로그인本編、完結しました! 番外編は9月から順次公開して行きます。よろしくお願いします。 ローマリア王国には大斧を振り回し、多くの武勲を立てたビアンカという女戦士がいる。彼女は百七十八センチの長身で軍服をキリッと着こなし、肩口で真っ直ぐに切り揃えられたサラサラの黒髪をいつも靡かせ、切れ長の目元にはこの国では珍しい紫色の瞳。年は二十一。 ――――ある日、ビアンカは王太子に呼び出され、国軍から辺境伯領への移動を命じられる。『これはそなたにしか出来ない特別任務である』と王太子は強調し、何故か彼女には花嫁衣裳が用意された。 ――――リシュナ領(辺境伯領)へ向かったビアンカを待ち受ける運命とは!?
더 보기「お~い! ルイーズ!! 少しの間、抜ける! 迷子を親へ届けて来る」 突然、聞き覚えのある声がして、ルイーズは声の主の方へ視線を動かす。 少し離れた場所から、ビアンカが大きく手を振っていた。「分かった!!」 ルイーズは即答したものの、ビアンカの初歩的なミスにガックリと肩を落とす。―――なぜ、あの子は軍服を着ている相手に『少し抜ける』なんて、大声で言ってしまったのだろう。 その余計なひと言でビアンカが軍の関係者だと周囲に知られてしまった。 厄介なことになったな~と思いながら、迷子らしき子供の方を確認すると……。「はぁ~?(なぜ、ジャスミン(隠された王子ユリウスを表す隠語)が、ここにいるんだ!?)」 イヤな汗が背中をつたっていく。 どうして、ここに……と、頭の中は大混乱していた。 しかし、しっかりとルーズの目に彼(ユリウス)が映っている。―――あれこれ考えるのは後だ! 至急、対応しなければ……。 ビアンカたちがルイーズに背を向けた瞬間、彼女は影の潜んでいる路地裏へ走った。 異変に気付いた影たちがルイーズの元へ集まってくる。「サム、ジャスミンが現れた。詳細は不明だ。王宮に連絡を入れて指示を仰いでくれ! 残りの者はビアンカとジャスミンの後を追って!―――あたしは国軍の兵士たちをかき集めてくる!!」「「「「「了解!」」」」」 指示を一気に捲し立てたあと、ルイーズは国軍の兵士たちが立っているポイントに向かって、再び、駆け出した。♢♢♢♢♢♢♢――――致命傷を負ったビアンカが地面に倒れ込んだ。 ルイーズも潜んでいる影たちも、『これはどう対処したらいいんだ?』と、途方に暮れてしまう。 最悪なことに彼女を治療出来る者がその場に居なかったのだ。 だが、兵士たちがビアンカの死を覚悟したその時、彼女の腕に縋りついていたジャスミンが突然、呪文を唱え始め&he
「今回、ルイーズとビアンカはこの部屋を使ってくれ」 国軍第二部隊の副隊長ルパートは二人に向かって言った。「「はい!」」 ふたりの声は、掛け声など無くとも、しっかり揃っている。「では、十五時から食堂でミーティングを行う。遅れるなよ!」「「はい!!」」 ルパートは踵を返して、爽やかに階段を降りて行く。 国軍一、イケメンな上司は去り際までスマートだった。 ここはツィアベール公国との国境にあるチミテロという名の村だ。 昨日、この村を襲撃するという犯行予告が王宮に入ったため、急遽、国軍の第二部隊が派遣されることになったのである。「ビアンカ、あんた先月の戦闘で、いい働きをしたらしいね」 適度なコミュニケーションを図るのは年上の仕事と思っているルイーズ。 彼女は荷解きをしながら、ビアンカに話題を振ってくる。 これまで数々の任務を一緒にこなしてきたが、ふたりが同室になるのはこれが初めてだった。「いい働き……、一体、何のことだ?」 真顔でルイーズを見据えるビアンカ。 宝石のような紫色の瞳に吸い込まれてしまいそうで、ルイーズはドキッとする。―――年下の猛者(ビアンカ)はかなり目立つ見た目をしているくせに無自覚なので、タチが悪い……。「いや、私があんたに聞いているんだよ!!」「別に特別なことは何もしてない……」 ビアンカはぶっきらぼうに言い放つ。「いや、普通に仕事をしているだけのやつが、陛下から表彰されたりするか? というか、あんたはまだ見習いなのに……」「見習い……、まぁ、確かに……」 ビアンカはカバンから本を取り出して棚に並べて行く。 今回の任務で、ここには十日ほど滞在する予定なので、その間に読もうと思っている歴史書を持って来たのだ。
(突然、現れておいて『狭い!』と文句を言われても、私にはどうにも出来ないぞ!? しかし、まぁ、部屋は片付けておいて良かった。元々、荷物は少ない方だが、アポなしというのは、流石に焦るぞ!)「―――で、ビ~ちゃん、その恰好はどういうことなの?」 ビアンカは今、真っ裸に薄手のガウンを羽織って、腰ひもを軽く結んでいるだけの状態だ。屈んだりしたら、胸がポロリとこぼれてしまいそうである。「あ~、寝る時はいつも何も着ていないので……」(これでも慌ててガウンを羽織ったんだ。褒めてくれ)「あり得ないわ……」 ビアンカの回答を聞いて、アデリーナは絶句した。「急な呼び出しも多いので、いつ如何なる時も最短で軍服に着替えられるようにしておきたいんです」「―――それなら、最初から軍服を着て寝たらいいじゃないの」「おお~!!」(それだ!! 母上、ナイスアイディア!!)「感心するところじゃないわよ! 冗談で言ったの!! 本気にしないで頂戴!!」 アデリーナはビシッと音を立てて扇を畳み、先端をビアンカの方へ向けた。(あ~、これは反論したら面倒になるやつだな……)「あ、はい」「ところで、ビーちゃん、今日はお休みなのでしょう? 一緒に買い物に行くわよ」「え、なぜ?」(母上と買い物に行ったことなど、過去に一度も無い気がするのだが……、というか、いつもは家に商人を呼んでいるじゃないか! どうして、突然、一緒に出かけるなんて言い出すんだ!?) ビアンカはアデリーナをジト目でしげしげとみつめる。 何か裏があるのではないかという疑いを込めて……。「買い物に行くのに理由なんて無いわ!! 早く用意しなさい!!」 アデリーナは勢いで押し切った。口で勝負しても勝てる気がしないビアンカはやむなく了承する。「―――分かりました」
―――これは半年ほど前の出来事である。「母上……、いったい、どうしたのですか!?」 ノックの音で目覚めたビアンカが、急いで私室のドアを開くと、おんぼろの国軍官舎の廊下にド派手な出で立ちの貴婦人がひとり立っていた。(いやいやいや、場違い感が半端ない!! 早朝だというのに、バッチリメイクの上、羽飾り付きの帽子まで被っている……)―――貴婦人の正体はビアンカの母、アデリーナである。「ビ~ちゃん、もう、細かなことは気にしなくていいの!! とりあえず、部屋の中に入れて頂戴!!」 オホホホ~と笑顔で押して、彼女の部屋へ侵入しようとするアデリーナ。 そして、若干引き気味のビアンカ……。(いや、気にするだろ。面と向かって会うのは二年ぶりだぞ!? それにどうやってここまで侵入したんだ? もしかして、父上の力を借りたのか? それ、職権乱用だぞ!) 意味不明な状況だったが、廊下で騒ぐわけにもいかず、ビアンカはアデリーナを部屋へ入れた。 国軍の官舎は階級によって広さや調度品が違う。 ビアンカの私室は指揮官を務めているということもあって、一般の兵士よりも広く、少しだけ質の良いベッドと小さめのソファーセット、そして、上等とは言えない机と本棚がある。 ただ専用の洗面所はあるものの、洗面台とトイレのみで風呂はついていない。 入浴する時はひとつ下の階にある女性兵士専用シャワールームへ行かなければならないのだ。「ビ~ちゃんのお部屋は……、まさか、これだけなの?」 アデリーナは信じられないという表情で室内をウロウロしている。(母上、遠慮も何もないな……) ピサロ侯爵夫人こと、アデリーナ・セーラ・ピサロの生家はローマリア王国を支える四代公爵家の一つであるフォルトナ―ゼ公爵家だ。 四代公爵家というのは、ジョバンヌ公爵家、カナック公爵家、ポーリア公爵家、そして、フォルトナ―ゼ公爵家の
ビアンカは大斧の柄から手を離した。 続けて、大斧を安全な場所へ移動させるため、付き人のジェインが柄に手を伸ばす。 ところが百戦錬磨の女戦士ビアンカの愛用する大斧は想像以上に重く、文官の彼が持ち上げようとしても、ビクともしない。―――その姿を見かねてピサロ侯爵の護衛が一人、後方から加勢をしに駆け寄る。 二人は掛け声を出して、ビアンカの大斧を持ち上げた。そして、慎重な足取りで教会の裏の方へ運んでいく。「父上、絶対に返してくださいよ!!」 ビアンカは大斧を見送りながら、ピサロ侯爵へ強く訴える。しかし、彼は軍人ではないため、彼女の気持ちが全く理解出来なかった。「全く、誰に似たのだか……
転移完了。 大斧を担いだ花嫁姿のビアンカが、リシュナ領の領都バリードにある魔法陣の上へ降り立つと目の前に一人の男が立っていた。 その男は王国軍魔法師団の一員であるという証の深紅のローブを身に纏っている。(青年にしては若いような……、彼は一体、何歳なのだろう?)「ピサロ侯爵令嬢、お待ちいたしておりました!」「――――いや、その呼び名は新鮮というか、久しぶりというか……。初めまして、私はビアンカ・ルーナ・ピサロだ。貴殿は?」「僕は王国軍魔法師団リシュナ支部所属のサジェ・トラス・ペニーと申します。ペニー子爵家の長男です。ようこそ、リシュナ領へ」 男は幼さを感じさせるような笑みを浮かべ
「あー、マジか……。苦しいなコレ……」 ビアンカは腹部に力を入れないよう、愛用の大斧を腕の力だけで肩へ担ぎ上げた。 彼女の背中で大斧の刃が朝日を受け、艶めかしく輝く。――――いついかなる時も直ぐに敵を斬れるよう、大斧の刃はビアンカによって、一点の曇りもなく研ぎ澄まされているのだ。 そんな不気味な輝きを放つ大斧を見せつけられ、侍女たちの顔は強張っている。――――こんなに大きな斧を振り上げられたら、身を守る術のない自分たちは簡単に死んでしまう。 侍女たちは死の恐怖をひしひしと感じていたのである。(侍女たちはあんなに細い腕で良くもまぁ、こんなに締め上げるものだ。腹部に筋肉のないご令嬢
「くっそー!! あの野郎!! 何を企んでいるんだ!?」 ビアンカは地団太を踏む。あの野郎とはこの国の高貴なお方、王太子マクシムのことである。 彼とビアンカはこのローマリア王国の貴族子女が通う王立学園の同級生だ。プライベートでは共通の友人も多く、それなりに気安い仲である。 だが、マクシムが結婚したことを機にビアンカは彼と仕事以外で会うことを止めた。これは他国から嫁いで来た王太子妃に配慮してのこと。 (正直なところ、マクシムとは恋仲になる可能性もないただの友人だ。しかし、恋愛脳の貴族たちに男女の友情を語っても通じるはずがない。不用意に一緒にいて、ありもしない噂でも立って、王太子妃様を