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第637話

Autor: ルーシー
新垣家で、玲奈がこれほどあからさまに感情を露わにしたことは一度もなかった。

新垣家の人間に、真っ向から歯向かったのもこれが初めてだった。

だからこそ、その場にいた誰もが、彼女の怒声に息をのんだ。

とりわけ隣に座っていた美由紀は、びくりと身を震わせ、思わず飛び上がりそうになったほどだった。

だが我に返ると、美由紀も負けじと茶碗を強く食卓へ置き、低い声で言い返した。

「当たり前でしょう。

智也が死んだあと、あなたがのうのうと生きていて何になるの。

そんな資格があるとでも?」

玲奈は怒りを表には出さなかった。

ただまっすぐに、美由紀の目を見返した。

しばらくしてから、ふいに冷えた笑いをこぼす。

「……それならちょうどいいですね。

智也ももう出ていったことですし、私もここに残る必要はありません」

そう言い捨てると、玲奈は立ち上がり、そのまま広間の外へ向かおうとした。

美由紀の隣にいた清花は、不安そうな顔で二人を見比べていた。

今にも一家が大揉めになるのではないかと、気が気ではなかったのだ。

玲奈が立ち上がった瞬間、清花にはわかった。

もう止められない、と。

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