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第5話

Penulis: キュートキャット
「やめて!」

思わず声を張り上げた。

相手はびくりと肩を震わせたが、すぐに鼻で笑う。

「まだ自分が副社長だと思ってるのか?済木社長はもうとっくにお前なんか捨ててる。今は細木副社長が本命だ」

「お前の歯をへし折ったって、済木社長は『恨みを晴らしてくれた』って喜ぶだけだろうな」

私は必死に感情を抑える。

「済木社長に電話したわけでもないのに、どうしてそう言い切れるんですか?

そのオルゴール、済木社長も見たことがある。電話して確認してみてください。もし彼が私のものだと証明してくれたら、それを還してください。お願いします。

逆にもし、済木社長があなたの言い分を認めなかったら......細木副社長に媚びたところで、無駄骨になるんじゃないですか」

相手は一瞬ためらったが、すぐに肩をすくめた。

「いいだろ、電話くらいしてやるよ」

彼にとっては、むしろ都合がいい。

もし楓人が私をかばえば、私に完全に見切りをつけたわけではない証拠になり、私をいじめても得にならない。

逆にかばわなければ、彩羽への忠誠を示せる。

電話はなかなか繋がらなかった。

やっと出た向こうからは、苛立った声が響く。

「今日は細木副社長と外出するって言っただろ。仕事の話は後にしろ、明日戻ってから処理する」

取り巻きは慌てて言葉を継ぐ。

「仕事じゃありません、衛藤星良の件です」

向こうが一瞬黙る。

「......何だ?」

「こいつのスーツケースの中にガラスのオルゴールがありまして、会社の物を盗んだんじゃないかと思いまして......ご存じかどうか確認したくて、写真を送りますので見ていただけますか」

楓人の声が返る。

「ああ。そのオルゴールは確かに――」

その瞬間、別の声が割り込んだ。

「それ、前に私がなくしたやつに似てるよ。見てると気分悪いし、壊しちゃっていいわよ」

彩羽の声だった。

「ねえ、どう思う?楓人」

楓人はわずかに言い淀み、そして言った。

「......細木副社長の言う通りにしろ。そのオルゴールが彼女のものなら、処分は彼女に任せる」

胸が張り裂けそうになり、思わず叫ぶ。

「楓人!それは私のものだって分かってるでしょ!明燈がくれたものなのよ?!

お願い......もう二度とあなたたちの前には現れないから......だからそれだけは壊さないで。もう最後の思い出なの......お願いだから、壊さないで......!お願い、楓人......お願いだから......!」

私は取り乱して泣き叫んだ。

周囲の視線なんてもうどうでもいい。

ただ、彼がほんの少しでも昔の情を思い出してくれないか――

ほんの少しでも、明燈を大切にしていた気持ちを思い出してくれないか――

それだけを願った。

彩羽の声が、どこか楽しげに響く。

「まあでも、会社のことは最終的に済木社長の判断よね。どうするの?済木社長」

彼女は彼を追い込み、同時に私に見せつけている――

ほら、この男はどっちを選ぶのかって。

しばしの沈黙のあと、楓人は冷たく言い放った。

「細木副社長の言う通りにしろ」

それだけ言って、通話は一方的に切れた。

私は信じられない思いで、切れた画面を見つめる。

――どうして......どうしてそんなことを......

あれが明燈のものだと、彼は分かっていたはずなのに。

私への気持ちが変わっても、明燈のことだけは本当に大切にしていたと思っていたのに。

別れるとしても、大人である彼が、子どもの形見を壊すなんて――そんなことまでできる人だとは思わなかった。

それなのに彼は、彩羽の機嫌を取るために、事実までねじ曲げて、明燈の遺したものを差し出した。

高く掲げられたオルゴールを見て、私は必死に飛びかかる。

だがすぐに取り巻きたちに押さえつけられ、床に押し倒された。

絶望の中で、声を振り絞る。

「やめて......お願い......壊さないで......!それさえ壊さないなら、何でもする......何でもするから......お願い......!」

相手は眉を上げた。

「本当か?」

胸の奥に、かすかな希望が灯る。

「本当......何でもする......だからお願い......!」

相手はオルゴールを開いた。

穏やかな音色が流れ出す。

私は涙をこらえながら顔を上げ、すがるような視線を向ける。

相手はわざとらしく顎に手を当て、考え込むふりをした。

「さて......どんな条件にしようかね?」

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