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The Luna’s Second Life Without the Alpha

The Luna’s Second Life Without the Alpha

By:  StarsCompleted
Language: English
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I had been Joey Jensen's mate for six years when I was kidnapped by rogues while trying to protect him. After finally making my way back to the pack, I discovered he already had another she-wolf, Courtney Ogley, by his side. Worse, he even made my son, whom I had almost died giving birth to, call her "Mom". Heartbroken, I went to the Werewolf Council and demanded an explanation from Joey. Under pressure from the entire pack, Joey reluctantly exiled Courtney. But from that moment on, he blamed me for everything. He said it was my fault he lost his beloved, and that I had robbed our son of his mother. Even my own mother resented me, saying I had torn the family apart. Surrounded by coldness and endless accusations, I slowly slipped into despair. Later, when the pack declined and was overrun, I was captured and sentenced to be beheaded. Just as I prepared to face death calmly, Joey stepped forward and fought the wolves alone. I carried him on my back and escaped, but his injuries were too severe. He was already dying. With his last breath, he said, "Consider my life a repayment to you. If there's another life, please don't stand in the way of my happiness with Courtney." I agreed through tears. But in the end, I was beheaded anyway. When I opened my eyes again, I was back on the very day I returned to the pack.

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Chapter 1

Chapter 1

 午前二時過ぎ。

 私を捨てた父が、コンビニのレジの前に立っていた。

「栞、少し付き合え」

 自動ドアが閉じる。外の湿った夜気が途切れ、店内には揚げ物の油と、温めすぎたおでんの匂いだけが残った。

 夜勤の店員は私一人。レジ横のホットスナックケースが、じり、と小さく音を立てている。

 如月隆一。

 如月グループの代表で、かつて私が父と呼んでいた人。

 三年前、私を家から追い出した男だ。

 私はバーコードリーダーを静かに置いた。薄い手袋越しの指先が震えている。それが、何より腹立たしかった。

「……何の用ですか」

「少し、話がある」

「雑誌と公共料金でしたら、こちらで伺えます」

 自分でも、よくそんなことを言えたと思う。けれど、深夜二時のコンビニに突然現れて「話がある」と言う父親より、仕事のマニュアルの方がまだ信用できた。

 相変わらず、命令に近い言い方だった。

 この人は昔からそうだ。会社でも家でも、自分が口を開けば周りが従うと思っている。三年前、自分の手で私を切り捨てたあとでも、その立場だけはまだ残っているつもりらしい。

 笑ってしまいそうになった。

「もう如月家の人間じゃありません。そう言ったのは、あなたですよね」

 言ってから、自分の声が思ったより平らで安心した。笑顔が必要なら接客用を貼れる。でも、この人にまで無料提供するつもりはなかった。

 隆一の眉がかすかに動く。

 その表情を見た瞬間、忘れたはずの景色が、喉の奥までせり上がってきた。

 三年前。

 父は一人の少女を連れて帰ってきた。

 如月未央。

「この子が、本当の実の娘だ」

 その日から、家の空気は少しずつ変わった。

 両親は、表向きは今まで通りに接してくれた。けれど、食卓で私の話を聞く時間は短くなり、母の笑顔は薄くなり、父は私を見るたびに、何かを測るような目をした。

 未央だけは違った。

「お姉ちゃん」と無邪気に呼んで、私の服を真似し、同じ紅茶を選び、同じ本を読もうとした。

 私は、それを本気で慕われているのだと思った。

 血が繋がっていないと分かった途端に、失われていくものばかりだった。だから、妹ができたと思えばいい。そう自分に言い聞かせていた。

 けれど、あの日。

 未央は父の前に、大量の写真と一通の封筒を置いた。

「お姉ちゃん、こういう場所に出入りしてたの。ホストばかりいるような、下品なお店に。それだけじゃないわ。会社の資料まで、外の人に渡してたみたい」

 写真には、私に似た女の横顔が写っていた。

 封筒には、如月グループの内部資料らしきものが入っていた。

 どれも、身に覚えがない。

「違う。これは何? 未央、誰に頼まれたの」

 私は彼女の手首を掴んだ。

 問い詰めるつもりだった。痛めつけるつもりなんてなかった。

 それなのに未央は、待っていたようによろめき、テーブルの角へ額をぶつけて倒れ込んだ。

 床にうずくまった彼女は、涙に濡れた目で私を見上げた。

 ――お姉ちゃんに、押されたの。

 父は、私の言葉を聞かなかった。

 頬に熱い痛みが走る。

 ――出て行け。お前はもう、如月家の人間ではない。

 その夜、土砂降りの雨の中で、私は婚約者だった桐生司に何度も電話をかけた。

 信じてほしかった。

 せめて一言、話を聞くと言ってほしかった。

 ようやく繋がった電話の向こうで、司は言った。

 ――悪い、今は無理だ。病院で未央に付き添っている。

 それきりだった。

 家も、大学も、婚約者も、その夜に消えた。

 悪い噂はあっという間に広がった。私は大学に戻れなくなり、昼は会計事務の単発仕事を請け、夜はこうしてコンビニに立つようになった。

 一千以上の夜を、この下町でやり過ごした。

 信じられるものは少ない。

 通帳に残った数字と、自分で押したタイムカード。それだけは、私を裏切らなかった。

「栞」

 隆一の声で、現在に戻る。

 私はまっすぐ彼を見た。

「……今さら、何ですか」

 隆一は唇を引き結び、しばらく黙った。

 いつもの彼なら、私に沈黙など向けない。命じ、断じ、終わらせる。それだけだった。

 その男が、迷っている。

「……祖母が、危篤だ」

 息が詰まった。

「静江さんが……?」

 如月静江。

 如月家で唯一、私を本当に孫として抱きしめてくれた人だった。

 血が繋がっているかどうかを誰かが騒ぎ立てるより前から、静江さんだけは私の手を握り、「栞は栞でいい」と言ってくれた。

「もう長くないと医者に言われた。意識があるうちに、どうしてもお前に会いたがってる」

「どうして、あなたの言葉を信じなきゃいけないんですか」

 声が震えた。

 レジの下で拳を握る。まだこの人の言葉ひとつで乱される自分が、悔しかった。

 隆一は目を伏せた。膝の横で握られた拳が、かすかに震えている。

「本当だ」

 掠れた声だった。

 そして、信じられないことに、隆一はレジカウンターの前で頭を下げた。

「頼む。……病院へ来てくれ」

 かつて私を追い出した男の頭頂部が見えた。

 滑稽だと思えばよかった。

 ざまあみろと笑えばよかった。

 けれど、静江さんの名前を聞いた瞬間から、息の吸い方が分からなくなっていた。

 私は唇を噛んだ。

 如月家に戻るわけじゃない。

 父を許すわけでもない。

 ただ、あの人に会う。

 会わなければ、きっと一生後悔する。

「……行きます」

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