——パジャマタイムと女の子らしさ
夕食を終えた後、レティアとルーシーはレティアの部屋に戻ると、クローゼットを開けた。そこから取り出されたのは、可愛らしいネグリジェのパジャマだった。一枚は薄ピンク色で、柔らかな生地に小さな花模様が散りばめられており、見るだけで心が和むようなデザイン。
もう一枚は薄青色で、爽やかな印象を与える半袖のデザイン。どちらもふんわりとしたシルエットで、着る人を優しく包み込むような雰囲気を持っていた。
「ルーシーは、青色のでいいかなぁ?」レティアが首を可愛く傾げながら、微笑みを浮かべて尋ねた。
その仕草に、ルーシーは一瞬言葉を失い、顔を少し赤らめながら「べ、別にどっちでもいいけど……まあ、青でも悪くないわね」とツンとした態度で答えた。
しかし、手渡された薄青色のネグリジェをそっと触れると、その柔らかさと可愛らしさに思わず口元がほころび、目を輝かせた。
「それ、似合うと思うよっ! ルーシー絶対かわいー♪」レティアが嬉しそうに声を弾ませると、ルーシーは照れくさそうに「そ、そんなこと言われてもね……こんな可愛いの初めて着るし、わたしには可愛すぎでしょ。」と視線を逸らしながらも、心の中では嬉しさが溢れているのを感じた。
革の防具や服を脱ぐと隠れていたルーシーの華奢ながらも、しっかりと女性らしい丸みを帯びた肩のラインや、ふっくらとした胸元があらわれた。驚いたレティアがジッと見つめていた視線をルーシーが感じた。
「……そんなに見つめないでよね。恥ずかしいじゃないの!」部屋の隅っこで着替えをするルーシーが顔を赤くしながら着替えていた。
「えぇ……だって、うらやましーんだもんっ!」頰をぷくーと膨らませたレティアが言った。
「あんただって、そのうち大きくなるでしょ。レティーの方が可愛らしいし……」恥ずかしそうにルーシーがつぶやき顔を逸らした。
二人がパジャマに着替えると、部屋の雰囲気が一気に和やかになった。レティアは薄ピンク色のネグリジェを着て、まるで可愛いお姫様のように輝いていた。
一方、ルーシーは薄青色のネグリジェを身にまとい、ツンとした態度の中にも普段の雰囲気とは違い、肩から腕にかけての柔らかな曲線は繊細な美しさを際立たせ、ネックラインから覗く鎖骨は華奢な印象を与えていた。ふんわりとしたスカート部分が、すらりとした足元で軽やかに揺れ、その姿は普段の防具に身を包んだ時からは想像もつかないほど、可愛らしく、そしてどこかあどけない少女の魅力を放っていた。
「やっぱり、ルーシーの青色、すごく似合ってるねっ♪」レティアが目を輝かせながら言うと、ルーシーは「そ、そう? まあ、悪くないかも……」と少し照れながらも満足そうに微笑んだ。
二人はその後、パジャマ姿で楽しくおしゃべりをしながら、笑い声が絶えない夜を過ごした。部屋には、二人の幸せそうな空気が満ち溢れていた。
——突然の物音と高まる緊張ベッドに嬉しそうな顔をした二人並んで座っている。レティアがふと思いついたように提案した。
「ねぇ、怖い話しよー! 楽しそうだよぅ♪」ルーシーは提案に驚いたように顔をしかめる。
「えっ……怖い話なんて嫌よ! 夜寝られなくなるじゃないの。」「えー! ルーシーお姉ちゃんって怖がりさんなのぉ……?」
レティアは悪戯っぽく笑いながら顔を覗き込む。その無邪気な様子に、ルーシーはため息をつきながらも少し笑みを浮かべる。「……仕方ないわね。でも、本当に怖くない話よ! 聞いても知らないわよ!?」
ルーシーは口調を強めながらも、どこかワクワクした気持ちが伝わってきた。部屋の灯りが薄暗く調整され、ほんのり揺れるランプの明かりだけが残される。ルーシーがゆっくり話し始めた。
「昔ね、この森で迷った冒険者がいたの。夜も更けて帰るのを諦めて野営をすることにしたの。そのとき……真っ暗な森の中で、その冒険者は誰かが彼を呼ぶ声を聞いたの……。」「うわぁ、え? 続き続きぃー!」
レティアは目を輝かせてもっと身を乗り出す。「でも、誰もいないはずなのに、声はどんどん近づいてきて……。気づいたら、彼の肩に……冷たい手が置かれていたんだって。」
ルーシーは言葉を切り、じっとレティアを見つめる。その瞬間、小さな物音が窓の外で鳴り響いた。「キャッ……! ちょ、ちょっと! 何の音なの!? レティー!!」
ルーシーは一瞬声を上げてレティアにしがみつく。その様子を見たレティアは、少し笑いながら答える。 「ふふ、たぶん小動物さんだよぅ♪ ルーシーってやっぱり怖がりさんだねー。」「もう、いいわよ! 怖い話なんてするんじゃなかった!」
ルーシーは拗ねたように答えながらも、頬を少し赤く染めていた。その後も二人は、軽く冗談を交えながら怖い話タイムを楽しむ。ルーシーの怖がりながらも一生懸命話す姿に、レティアはますます笑顔を浮かべていた。そして話が終わる頃には、二人の部屋にはすっかり穏やかな雰囲気が戻っていた。
夜も更け、部屋の明かりが控えめに灯る中、レティアとルーシーはベッドに並んで座り、穏やかな会話を続けていた。二人が笑い合う声が響く中、不意に窓の外で小さな物音が鳴り響く。
「……ねぇ、レティー。今、またなんか聞こえなかった?」
ルーシーが眉をひそめながら窓の方に目を向ける。先ほどの怖い話のこともあり、その声にはほんの少しの緊張が滲んでいた。——ルーシーのサプライズとレティアのいたずら レティアはルーシーの影に潜り込み、ひっそりとその中で過ごしていた。影の中から伝わってくるルーシーの感情——後悔と寂しさが入り混じった気持ち——に、レティアは胸が温かくなるのを感じていた。早く姿を現して抱きしめたいという衝動に駆られながらも、「今出たら追い返されちゃうかも」と思い、ぐっと我慢をしていた。 町の近くに差し掛かった頃、レティアはそっと影から飛び出した。そして、押さえていた気持ちが一気に溢れ出し、ルーシーの後ろからぎゅっと抱きしめた。 「ルーシー捕まえたー♪」 無邪気な笑顔を浮かべながら、楽しそうに声を弾ませる。「きゃっ!? え? なんでレティーがいるのよ!?」 ルーシーは驚きの声を上げ、振り返るとため息をついた。しかし、その表情にはホッとした安堵と、どこか嬉しさが滲んでいる。自然と笑顔がこぼれてしまうのを隠せなかった。「えへへ。ついてきちゃったのぉ! ふっふーん♪」 レティアは可愛らしくドヤ顔を決めて、得意げに答える。「まあ、いいわ。……何かあるかもって思っていたわよ……明らかに、あんたの反応がなさすぎたものね。」 ルーシーはそっけなく答えながらも、その声にはどこか優しさが混じっていた。嬉しさが伝わってきて、レティアは思わず笑顔を浮かべる。「……ちぇ〜! つまーんなーい!」 レティアはわざとつまらなそうな態度を取るが、ルーシーの感情が伝わってきて、心の中では嬉しさが溢れていた。「家には言ってきたの?」 ルーシーが心配そうに尋ねると、レティアは軽い調子で答えた。 「町に行くって言ってないけど……2、3日で帰るかもって言っておいたよ。」「そう、ならいいけど、おとなしくしているのよ。それと逸れないように……その、手を繋ぐわよっ。これは、仕方なくだから!」 ルーシーは恥ずかしそうに顔を赤くしながら、少し強がった口調で言った。 レティアはその言葉に嬉しそうに頷き、ルーシーの手をしっかりと握った。二人の間には、言葉にしなくても伝わる温かな絆が流れていた。 ——ギルドへの道♢年齢と未来 町の入り口でレティアは目を輝かせながらルーシーに尋ねる。 「うん♪ ルーシーは、なにをしに来たの? おかいもの?」 その問いに、ルーシーは軽くため息をつき、呆れたように答えた。
——賑やかな朝食と突然の別れ ルーシーが焼き上げた香ばしい肉の匂いが焚き火の周りに漂い、朝の澄んだ空気に美味しそうな香りが混じっている。レティアはその匂いにつられるようにテントの中から顔を出し、眠たそうに目をこすりながら外へ出てきた。「おはよー、ルーシー……朝ごはん? んぅ……良い匂いぃー。」 彼女の無邪気な声に、ルーシーはため息をつきながら呆れた顔で返事をした。 「あんた、全く警戒心ないのね……よくぐっすりと寝られるわね。」 レティアはニコニコ笑いながら、さらりと答える。 「えへへ。ノックスにシャドウパピーズを周りの警戒を頼んでたもーん♪」 その言葉にルーシーは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに納得した様子で軽く頷いた。 「なるほどね。どうりで警戒心なく寝れるわけね……。」 話しながらも、ルーシーの手は止まらない。焼きたての肉と簡単に調理したパン、そしてハーブティーが朝食として用意されると、彼女は振り返りながら言葉を継いだ。 「さ、食べちゃって! わたし、町までちょっと行ってくるね。」 その一言に、レティアの笑顔が一瞬止まる。驚きと寂しさが入り混じった表情で聞き返した。 「え? な、なんでー!? 今日も冒険じゃ……?」 ルーシーは落ち着いた声で説明を始める。 「探索や魔物討伐も仕事だけど……依頼を受けないとね。生活費を稼がないといけないの。素材の換金と報酬を取りに行かないとだし。」 レティアはその言葉に納得しつつも、どこか寂しそうに頷いた。 「でもでもぉ……いきなり過ぎるぅ……。心の準備がひつよーでしょぅ……。」 その悲しげな表情に、ルーシーは気まずそうに視線を逸らして言う。 「そんな顔をされると思ってたから言えなかったのよ。そういうの苦手なのよ……。こう……仲良くなったこともないしさ……でも、別れじゃないからね! ちゃんと戻って来るし……ね?」 しかし、意外にもレティアは明るい声で返事をした。 「んー、そっかぁ。うん、わかったぁ……。」 朝食を食べ終えると、ルーシーは逆に不安を感じ始めた。レティアが予想以上にすんなり受け入れたことに驚き、思わず声をかけてしまう。 「ね、ねえ、レティー。町から帰ってきたら……どうしよう? また、一緒に行動する?」 ルーシーの恥ずかしさと不安が混ざった声に、レティアはあっさりと笑顔で
——焚き火を囲む夜「わぁ、焚き火っていいねぇ! 暖かくて、きれいだよぅ♪」 レティアは焚き火を囲むように座り、嬉しそうに手をかざして暖を取っていた。その無邪気な姿に、ルーシーも少し微笑みながら腰を下ろした。「まあ……こうして火を囲むと、夜の山でも安心感があるわね。静かで落ち着くし……。」 ルーシーは火を見つめながら、小さく息をついた。 焚き火のパチパチという音が二人の周りに広がり、火の光が木々の影を揺らしている。二人は持ってきた食材を使って簡単な料理を楽しみながら話を始める。レティアが楽しそうにしゃべり出した。 「ねぇねぇ、ルーシー! 焚き火って何か特別な感じするねぇ。なんでだろー?」「……それは多分、みんなが火を囲むと安心するからじゃない? 明るくて、暖かくて……魔物が寄ってこないってのもあるけどね。」 ルーシーは冷静に答えつつも、焚き火の心地よさに自然と微笑みを浮かべていた。 レティアは炎を見つめながら、ふと昔のことを思い出すように言った。 「……お父さんもこういう風に、みんなで焚き火を囲んだことあったんだろうなぁ。こうやって楽しかったとおもうなぁ。みんなで冒険の話とか、いろいろ聞いたんだろうね〜。」「そう……レティーのお父さんは冒険者だったのよね。すごい人だったんでしょ?」 ルーシーが静かに問いかけると、レティアは少し誇らしげに微笑んで答えた。 「うん! すっごくすごい人だったよぅ。わたしも、そんな冒険者になりたいんだぁー」「ふふ……その夢、叶いそうね。レティーなら無茶ばっかりだけど、才能があるし……。」 ルーシーは少しからかうように言いながらも、どこか優しい目でレティアを見ていた。 夜が更け、星空がさらに濃くなっていく中、二人は焚き火を囲んで穏やかな会話を続けた。レティアが時折口ずさむ鼻歌と、ルーシーの静かな相槌が心地よい調和を生む。「これってさぁ、冒険者の憧れの夜だよねぇ! またこうやってキャンプしたいね、ルーシー!」 「ええ、いいけど……あんまり何度も火を焚いてると、薪がなくなっちゃうわよ。」 ルーシーが軽く笑いながら応じると、レティアも楽しそうに笑い声を響かせた。 ——星空の下で交わす願い 焚き火の光が二人の顔を優しく照らし、無数の星が瞬き、濃紺の夜空に宝石のような輝きを放っている。山の頂上からは
——自然の美しさとランチタイム そのあと、レティアが近くの石の上に座り、小さな花や草を並べながら楽しそうに遊ぶ様子を、ルーシーは少し離れたところから見守っていた。太陽の光、風の音、川のせせらぎ——その場には自然の美しさと穏やかなひと時が広がっていた。 少し進むと、見晴らしの良い場所にたどり着いた。そこは大きな平らな岩が広がり、空が大きく開けた絶景ポイントだった。眼下には広大な森が広がり、遠くには小さな村や、さらに奥には雄大な山々が連なっているのが見えた。風が心地よく吹き、二人はその場に腰を下ろした。「わぁー! すごい景色だねぇ! 頑張って登った甲斐があったよぅ♪」 レティアは両手を広げて大きく深呼吸をし、開放感を全身で味わっていた。一方、ルーシーは少し息を整えながら、鞄からお弁当を取り出す。「これだけ頑張った後だし、美味しく食べられそうね。ほら、これ。」 ルーシーは丁寧に包まれたお弁当を広げ、中にはパン、チーズ、ハム、そしてばぁーばが作ってくれた小さなサンドイッチが詰められていた。さらに果物も添えられ、色鮮やかなお弁当に日の光が映えている。レティアが狩りで仕留めたウサギ肉や鳥の肉のおかずも入っていた。「わぁ! ルーシー、すごーい! こんなに準備してたのぉ?」 レティアは目を輝かせながらお弁当を覗き込む。ルーシーは少し照れたように肩をすくめる。 「わたしじゃなくて、ばぁーばが準備してくれたのよ。でも、食べる前に手を洗いなさいよ。」「えへへ、もちろんだよぅ!」 レティアは魔法で水を生成し、二人で手を洗った。そして、岩をテーブルに見立ててお弁当を広げる。「いただきまぁーす!」 二人は声をそろえてお弁当に手を伸ばした。一口サンドイッチを食べたレティアは、目を輝かせながら声を上げる。 「わぁ、美味しい! チーズが濃厚で、ハムもジューシーだねぇ! これ、ばぁーばの愛情がこもってるね!」「そうね。ばぁーばの料理は、やっぱり家庭の味って感じがして落ち着くわよね。」 ルーシーも静かに頷きながら、小さなパンに手を伸ばした。 食べながら二人は景色を眺めたり、次の冒険について話したりしていた。レティアが「次はあっちの山にも登りたいなぁ♪」と指差すと、ルーシーは少し困った顔をしつつも笑みを浮かべる。 「また登るの? まあ、付き合ってあげてもい
——森の仲間たちとの出会い その後、二人が再び歩き始めると、今度は小さなリスが木の上から顔を覗かせた。レティアが手を伸ばすと、リスは興味深そうに近づいてきて、彼女の指先を軽く触れる。 「わぁ、可愛い! ルーシー、見て見て!」 レティアは嬉しそうに声を上げ、ルーシーも思わず微笑む。 「……まあ、リスくらいなら大丈夫ね。でも、あんまり触りすぎないでよ。噛まれるわよっ!」「むぅ。かまれないもんっ」 レティアが頬を膨らませて不満そうに言い返した。 その後も、二人は山道でさまざまな動物たちと出会い、自然の豊かさを感じながら進んでいった。 ——壮大な滝と癒しの時間 山道を歩き続けてしばらくすると、涼しい風が頬をなで、耳にかすかに水が流れる音が届いてきた。ルーシーがふと立ち止まり、音の方向を指さした。 「……聞こえる? あっちの方に滝があるみたい。」「わぁ、本当だ! 見に行こうよー♪」 レティアが興奮気味に声を上げ、ルーシーの手を引っ張りながら音の方へ向かう。木々の間を抜けるたびに水音が徐々に大きくなり、目の前に広がる光景に二人は息を飲んだ。 目の前には壮大な滝が流れ落ちており、太陽の光が水しぶきに反射して虹を描いている。透き通った水が滝壺に勢いよく注ぎ、辺りには涼やかな霧が立ち込めていた。岩肌には青々とした苔が生え、周囲の木々もそのしっとりとした環境で生気をたたえている。「わぁ……きれーい……。」 レティアはその場で立ち尽くし、瞳を輝かせながら滝をじっと見つめていた。一方でルーシーは少し微笑みながら、近くの岩に腰を下ろして呟く。 「確かに、こんな場所ならずっと眺めていられそうね……。」 レティアは滝壺の近くまで駆け寄り、手を水に浸してみる。冷たさに思わず声を漏らしながら振り返った。 「すっごく冷たいよっ! ルーシーも触ってみてよーぅ♪」「……いいわ。濡れたら寒くなるじゃない。」 そう言いながらも、レティアの楽しそうな様子に釣られ、結局ルーシーも滝壺へ近づき、水に手を浸してみた。 「……冷たい。でも、気持ちいいわね。」 二人はしばらくの間、滝壺で遊んだり、滝の音に耳を澄ませたりして過ごした。その中でレティアが突然顔を上げ、嬉しそうにルーシーに声をかける。 「ねぇ、こういう場所って冒険って感じだよね! 次はどこに行こうか考
——シャドウパピーズのサプライズ「んー? 小動物さんだと思うよぅ。大丈夫だって!」 レティアは首を傾げながらも、まるでそれを気にしていないように微笑んだ。無邪気な笑顔を浮かべつつそう言った瞬間、窓に影が映るのが見えた。「……え!? わっ、なにこれ……。」 ルーシーが立ち上がり、警戒しながら窓の外を覗こうとする。その動きに合わせてレティアも後を追い、二人の気配が急に緊迫したものに変わる。「わぁっ。誰かいるのかなぁ?」 レティアは軽い調子で話しながらも、ノクスたちの気配を探り始める。窓の外には何かが動いている気配があるが、その正体ははっきりと分からない。 その瞬間、ドアの外でノックの音が響いた。 『コンコン』「え? ちょ、ちょっと……この時間に誰よ?」 ルーシーの声は少し上擦り、レティアにしがみつくように立ちすくむ。 レティアは手を空にかざし、虹色の球体を作り出してドアの方に向けた。そして、じっとドアを見つめながら声をかける。 「はぁーい。ど、どなたですかぁー?」 するとドアが静かに開き、そこには小さな動物が姿を現した。シャドウパピーズの小さな狼の一匹が家に戻ってきただけだと分かり、レティアは笑顔で言った。 「あ、シャドウパピーズ! びっくりさせないでよぅ~♪」 ルーシーは肩の力を抜き、大きく息を吐く。 「もう……心臓止まりそうだったわよ……。なんでこんな時間に戻ってくるのよ!」 レティアは悪戯っぽく笑いながらシャドウパピーズを撫で、影に戻るよう促した。緊張が解けた二人は、再び話しを続け明日の予定を話すことにした。 冒険計画:地図を広げて レティアがテーブルに地図を広げて話し始める。地図はレティアの家に長年保管されていた古いもので、少し色褪せているが、細かな地形や森の特徴が丁寧に描かれている。「これ、すごーい! お父さんのパーティーが使ってたやつなの!」 レティアは目を輝かせながら地図を指でなぞり、嬉しそうにルーシーに説明をする。ルーシーはそれに興味深げに頷きながら地図に視線を落とした。「ふむふむ……。ここは街道があるから、比較的安全そうね。でも、この辺りは……沼地が広がってるわね。湿地帯は、魔物が潜んでいることが多いわね。」 ルーシーは冷静に地図を見つめながら、慎重に意見を述べる。その声はやや固めだが、ど