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181.知りたかった社長と知らない社長②

Auteur: Aica
last update Date de publication: 2026-01-23 23:04:11

それからこのプロジェクトの説明が始まって、そのあとプロジェクトのメンバー、一人ずつの自己紹介の時間が始まる。

資料で確認すると、どうやらプロジェクト初参加メンバーは、あたしとヨッシーを含め5人ほどで。

さすがにやっぱりあとは従来の経験ある人たちがほとんど。

なので、初参加組より先に元々参加経験ある人たちから紹介と挨拶が始まって、最後に自分たちの番が回ってくる。

こんな中で緊張ハンパないけど、とりあえず気持ちを落ち着かせて、口を開く。

「企画部の逢沢依那です。社内のプロジェクトは初参加です。この会社には社長のように素敵なプロデュースをいつか自分の力で手掛けて実現したいという強い想いを持って入りました。ですので、今回のこのプロジェクトメンバーに入れたことは夢のようですが、それと同時に自分がここでどこまで出来るのかワクワクしています。経験や知識はまだまだ未熟なところはありますが、情熱とヤル気は人一倍持ってるつもりです。自分なりにプロジェクトの一メンバーとしてしっかり役に立てるように精一杯頑張りたいです。どうぞよろしくお願いします」

今の自分の言葉で、緊張しながらも挨拶をする。

挨拶してる
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  • おいしい契約恋愛   385.望んでいた幸せ⑧

    「ここのトマト……。食べてみない?」「え……?」「ここの店で出してる野菜。すごく新鮮でウマい野菜農家さんと提携してるんだ。だから、ここのトマト、すげぇ甘くて、ホントに果物みたいだから。だから、きっと母さんも、食べられると思う」慧さん、お母さんって呼んだ……。あたしの前では、ずっと”あの人”だったお母さん。それはずっと慧さんのその時の気持ちの現れで。だけど、慧さんの中でそれを言葉にしたということは……。うん。慧さんの中では、きっと女将さんが慧さんにしてきたことよりも、お母さんとして今改めて向き合うことの方が今は重要で難しいことだっただけなのかもしれない。だからといって、眠れなくなるほど傷ついて、大きな闇になっていたのも確かで。ここまでの気持ちになるまでは、慧さんの中で相当大きな決断だったのだと思う。だけど、あたしが女将さんの過去を伝えた時、今までの慧さんとの反応が違っていたから……。もしかしたら、その時慧さんはわかろうとしてくれたのかもしれない。ちゃんとあたしの言葉に耳を傾けて、考えて。そして自分の気持ちと向き合って、決心して。慧さんの中で、いつの間にか、あたしに対しても、女将さんに対しても、信じようとしてくれたのかもしれない。うん。きっと、あたしの言葉は届いていた……。「えぇ……。じゃあ食べてみるわ……。あなたがそれだけ美味しいと絶賛してるなら、あたしも食べてみたいわ……」女将さんも今度は嬉し涙だろうか。嬉しそうに涙を拭い、慧さんに言葉を返す。この空間と、この瞬間に、なんだか目に見えない乗り越えた何かを感じた気がした。そしていくつか慧さんがおすすめを注文してくれた中に運ばれてきたトマト料理。トマトの味をダイレクトに感じられるサラダの中にある生のトマトを口にして、慧さんの言っていた通り、とてもそれは甘いトマトで。「うわ~ホントに甘い! あたしこんなの食べたことないです!」そ

  • おいしい契約恋愛   384.望んでいた幸せ⑦

    「てか、なんも頼んでないじゃん。なんか頼むか」少し経つと慧さんが口を開いてメニューを開き始めた。「はい」隣であたしも微笑みながら答える。「依那。何がいい?」「慧さんの “おすすめ”がいいです」「おすすめ?」「はい。このお店の慧さんのおすすめ知りたいです」「あぁ、オレのおすすめ……かぁ。うん、わかった」そう言って慧さんはメニューから選び始める。「トマト……。まだ食べられないの……?」慧さんがその言葉と共に視線を動かした先は女将さん。「えっ……?  そんなこと覚えてるの……?」慧さんが女将さんに尋ねると、女将さんが驚いた反応を示す。「そりゃ、忘れないよ……。自分はトマト苦手なのに、トマト好きなオレにはいつもトマト料理作ってくれてたの……嬉しかったから……」「慧……。そんなことまで……」慧さんのその言葉にまた女将さんは目を潤ませる。そっか、女将さん、料理上手だもんな。昔から女将さんはそんな風に慧さんを喜ばせてあげてたんだ……。自分が好きじゃないのに慧さんのためにわざわざ作ってあげてただなんて……。もちろん女将さんが料理が得意ということもあるけれど、でもそれだけでは決してそこまでのことは出来ない。それだけ女将さんは慧さんを大切に想っているからこその愛情の表現だ。慧さん、ちゃんとそれわかってたってことなんだ……。そしてそれを今こうやって言葉で伝えているということが、とても意味あることで。

  • おいしい契約恋愛   383.望んでいた幸せ⑥

    すると、遠くの方からこちらに歩いてくる女将さんが見える。「あっ、女将さん!」あたしは女将さんに笑顔で手を振る。「依那ちゃん」あたしを見つけてフワッと笑う女将さん。そして、ここまで辿り着くと、少し女将さんも緊張した表情に変わる。そんな女将さんの視線はもちろん慧さん。「今日は、お招きいただいてありがとう」女将さんは少し様子を伺うように、慧さんに声をかける。「いえ……。こちらこそ。わざわざ来ていただいてありがとうございます……。どうぞ座ってください」「ちょっと慧さん! なんか堅苦しいです!」「えっ……?」「なんかお仕事みたいです」緊張しているのはわかってはいるけど、でもあまりにも二人がガチガチで、会話もなんか仕事っぽくて。こんなんじゃ親子の雰囲気になりそうになくて、あたしはつい慧さんに指摘する。「あ、あぁ。そっか……。いや、でもいきなりはなんか……」「親子なのに?」「いや、それはそうなんだけど……」「よし。今から慧さんは女将さんに敬語はなしにしましょう」「は? いや、でも……」珍しく慧さんがずっと動揺している。だけど……、あたしも引かない!「慧さんが敬語やめないなら、あたし帰ります」「えっ!?  はっ!? ちょっ、何言ってんの!?」あたしのいきなりの発言に慧さんが今度は違う動揺をし始める。「あたしが帰るのは嫌ですか?」「そりゃもちろん!」「じゃあ、そうしてくれますよね?」だけど、まだ少し躊躇している慧さん。「――ね!?」あたしはそれでも引かずに隣に座りながら慧さんをじっと見つめて更に念押しする。「あぁ~もうわかった! わかったから!」「フフ。よかった。敬語になったらすぐ帰りますからね♪」よし勝った!あたし

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    「いらっしゃい。慧くん」中に入ると、本村さんのお母さんが笑顔で出迎えてくれる。「特等席。ちゃんと用意してあるわよ」「ありがとうございます」慧さんが言葉を返して、またあの素敵な特等席まで移動する。慧さんが女将さんが来るまで少し気持ちを落ち着かせたいのと、この特等席に案内してもらう目的で、女将さんには待ち合わせを少し後にしてもらった。女将さんには入口で名前を伝えてもらうことで特等席に案内してもらえるようになっていると慧さんが教えてくれた。そっか。ちゃんと女将さんも特等席に招待したんだな……。前に慧さんが教えてくれたのは、この特等席は他の一般のお客さんには一切案内してない席だということ。慧さんがこのお店を作る時に、特別に作ったこの場所。秘密の隠れ家のようなこの空間は、慧さんのたくさんの想いが詰まっている。自分が初めてここに来れた時もすごく嬉しかったけど、今女将さんを……お母さんもこの場所に通したということが、前と違う嬉しさが込み上げてくる。慧さんは少しずつ自分から歩み寄っている。自分の人生に大きな影響を与えた人ではあるけれど、だけど慧さんは離れてしまう前は、とてもお母さんが好きだったことはわかるから……。「この席で、二人は会えるんですね」「あぁ……。うん。今日は自分にとって大切だと思ってること、全部伝えておきたいと思って……」「はい。嬉しいです」「もし。依那ともっと前に出会っていたら。依那のお母さんも、この場所に招待したかった」「慧さん……」今の慧さんは余裕なんてないはずなのに、あたしのお母さんのことまで……。「ありがとうございます……。このお店。ホント大好きだったんで、きっとそうなってたら大喜びしてたと思います」「うん……」あぁ、そんな世界が存在がしていたかもしれないと思っただけで胸が温かくなる。決して叶わない現実だけど、でも自分の中でそんな想像が出来ただけで、とても満ちた気

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    「まさか、この店にあの人が来ることになるなんて思ってもみなかった よ」車から降りてお店に向かいながら、慧さんはフッと笑ってそんなことを呟く。「あっ、先に来ちゃってすいません」「いや。依那があの人を連れてきてくれたから、自分もこの店で会おうと決心出来たんだ」「そっか……。なら、よかったです」「自分の中でも確かにいつかそんな日が……なんて、心の中では思っていたような気もするよ」「はい……」女将さんと会う決心をしたからだろうか、いつもより慧さんは素直な言葉を口にする。「あっ、でも、慧さんが関わった初めてのお店とか、本村さんのご両親だとか詳しいことは一切伝えてません」「そっか。うん。わかった。じゃあ、それはちゃんとオレの口から伝えるよ」「はい」「でも。柾弥んとこの叔父さんと叔母さんには伝えてあるんだ。今日会うのが母親だってこと」「そうなんですね!」「やっぱりずっと世話になってた人たちだから。母親には絶対伝えなきゃいけないことだし、二人もずっと心配してくれてたから……」「そうですよね」「オレはまだどうしていいかわからないのに、あの二人はすでに喜んでくれてさ。あの人の詳しい話、まだ何もしてはいないんだけど、それを聞かずにあんなに喜んでくれたのがさ。あぁそれだけ心配してくれてたんだなって、ホントに胸が熱くなったよ」「素敵な方たちですね」「ホントに……。あの二人のおかげでどれだけ救われてきたか……。うん。ちゃんとそれをあの人にも伝えなきゃいけないから」慧さんのその表情と話し方で、どれだけ大きい存在だったのか、わかった気がした。そしてお店の前に着くと、慧さんは一度ドアを開ける前に立ち止まる。やっぱりまだ緊張しているのかも……。「慧さん。深呼吸しましょう」「えっ?」「はい。スー。ハー」あたしは手を広げたり閉じたりして、一人深呼吸を始める。「はい。慧さ

  • おいしい契約恋愛   380.望んでいた幸せ③

    「依那。今日はありがとな」「こちらこそ。あたしも一緒に連れてきてくれてありがとうございます」今日は慧さんと女将さんが親子として改めて顔を合わせる日。大将のお店との仕事が始まる前に少しでも今の複雑な気持ちを解消しておきたいと、慧さんが早めに仕事を調整して時間を作ってくれた。そして待ち合わせをしているお店は、もちろんこの前と同じ店の慧さんが初めてプロデュースした本村さんのご両親のお店。女将さんに前に会った時に、あの店でとは事前に伝えはしていたけれど、実はあれはただのあたしの願望で。絶対あのお店で会ってほしかったから、慧さんにあのお店で会いたいということを伝えようと思っていた。だけど、この話になった時、あたしが伝える前に、慧さんがその店でと言ってくれた。それだけであたしはもうすでに胸がいっぱいになって。慧さんの初めてプロデュースしたお店でお母さんと会うということは、きっと慧さんの中で何かを決心したからなのだと思う。きっとホントに憎んでいたりしたら、そんな大切な場所で絶対会おうだなんて思わないはず。きっと慧さんはその場所で会いたかった。きっとそういうことだと思う。「依那がいなきゃ意味ないよ。まだオレ一人だけじゃどうしていいかわからなくなる」「はい。あたしがついてるので大丈夫です!」店に向かう車の中、あたしは助手席から慧さんに元気よく伝える。あたしはいつも通りあたしでいないと。慧さんはきっとまだ複雑な想いのままいるはず。きっとその気持ちは、慧さん次第で上がりも下がりもする。不安に感じるとそっちに持っていかれてしまう。だけど今日はそういう気持ちはすべて過去に置いてきてほしくて。とにかく明るく前向きになれるように。慧さんがこの状況を自然に受け入れやすくなるように。あたしは一切不安を持つことなく、何があったとしても今の慧さんのすべてを丸ごと包み込んであげられるくらいの自分として隣でいられ

  • おいしい契約恋愛   232.何気ない幸せ⑧

    「それならやっぱりこうやって伝えていくしかないよな」「こうやってって……?」「オレの気持ちが信じられないんだろ? なら、どんだけオレかお前を求めてるか、こうやって実践してお前の記憶や身体に刻みつけてくしかない」「えっ!?」本気か冗談かわからないような言い方に、あたしは一瞬戸惑う。「お前は今そこまで実感も自信もないかもしんねぇけど、オレはもうこうやって何かあったらお前にちゃんと気持ちを伝えたいって思うし、触れたいって思う」「慧さん……」だけど、そうやってちゃんと伝えてくれるその言葉で冗談じゃないことがわかる。「だから、これからお前が実感ないなら、オレが実感させてやる。そもそもお

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  • おいしい契約恋愛   150.特別な存在⑤

    「なんかお前いつでも全力だよな(笑)」「それがあたしの取り柄ですから!」「確かに。それなかったらお前じゃねえしな」「だから。あたし。仕事でも認めてもらえるような人間になろうと思って」「ん? それはオレにってこと?」「もちろんです。あたし。仕事でもちゃんと頑張ってる姿見てもらって、中途半端な気持ちじゃないってこと、慧さんとしても社長としても知ってもらいたいです」「んなの言わなくてもわかってるよ」「でも。あたしの仕事ぶりはまだ社長には見てもらったことないですし、会社の人間としては、まだ全然役に立ててなくて……」「そんなのお前の年齢と経験では普通だし」「だけど。あたし、ホントに社

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  • おいしい契約恋愛   131.親友への報告⑧

    「え、ヤバッ。依那、あんた社長の前ではそんな感じなんだ!?(笑)」「あっ……」「なんだ、心配することないじゃん(笑)」「え?」「ちゃんとあんたはあんたらしくいれてんじゃん。社長と初めて会った時も、そうやって同じように威勢よく立ち向かってたし(笑)」「いや、あれは……!」「あ~そっか。そういえば、あの時もそんな感じだったね。ほら、あたしが言った通りになってんじゃん」「え? なんて言ってたっけ?」「人生何が起きるかわかんないよって」「あ~、そういえばなんかそんなこと言ってたかも」「あの時、そうやって話してる二人の雰囲気いい感じだな~と思ってたんだよね」「あ~。確かに。あの時

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  • おいしい契約恋愛   42.動き始めた二人の関係②

    「心して彼女役務めさせていただきます」そして、その気持ちを忘れないように、しっかり声に出して自分に言い聞かせる。「何、どした、いきなり」「いや。大事な仕事先の方なら失礼にならないようにしないとなと思って」「あぁ~。うん。そこがな、難しいとこなんだけど。この前お願いした相手は別にあれ以上仕事に影響なかったからあれでよかったんだけどさ。今回はこれからもまだ仕事で付き合っていく人だから、そこはまぁあんま揉めないように上手くやってほしいっていうのはある」「ですよね。なんか簡単そうに思えてちょっと責任重大ですよね」「まぁ普通の状況の彼女役とかじゃないからな。結局オレは仕事にも関わってること

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