Lahnthean Aria

Lahnthean Aria

last updateDernière mise à jour : 2023-06-27
Par:  Callele LyvanceEn cours
Langue: English
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Synopsis

It was supposed to be an ordinary day for Kiran when an earthquake hit. She ends up rescuing Alessa, the most popular girl in campus who she envied and admired. Before Kiran could save herself however, she falls into a sinkhole and wakes up to a different world with a crystal blade pressed against her throat. There she meets Noorh, the culprit behind the earthquake that was triggered to kidnap Alessa. With no way to return Kiran back to her world, Noorh takes her back to his home where she becomes the revered "Lahnthean Aria" in Alessa's place. Behind the prestige and adoration that the Lahnthean Aria receives and Noorh's cold demeanor lies secrets that Kiran must uncover to survive and find a way back home...That is, if there is any chance for her to return.

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Chapitre 1

Abyss

結婚三周年の記念日に、夫がケーキを買ってきてくれた。

上には「佐藤文音(さとう あやね)」と「古川聡(ふるかわ さとし)」、そして「結婚三周年おめでとう」の文字が書かれている。

……心臓が止まりそうになる。

佐藤文音――それは私の名前じゃない。夫の秘書の名前だ。

嫌な予感がして文音のインスタを覗いてみると、やっぱりそうだった。

そこには本来なら私のはずのケーキが写っていて、「古川奈穂(ふるかわ なほ)」と「古川聡」と書かれていた。

【三周年なんだ、あの人も私を奥さんだと思ってくれてるんだね】

【インスタ消して!ケーキ、二つとも間違えて送っちゃった。嫁にバレたらどうする!】

そのやり取りを見た瞬間、全部分かってしまった。

夫のサプライズや甘い演出は、全部ふたり分用意されていたのだ。

スマホを握りしめたまま、思わず声を立てて笑ってしまう。

まだ誤魔化そうとする夫が、可笑しくてたまらない。

でも私はもう決めている。別れる、と。

……

インスタを閉じた瞬間、聡から電話がかかってきた。

彼は歯切れが悪く、ケーキは受け取ったかと聞いてくる。

わざと遠回しに言う気なんてなかった。

「届いたよ。でも上に書いてあったのは、佐藤文音とあなたの名前だった」

数秒の沈黙。

スマホの向こうで、彼の声が慌てた調子に変わる。

「奈穂、それは店のミスだ。あの日は忙しくて、文音に注文を頼んだんだよ。きっと店が名前を取り違えたんだ」

私は思わず笑ってしまう。もしインスタを見ていなければ、信じていたかもしれない。

だが画面を再読み込みすると、投稿はもう消えていた。

自分をごまかしているだけだ。そんな言葉がふと頭に浮かんだ。

私は冷静に答える。

「分かった。他に用がなければ切るね」

私が聞き返してこないと分かったのか、聡はホッとしたような声に変わった。

「奈穂、もうすぐ帰るから待ってて。今度は俺が直接ケーキを買って帰る。もう絶対に間違いなんてないから」

「もういいよ。今日は遅いし、体調も良くないから先に休むね」

返事を待たずに電話を切った。

そしてスマホで、結婚後三年分の財産や契約を整理し始める。

どうせ別れるなら、一円も渡すつもりはない。

そのせいで、聡がいつ帰宅したのか気づかなかった。

彼はいつもより二時間も早く帰ってきて、手には新しいケーキを持っていた。

ソファに横になっている私を見て、聡はすぐに心配そうな顔をした。

「奈穂、この数日って生理予定日だったよな?また辛いのか?俺、気が利かなくてごめん」

三年間、彼は私の周期をきっちり覚えていた。

マッサージの手つきまで身につけて、わざわざ整体師のところで習ってきたと言っていた。

でも今なら分かる。それは私だけのためじゃなかった。

日付を覚えていたことにだって、裏があるに違いない。

彼が帰ってくる直前、匿名のメッセージが届いていたからだ。

【あの人って本当に優しいの、いつもマッサージしてくれるんだ!】

メッセージには写真が何枚か添付されていた。

人物は写っていないが、マッサージをしているその手には、見慣れた結婚指輪がはめられていた。

……インスタがバレたから、今度はメッセージで送ってきたってわけか。

「奈穂、話してるんだ。ちょっとは反応してくれよ。

今日のケーキは店のミスだったんだぞ。ちゃんと買い直したじゃないか。それに今日は早めに帰って、一緒に三周年を過ごそうとしてるのに、そんなに不機嫌になるなよ」

考え事は、聡の苛立った声に遮られた。

彼が怒っているのが分かる。

さっき電話を一方的に切ったこと、そして今こうして歩み寄っているのに私が無反応なこと。

三年間、彼がこんなに早く帰ってきたことなんてなかった。

口では「記念日のため」と言っていたが、ここ二年の記念日は毎回、理由をつけて深夜まで帰ってこなかった。

――つまり、かなり早い段階から文音と関係があったのだ。

私は冷静に聡を見つめる。

「機嫌が悪いわけじゃない。ただ仕事のこと考えてただけ」

彼は疑わしそうに私を見る。「……本当か?」

「うん」

私は頷いた。

仕事が片付いたら、この人と離婚する。

だから、仕事というのも嘘じゃない。

聡は安心したようにケーキをテーブルに置いた。

だが、テーブルの向こうのケーキに書かれた名前を見て、彼の目に一瞬、動揺が走った。

「この店、明日絶対クレーム入れてやる!」

彼がそのケーキを片付けようとしたとき、スマホが鳴った。

チラッと見ると、着信表示に「子猫ちゃん」と登録されているのが表示されていた。

声は、文音だった。

その瞬間、ボロボロになった心が再び踏みにじられた気がして、込み上げる涙をこらえながら、聡の前では微塵の弱さも見せなかった。

彼のスマホで、私に特別な登録名がつけられたことは一度もなかった。

いつもただのフルネーム――それが全てを物語っていた。

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