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第9話

Author: 九ノ瀬
「いなくなった?いなくなったって言っても、どこへ行くんだよ?」

その言葉に、大輝ははっと息を呑み、顔に浮かんでいた焦りも一瞬で固まった。ほかの面々の表情にも、驚きがはっきりと広がっていく。

楓がいなくなるなんて、誰一人として考えていなかったからだ。

この数年、彼らはずっと見てきた。弘樹があの時の事故をきっかけに、激しく浮き沈みを繰り返してきたことも、彼のそばにいた人間が入れ替わり立ち替わり去っていったことも。

彼ら自身でさえ、あの頃の気まぐれで不安定な彼のそばに、ずっと寄り添い続けるだけの覚悟は持てなかった。

唯一の例外が、楓だった。楓は弘樹が最も荒れていた時に寄り添い、どんなに八つ当たりされても決して見捨てることはなかった。楓には、いなくなるなんて考えすら元々なかったのだから。

なのに、どうして急に……

その時、弘樹のスマホが鳴り響いた。彼はすぐさま電話に出る。

「楓?今どこにい……」

しかし、弘樹の言葉が終わらないうちに、電話口からは結衣の声が聞こえてきた。「弘樹、足を挫いちゃって……病院に連れて行ってほしいの」

以前の弘樹なら即座に向かっていたはずだ。しかし、
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