですが、断った私を見てミシェル様は酷く気落ちしたご様子で……。私にはそんなミシェル様を前にして意志を突き通すことなどできませんでした。  思わず零れたよだれをハンカチで拭い、鼻血は理性で耐えてミシェル様を書庫までお連れしたのです。ミシェル様の幼子特有のぷにぷにボディ、たまんないです。食べちゃいたいです。今なら誰も見ていませんし……でもバレたら物理的に首が飛びますし。でもそれが原因で首が飛ぶなら本望。いやいやいや、真のショタコンたるもの「YES ショタ NO タッチ」を遵守せねばなりません。  女の道、メイドの道を逸れたとしても人の道を踏み外すわけにはいきません!ここが正念場ですよアナスタシア。今ここで示してみせようじゃありませんか!私の!ショタンコン道を!  それにしてもウッキウキで魔導書読んでるじゃないですか!可愛すぎます。無邪気な笑顔に脳が溶けて理性が飛んじゃいそうです。これは強敵ですね。わ、悪い顔をしてらっしゃる!これもう私のこと誘ってません?いやいやいや!無邪気さという名のチャームが振り撒かれてるせいで赤ちゃんに誘われている幻覚を見ていたようですね。私はもうここまでみたいです。かくなる上は自分を絞め落として物理的に煩悩を消すしか……。 ◇◇  魔導書読むのめっちゃ楽しい!こういう知識を蓄えとけばいざ魔法を勉強する時に役立つんだろうな。こういう技術は座学も大事なのも分かるんだけど、これからってところで座学入るとモヤるからね。こういうのは予習しておくに限る。  伝記とかもハイファンタジーのラノベみたいで面白い!神話の本もめっちゃ面白い!実際に神様が存在する世界みたいだし神話も多少脚色さ
last updateLast Updated : 2025-06-06
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#7 脳筋には無理ですね
 どうも、メイドさんたちのアイドルやってるミシェルくんです。僕は罪悪感に苛まれています。もういっそ僕を怒って欲しい。代わりにアーシャが怒られてるのが辛すぎる。たしかにアーシャは僕のおねだりにすぐ陥落したし変質者みたいな目で僕を目詰めていたけど僕の脱走に関しては僕の指示に従ってただけだし……。  いや、なんかアーシャが怒られてるの自業自得な気がしてきた。赤ちゃんが部屋の外に行きたそうにしてても上手くあやして落ち着かせるのが専属メイドの仕事なわけだしね。それに変質者になってたことに関してはそれだけで自重しろってお説教されるような案件だしね。まぁお父様とお母様の心の安寧のためにもしばらくは大人しくしていますかね。さてと…… 「あーさ!まほうのごほんちょーだい!」  ちゃーんと大人しくベビーベッドからおねだりする僕ってちょー偉い。夜はお母様が読んでくれるんだけど正直頭に入ってかないからね。赤ちゃんブレインじゃちょっと眠気に耐えられないからね。お勉強はお昼にするのだ。お父様が寂しそうだけどそこは大人として頑張って働いてていただきたい。もう少し大きくなったらお父様みたいに剣でかっこよく戦いたい!って言ってあげるからね!ちょっと待っててクレメンス。 「はい!少しお待ちください今お持ちいたします!」  今日もアーシャは元気いっぱいだね!良きかな良きかな。ショタコンの気があるのが難点ではあるんだけど、彼女はなんか犬っぽくて可愛いんだよね。頭を撫でてあげたくなる。  あ、そうそう魔力の使い方がわかったんだよね!身体強化は自らの身体を知って強化された後を詳細にイメージする必要がある。あの本の作者さんって誰なんだろう。なんか前衛に対する悪意をすごい感じる。脳筋な人に何かされたんだろうか……されたんだろうな。 盾の後ろに隠れてコソコソ遠くから攻撃することしか出来ない卑怯者とやらの我々にできる身体強化が勇猛果敢な前衛の貴方たちに出来ないはずがないですよね?きっと簡単に出来ますよね?いつも体を張って戦って自分の身体を熟知してらっしゃるはずですし?余裕ですよね?こんな基礎魔法の発動なんて猿でもできますよ。  うわぁぁぁ……あるんだなぁこういうのってどこにでも。前線で戦ってるプライドってのは厄介そうだなぁ。まぁ僕が出会うことはないんですけどね!引きこもりだし。それに両方できた方がかっ
last updateLast Updated : 2025-06-07
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#8 猿でもわかる魔法学
『猿でもわかる魔法学』【はじめに】 この本は猿でもわかるように噛み砕いて説明していますが、理解できるかと実践できるかは別のお話です。わかりやすくなってはいるもののこの本は魔法学の専門書です。わかったからやってみようと、そこら辺の猿のように短絡的な思考で実践に移ると絶対に失敗します。ミスれば余裕で身体が壊れます。最悪の場合、周囲に被害をまき散らしながら爆散します。絶対に指導者のいない状況での実践はやめましょう。早死なんて、したくはないでしょう? 怖っ。でもそうだよね。魔法っていう超常の力を扱うんだからこのくらい慎重であるべきだよな。お母様に教えてもらうつもりだったけど、これはちゃんとした指導者さんを雇ってもらうべきかもな。なんか抜けてるお母様に習うのちょっと怖い。それにあの人教えるの下手そうだし。 グッとしてバーンだよとか真面目な顔して言ってきそう。違う違うそうじゃないの!キュッ!バーン!じゃなくてグワッ!てしてズドーンだから!とか言われたらどうしよう。僕、一桁歳にしてグレるかもしれない。続き読もっと。【魔力入門】 空気中に存在する純粋なエネルギー体である魔素を仮想の臓器である魔臓に取り込み使いやすい形にしたもの。魔臓の性能がそのまま魔法士としての能力である。魔臓は魔物でいるところの魔石にあたる。【魔法入門】 魔力を用いて理に干渉する技術であり、小さいものなら指先に火を灯すもの。大きいものになると時間を操るものまである。当然、干渉する規模が小さいほど魔力の消費は減る。そのため、水辺での水魔法は魔力消費が少ない。また、発動補助のための道具なども存在する。それが魔杖である。指輪型やネックレス型などいろいろな形状があるが、総じて魔杖と呼ばれている。 発動を補助するものとして精霊がおり、魔力を対価に魔法の発動を代替してもらえる。この技術を精霊魔法という。ただし適正がないと使えない上に精霊の位階によって発動可能魔法に制限がかかる。その上魔法の細かい調整ができないためあまり広くは使われていない。 ほへ〜いろいろあるんだなぁ……。わかりやすいしこの本いいなぁ。ちょっと借りパクしちゃおっと!まぁ、ちゃんと後で返すから大丈夫でしょ!あとで返すから許してね!お父様!
last updateLast Updated : 2025-06-08
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#9 情けなさすぎるよ兄様……
 なんやかんやで四歳になりました。長いようで短い四年間だった。変化は素振りを始めたことくらいかな。もちろん木刀なんて持たせてもらえないから相棒の世界樹の枝。もといただの木の枝を使った素振りだけど。 剣術を習い始めた時にゼロからスタートじゃなく1でも0.5でもいいからアドバンテージが欲しくってやってることだ。この特訓自体には別に大した効果は期待してない。一番の目的はポイント稼ぎだ。僕が努力家だと分かればきっとあの両親ならウッキウキで指導者を探すことだろう。二人はそういうタイプの親だ。あの二人は無理に何かを子供にやらせたりはしない。しかし、ひとたび子供が何かに興味を持ってやりたいと言えば全力で背中を押してくれる。そんな自慢の両親だ。 まぁ子供に甘いただの親バカと言われればその通りなのだけどね。実際そのせいで嫡男であるウィリアム兄様は今や立派な脳筋だ。別に悪い人でないんだよ?でも、正直あんな調子で家督なんて継げるのか?って思ってはいる。脳筋バカだが人に好かれるし、戦いにおける判断も早く的確だ。 将としては優秀だけど為政者としての能力には疑問が……いや、どうせ口には出していないしこの際はっきり言おう。アレじゃ無理だ。天性人たらしを存分に活かして部下にしっかり任せることができれば……でもなぁ戦場以外だと口を開いたらバカ丸出しって欠点があまりにも大きすぎるんだよなぁ。父様もさぞ不安だろうよ。 僕としては実務を兄様には適当に矢面にたってもらってそれを裏で操るのが理想的だよなぁ。でもなぁ……僕が指示を出したところであの脳筋野生児っぷりを隠しきれるかって言われると自信ないなぁ。にしても戦場での采配全てを勘だと言い切る野生児はやっぱり違うよね。 早急に僕の身代わりを作っちゃわないとなぁ。そのためには……やっぱり魔法の力が必要だよね。とりあえず僕の師匠になってくれる人を探してもらわないと。知識だけはこの四年間で死ぬほど蓄えたからね。机上の空論かもしれないけどそこはもうしょうがないものとして調整をおいおい頑張っていこう。「お、ミシェルじゃないか!未来の侯爵家当主様は今日も精が出るな!」 は?何言ってんの?馬鹿なの?ねぇ馬鹿なの?「え?ウィリアム兄様が継ぐんじゃないんですか?てっきり兄様が継ぐもんだと思ってましたけど。」 長男が家督を継ぐのがこの国のしきたりじゃん!常識じ
last updateLast Updated : 2025-06-09
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#10  玄関から入れよ
「よっこいせっと。ふむ、君がミシェル君かな?勉強熱心で何よりじゃ。」「へ?」ポク・ポク・チーン「ギャーーーーー!!!」 師匠はその日、空間をぶち抜いて読書をしていた僕の目の前に現れた。いや、玄関から入れよ。今ならそう言えるが当時の僕からすればその時の師匠は不法侵入してきた不審者だ。侯爵家に送られてきた刺客の可能性すらも考慮していた。まぁそれにしてはのんびりしすぎだが……。「急に叫ぶでないわ少年。心臓に悪いじゃろうが。」「あ、すいません……いやいやいや!違う違う違う!急に何もないとこから出てくるあんたが悪いだろ!なーに他人の家に勝手に入ってきた不法侵入の不審者のくせに被害者ヅラしてんだよ!当家に御用の方は玄関から入ってどうぞ!」「ツッコミがキレッキレじゃのう。どうじゃ少年、儂と共に芸人をやらんか?」「やるか馬鹿!ていうかまずは名乗らんかい!」 何だこの爺さんは。ネタに走ってばっかりじゃないか!話は全然進まないし部屋に誰も来ないし……。さっき叫んだしメイドの一人や二人くらい駆けつけてきてもいい頃合いなんだけど。「なんじゃつまらんのう。ノリ悪いのう。まぁそれもそうじゃな名前も知らんやつとコンビなんぞ組めぬか。」「は?」 いい加減にしろよこのジジイ。「まぁそう睨むでない。おふざけはもうやめるでな。儂はヴェルムート。筆頭宮廷魔法士兼、国立魔法研究所所長じゃ。侯爵家のはなたれ小僧から頼まれて少年に魔法を教えることになった。あやつもメイリーに任せるのは不安そうじゃったわい。」「母様、えいやってやってズバーンってするのよ!とか言いそうですもんね。」「うむ、実際あの感覚派の大馬鹿ものは妹弟子にそう教えておったからな。その者はすぐにあやつの元を去ったわい。あやつも魔法士としての技量は問題ないんじゃが、ちと擬音が多いからの。とはいえあやつは間違いなく天才じゃ。それも儂の弟子たちの中で一、二を争うレベルで。儂が来れない時はあやつに見てもらうとよい。」 あ、あの感じ昔からずっとなんだ……。「えっと……これからよろしくお願いします?」「随分と親しげじゃないか、ミシェル。老師殿も相変わらずお元気そうですね。」「あのはなたれ小僧も老けたものだな。もう立派なおじさんではないか。」「そりゃ歳も取りますよ。老師殿じゃあるまいし。老師殿が魔法学校で教鞭を振るってい
last updateLast Updated : 2025-06-10
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