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第97話

Auteur: 霜晨月
last update Date de publication: 2026-02-22 16:29:09

「――まさか、清河寨の援軍だと?」

沈驚月は弾かれたように立ち上がり、苛立ちを隠せぬ様子で幕舎の中を何度も往復した。沈思黙考の末、彼は忌々しげに首を振る。

「あり得ん。奴らがどこの勢力とも結盟したなどという話は一度も聞いていない。援軍など、来るはずがないのだ」

しかし、今はそのような枝葉末節の詮索に耽っている時ではなかった。沈驚月は直ちに山麓の包囲網から二隊、計五千の兵を割いた。一隊は頼将軍の救援へ、もう一隊は兵糧庫へと急行させ、守備を厳重に固めさせた。

兗州軍の陣営を夜襲したのは、他でもない阮棠と周歓が率いる遊撃隊であった。彼らは陣へ突入するや否や、容赦なく火を放った。

折しも兗州は乾燥した気候が続いており、火の手は瞬く間に燃え広がった。頼将軍の陣営の将兵たちは、突如として牙を剥いた敵襲に混乱に陥り、暗闇も手伝って敵味方の判別すらつかぬ有様となった。

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