Partager

54話

Auteur: 籘裏美馬
last update Date de publication: 2025-11-06 07:41:41

私の質問に、小鳥遊さんはキョトンと目を丸くした後、にっこりと笑う。

「これ、じゃないですかね?」

「──え」

ひょい、と小鳥遊さんが手を上げる。

すると、小鳥遊さんが持ち上げた手につられるように、私の手も上がった。

そこで、気づく。

病室で小鳥遊さんに手を繋がれた後、そのまま私と小鳥遊さんは繋いだ手を離す事はなく、病院内を手を繋いだ状態で歩いていたのだ。

「──あっ!」

「ふっ、ふふっ。傍から見たら、仲のいい恋人?夫婦?に見られていたみたいですよ、俺たち」

「小鳥遊さんっ!!」

気づいていたなら、何で手を離してくれなかったのか。

私は顔を真っ赤にしながら小鳥遊さんと繋いでいた手をぶんっ!と勢いよく離す。

楽しそうに笑う小鳥遊さんが
Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application
Chapitre verrouillé

Dernier chapitre

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   465話

    嘘でしょう──。 もし、今日。お母様が家に居たら。 そうしたら、速水 朱美はお母様の部屋に侵入していたって事。 もし、そこでお母様とあの人が鉢合わせをしていたら──。 その場面を想像し、私はぞっとした。 「──茉莉花。今は、中に戻りましょう。家の中はもう安全ですから……それに、今日は一晩中警察が外に控えてくれているそうです」 それに、と苓さんは言葉を続ける。 「護衛も追加で手配しました。だから、家の中の方が安全です」 だから中に入りましょう。 そう促してくれる苓さんに、私は頷いた。 ◇ さっきまで、苓さんと体を繋げていて幸せだったのに。 あの時の幸せとは一変してしまった。 今はもう、怖くてしょうがない。 苓さんがいなかったら、心細くてどうにかなっていたかも──。 そんな時、私を抱きしめてくれていた苓さんが小さく「あっ」と声を出した。 「苓さん?」 私が苓さんに顔を向けると、苓さんはスマホから顔を上げ、画面を私に見せてくれた。 「茉莉花、馨熾さんがすぐに帰って来るそうです」 「──お父様が?だけど、お父様は週明けまで……」 「ええ、出張の予定でしたけど、事情を説明したらすぐに帰ってくると」 苓さんが苦笑いを浮かべているので、どうしたんだろうと思って私が画面を良く見てみると。 そこには信じられない言葉が並んでいた。 「──えっ、チャーター機を……!?」 「……ね。茉莉花と、お母様が心配で文字通り飛んで帰ってくるそうです」 苦笑い混じりに告げる苓さんに、私も苦笑いを返した。 ◇ それから、数時間。 部屋の外が俄に騒がしくなり、私の部屋の扉がノックされたと同時に勢い良く開かれた。 「──茉莉花!!」 「──えっ、お父様!?」 髪の毛を乱し、焦った様子で駆け込んできたお父様に、ソファに座っていた私と苓さんはびっくりしてしまう。 部屋に駆け込んできたお父様は、そのまま私の目の前までやってくると、ソファに座る私の足元にしゃがみ込んで私の手を握った。 「良かった……茉莉花が無事で本当に良かった。苓くんから連絡を貰った時、心臓が止まるかと思った……」 私の無事を確かめるように、お父様は長い溜息を吐き出すと、私の手を額に持って行く。 そして、ぎゅっと私の両手を握り直した後、お父様は苓さんに顔を向けた。 「苓くん

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   464話

    「──小鳥遊、それに藤堂さん!無事だったか、良かった……!」 「谷島」 「谷島さん……!」 藤堂の門を潜り、谷島さんが姿を現すと、現場にいた警察官達にぴりっとした緊張感が走った。 谷島さんは警視庁の人間だ。 エリート中のエリート。 彼の方が身分も上なのだろう。 警察官達が一斉に敬礼をして、谷島さんに報告をしに行く。 速水 朱美は今、住居侵入の現行犯で手錠をかけられ、パトカーの中に居る。 パトカーの方へ顔を向けた谷島さんが警察官と話をした後、私たちの方へ歩いて来てくれた。 「──藤堂さん、災難でしたね。……ですが、速水 涼子の足取りが掴めていない今、彼女の母親を逮捕できた事は捜査の進展に繋がります」 「……良かった、と言うのも変ですが、彼女が侵入したのが今日で逆に良かったです」 私の言葉に、谷島さんは不思議そうに首を傾げる。 そんな彼に、私は説明をした。 今日、家にいるのは私と苓さん。 そして、数人の使用人のみで、お母様は体調を崩してしまい、病院に1日だけ入院している事。 お父様は仕事があり、出張中な事を説明すると、谷島さんは納得したように頷いてくれた。 「──ああ、だからか……なるほど……」 合点がいったようにこくり、と頷いた谷島さんに、今度は私が疑問符を浮かべる。 すると、谷島さんは信じられない事を口にした。 「──驚かないで聞いてくださいね。……どうやら、速水 朱美は藤堂本家の内部……一部の間取りを把握していたようです」 「……一部の間取り……?」 「ええ……。警備員や、彼女をパトカーで取り調べをした警察官がはっきりと聞いています」 「聞いたって……何を……」 何だか嫌な予感を感じて、私の胸は不規則に早鐘を打ち始める。 どうか、私の考えすぎであって欲しい──。 そう願った私だったけど、そんな私の願いは谷島さんが次に放った言葉によって簡単に打ち砕けてしまった。 「……藤堂さん、あなたのお母様……、藤堂 羽累さんの寝室はここじゃなかったの、とずっと呟いているそう、です……」 「──っ!?」 ぞっと、した。 谷島さんが言った言葉。 それを、速水 朱美が言ったのだとしたら。 お母様の寝室に、お部屋に行って、何をするつもりだったの──? 「茉莉花」 私の体が、ふらりとよろめいた。 それをすぐに苓さん

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   463話

    私が発した「警察」と言う言葉。 そして、警備員がどこかに無線で連絡を取り始めた。 その光景を見た涼子の母親は、ぎろっと私を鋭く睨んだ──。 「──藤堂の、クソ女!!」 「──ひっ」 速水 朱美はぎょろりと血走った目で私を睨み、口汚い言葉を叫びながら警備員の腕を振り払って私に向かって駆け出した。 無線での連絡に気を取られてしまったからか、警備員の拘束から抜け出してしまったのだ。 「茉莉花!」 私が速水 朱美が駆け寄って来る事に備えていると、すぐに苓さんが動いた。 私を庇うように前に出て、速水 朱美が突き出した腕を払い、手首を掴んで地面に引き倒した。 「だ、大丈夫ですか藤堂様!」 「茉莉花、怪我は!?」 警備員と苓さんから声をかけられ、私は急いで頷いた。 びっくりしたけど、苓さんがすぐに対応してくれたから私に怪我は一切ない。 地面に縫い付けられた速水 朱美は、拘束を解こうともがいている。 だけど、苓さんから代わった警備会社の人がしっかり速水 朱美を拘束してくれた。 「クソアマ!この野郎!離せ!!」 「おいっ、暴れるな!」 「お前の……っ、お前のせいだ!お前達がいるせいでっ、涼子が……っ、私の娘が!!」 速水 朱美は髪の毛を振り乱し、わけの分からない事を叫び続けている。 その様は尋常じゃない。 気が触れてしまったんじゃないか、と思うくらい彼女の様子は常軌を逸している。 「……茉莉花、離れましょう」 「藤堂様、警察がもうすぐ参ります。……今、このお家に藤堂の方は……」 「あ、私だけ、です……」 私の返答に、警備会社の人間は苓さんにちらりと視線を向ける。 彼が藤堂とは無関係だと思われ、帰らされてしまうかもしれない──。 それを危惧した私は、慌てて口を開いた。 「こちら、小鳥遊 苓さんで、私の婚約者です。今回の事件でも、彼は被害に遭っていますから、部外者ではありません」 私の言葉を聞いた警備会社の人間は「そうですか」と納得したように頷いてくれた。 「警察へ通報して下さったんですよね?」 「ええ、住居侵入の現行犯ですから。それに、指名手配犯の身内です。何か情報を持っているかもしれませんから、警察が来て犯人を引き渡した後は警察に対応を任せます」 その説明に、私は苓さんをちらりと見やった。 「苓さん、警察が来るなら

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   462話

    外から、言い合うような騒がしい音が聞こえてくる。 「藤堂様、今から侵入者が入ってきます。絶対に近付かないでくださいね」 「……分かりました。……聞こえてくる声は、女性、ですね……若い女性ですか?」 言い争うような騒がしい声が、外から聞こえる。 男の人の声は、警備会社の人だろう。 そして、叫んでいる声は女性──。 だけど、何て喋っているのか、そこまでは私の耳には分からなかった。 私の問いに、警備会社の人は不思議そうにしつつ、口を開く。 「──いえ、侵入者は若い女性ではなく」 その瞬間、玄関が開いて侵入者を捕らえた警備員が入ってきた。 「40代ほどの、中年の女性でした」 「離しなさい、離しなさいよ……!私を捕まえて、どうなるか分かっているの!?」 警備員の人が答えるのと、捕らえられた女性が入ってきたのは同時だった──。 うちに侵入した中年の女性。 その女性には、ある女性の面影がある──。 私には、その女性に見覚えがあった。 お祖父様の書斎にあった、形見。 藤堂の歴史が書かれた日記。 それらに、書かれていた「速水家」の言葉。 やっぱり、藤堂と速水の間には昔何かあったのだ、と分かった。 だから、今の速水家の事を調べたのだ。 現当主、そして涼子の母親。 速水 朱美(はやみ あけみ)の事は、写真を見たから知っている。 だから、うちに侵入した女性が速水家の写真に映っていた「速水 朱美」だと、私はすぐに気が付いた。 「──どうして、速水家の当主夫人が……っ」 私が呟くと、隣にいた苓さんがさっと顔色を変えた。 「──速水、速水と今言いましたか、茉莉花?」 「え、ええ……。写真とは少し……その、容貌が変わっていますが……間違いありません、速水 朱美さんです」 写真に映っていた女性は、柔らかく微笑んでいて若々しかった。 40代後半にしては若々しく、驚いた覚えがある。 だけど今、目の前にいる女性はとてもじゃないけど写真に映っていた女性と同一人物とは思えない。 それほど、やつれて肌はボロボロになり、髪の毛は艶を失っていた──。 だから、苓さんは目の前にいる女性が速水 朱美だと気が付かなかったのかもしれない。 だけど、涼子の面影がある。 だからこそ、私はこの女性が速水 朱美だと分かったのだ。 「──速水、ですか?」 警

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   461話

    「藤堂様」 「──!どうでしたか?」 私の質問に、警備会社の人は表情を緩め、頷いてくれる。 「セキュリティはしっかり作動していますし、施錠もちゃんとされています。母屋より、この家に居た方が暫くは安全でしょう」 「──それは良かったです」 私がほっとして胸を押さえると、苓さんが警備会社の人に話しかける。 「侵入者を検知したとの事でしたが、家の中に入って行くのが分かったのですか?」 苓さんの質問に、警備会社の人は体の向きを変え、苓さんに向き直ると頷いて答えた。 「はい。弊社は防犯カメラを多数設置させていただいております。もちろん裏門にも設置させていただいていて……裏門を乗り越え、藤堂様の母屋に侵入して行く人物を目視で確認しております」 「侵入者は1人、ですか?」 「はい。我々が現場に急行するため、社を出る時までは1人のみです。それ以降、連絡はないので単独犯だと思われます」 「……裕福な家を狙った強盗……、でしょうか?」 苓さんの質問に、警備会社の人は若干言葉に迷いながら答える。 「──いえ、どうもそうは見えなかったのです」 その答えに、私も苓さんも「え?」と疑問の声を上げる。 すると、私たちの疑問に答えてくれた。 「強盗目的ならば、貴金属などを入れる袋や箱を手に持っているはずですし、これほどの敷地に強盗に入るとするなら、単独犯だと考えにくいです」 「なら……我が家に他の目的がある、と考える方が自然ですか?」 「──ええ。それに、侵入者の影は小柄で……恐らく女性だと思います、ので……」 「──!?」 女性、と聞いた私は目を見開く。 苓さんも私と同じ考えに至ったのか、私に顔を向けた。 「茉莉花、もしかしてその侵入者って……!」 「……ええ、もしかしたら速水 涼子、その人かもしれません」 「お2人は、侵入した人物に思い至る人間が?」 警備会社の人に、私が涼子が起こした事件の事を説明しようとした時──。 警備会社の人が持っている無線に知らせが届いた。 「──すみません、少しお待ちください」 手を上げてそう断ると、無線に対応する。 〈侵入者を捕まえた。そちらに連れて行く〉 「分かりました、鍵を開けて待っています」 侵入者捕まった──!? 私と苓さんは勢い良く警備会社の人を見る。 彼はこくり、と頷いてから通信を切

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   460話

    サイレントモードにしているスマホに、通知が届く。 パッ、と一瞬画面が明るくなり、周囲を明るく照らした。 その光が向こう側にいる警備会社の人間にも見えたのだろう。 極力足音を立てないように気をつけながらこちらにやってくる気配がした。 私は素早く通知を確認する。 警備会社の人から、メールが届いていたのだ。 侵入者がいるかもしれない中で、電話をして着信音が流れてしまったら大変な事になる。 それを危惧して、メールでの連絡に切り替えてくれているのだ。 私は素早くメールを打つと、返信した。 メールを送信し終えると、私は苓さんを見上げて話しかける。 「苓さん、警備会社の人がこの家の入口に回ってきてくれるそうです。私たちも鍵を開けて外に出ましょう」 「分かりました」 こくり、と頷いた苓さんと手を繋ぎながら、私たちは家屋の玄関に向かう。 鍵を開けて、外に不審者がいないかしっかり確認してから外に出る。 そして、私と苓さんが外に出てすぐ。 裏手から回ってきた警備会社の人が姿を現した。 「──藤堂様」 「……お世話になっております」 警備会社の人は、3人。 腰には警棒と、催涙スプレーやスタンガンを装備している。 警備会社の人は声を潜め、私に挨拶をすると状況を報告してくれた。 「弊社の警備システムが、侵入者を検知して作動しました。お屋敷の裏門を乗り越えた人物がいるようです」 「裏門を、ですか……?」 「ええ。そのため、我々は今からご自宅内を見回ります。1人護衛のためここに置いて行きますので、この日本家屋から出ないよう、お願いします」 警備会社の人の説明に分かりました、と返事をする。 すると、警備会社の2名は警棒を構え、慎重に歩き出した。 「さあ、藤堂様。中に入ってください。施錠もしっかりとしてくださいね」 「ええ、分かりました」 こくり、と頷き私たちの護衛のために残ってくれた人に促され、私たちは家の中に戻る。 玄関を施錠し、警備会社の人は警棒を手に構え、室内を見回していた。 「こちらの家屋の侵入経路を確認して参ります、ここから動かないでください。何かあれば大声を」 「分かりました」 私が頷いた事を見て、警備会社の人はその場を離れて行く。 出入り出来るような場所を確認しに行くのだろう。 私と苓さんはその場に留まったまま、周

Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status