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第2話

작가: 月見団子の王様
あの日から、嘉樹はどこか変わったように思えた。

彼は口癖のように「物事に集中すべきで、気を散らしてはならない」と言う、生真面目な研究者だった。

彼は以前、トイレに行くときでさえ、決してスマホを持ち込まない男だった。

しかし今では、シャワーを浴びる間ですら、スマホを肌身離さず持ち歩いている。

私は何度も、浴室の曇りガラス越しに、彼の笑い声が聞こえてくるのを耳にした。

私はもともと、人のスマホを覗くようなことはしない主義だった。それは互いへの最低限の尊重だと思っていたから。

その日、彼はシャワーの時にうっかりスマホを持っていかず、ベッドサイドで充電していた。

画面が点いた瞬間、メッセージのプッシュ通知が一瞬だけ目に入った。

【今お風呂上がり。おやすみ、嘉樹】

胸が、ずしりと沈んだ。

私はスマホを手に取り、どんなやり取りをしているのか見ようとした。

だが、パスコードが変更されていることに気づいた。

シャワーから出てきた嘉樹は、私が彼のスマホを持っているのを見るなり、顔色を変えた。

「なんで俺のスマホ見てるんだ?」

私はスマホをベッドに放り投げ、落ち着いた声で答えた。「別に。時間を確認しようとしただけ」

彼はそれ以上、追及しなかった。

けれどその夜、私たちは背中合わせのまま、一言も交わさず朝を迎えた。

そうして、あっという間に彼の誕生日がやってきた。

妊娠六か月のお腹を抱えながら、私はキッチンで半日かけて、彼の大好物ばかりを並べた。

今回は、一本の葱も入れなかった。

胸を弾ませて、彼の帰りを待っていた。

食卓の料理は、冷めては温め直し、また冷めていったが、彼は戻ってこなかった。

彼に電話をかけると、向こうはやけに騒がしく、どうやらカラオケボックスのようだった。

「もしもし?美浪?」

彼の声には、はっきりと酔いが混じっていた。

「どこにいるの?」と私が聞いた。

「ああ!研究所で急にパーティーがあってさ、俺の誕生日祝ってくれてるんだ!忙しくて君に教えるの忘れてた」

そう言い終わらないうちに、心美の声が割り込んできた。どこか甘えた調子で言った。「嘉樹、早く歌おうよ!」

通話が切れる前に、聞き覚えのあるギターの旋律が流れ出した。

続いて、二人の重なった歌声。

それは、私が一晩中聴き続けた、あの曲だった。

胸の奥を針で刺されたように、鋭い痛みが広がった。

私は何も言わず、電話を切った。

半日かけて用意した料理を見つめていると、胸の内から怒りが噴き上がってきた。

私は皿をつかみ、勢いよくすべての料理をゴミ箱に流し込んだ。

テーブルいっぱいの料理を捨て終えて、ようやく少しだけ気が晴れた。

彼が帰ってきたのは、もう翌日の一時だった。

私は無表情のまま、リビングに座っていた。

彼は私を見るなり、驚いたように声を上げた。「美浪、まだ起きてたのか?」

近づいてキスをしようとした彼の体から、強い酒の匂いと、見知らぬ女物の香水の香りが混じって漂ってきて、私は思わず吐き気がした。

その香水は、あの送別会で、心美の身にまとっていたものとまったく同じだった。

私は込み上げる不快感をこらえ、さりげなく身をかわし、彼の白いシャツの襟元を指さした。

そこには、鮮やかな赤い痕がついていた。

私は問いかけた。「……これは、何?」
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