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3年悼んだ息子は、親友をママと呼んだ
3年悼んだ息子は、親友をママと呼んだ
Auteur: 灰野

第1話

Auteur: 灰野
頭の奥がじんと鳴り、その場から動けなくなった。

「パパ、ママ。さっき助けてくれたの、このおばさんだよ」

悠真に手を引かれて、直人と美緒がやってくる。私を見るなり、2人の笑顔が消えた。

「紗季……」

直人は明らかに動揺し、とっさに悠真を自分の後ろへ隠そうとした。

涙がこみ上げた。

「隠さないでよ、直人。説明してくれないの?」

彼は大きく息を吸った。

「知られたからには、もう隠さない。そうだよ。悠真は君が産んだ子だ。あのとき、僕が嘘をついた」

美緒は唇を真っ白にして、悠真の手を握り締めていた。

「紗季、直人を責めないで。全部、私が悪いの」

そう言うなり、美緒は悠真の背中を押した。

「悠真、行って。あっちが本当のママなの」

悠真がわっと泣きだした。

「やだ!あのおばさんはやだ!ママだけが好きなの!ママ、悠真を捨てないで!」

悠真は美緒の手を離さず、美緒も彼を抱き締めて泣きじゃくっていた。

両親には、私が2人を無理やり引き離そうとしているように見えたらしい。

「紗季!」

母が駆け寄り、美緒をかばうように前に立った。

「この2人を引き離すなんて許さないわよ。お父さんも私も、これでいいって決めたんだから!」

声が震えた。

「じゃあ、みんな知ってたの?」

母は気まずそうにせきをして、視線をそらした。

「もとはといえば、あなたのせいでしょう。スキーで事故に遭ったあなたを助けて、美緒は体を冷やしてしまったの。そのせいで、もう一生子供を産めないのよ。あなたの子を育てるくらい、当然じゃない?」

当然?

でも、美緒が子供を産めなくなったのは、大学時代の中絶が原因だったはずなのに。

美緒は後ろめたそうに唇をかみ、私を見ようとしない。

私が黙っているのを、母は納得したのだと受け取った。

「もう3年もたつんだから、今さら言わないの。あなたと直人は、また子供を作ればいいでしょう。この3年、私たちは毎週悠真に会いに来てたのよ。美緒は優しいし、よく気がつくわ。泣いてばかりのあなたより、ずっと上手に育ててくれてる」

父も満足げにうなずいた。

「美緒は私たちにもよくしてくれる。もう娘だと思っているんだ。紗季も妹ができたと思えばいい。悠真のことは、どうしても諦められないなら、甥っ子としてかわいがればいいだろう」

幸せそうにまとまる家族を前に、体の芯まで冷え切っていく。

震える笑いが漏れ、涙がこぼれた。

「命がけで産んだ子は美緒の息子にして、私の夫は美緒を妻扱いして、実の両親まで美緒を娘にするの?

この3年、私のことを何だと思ってたの!どうして、もっと早く教えてくれなかったの?」

全身を震わせながら、美緒を指さした。

「私が毎日毎日、苦しくて壊れそうになってた間、さぞいい気分だったでしょうね!」

「紗季!」

直人が眉をひそめ、私をとがめるように見た。

「美緒は関係ない。責めるなら、僕だけを責めてくれ!」

喉に血の味がこみ上げる。壁に手をついてどうにか体を支え、心でシステムを呼び出した。

(離脱する。もう1秒だって、ここにいたくない!)

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