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第7話

作者: 狐坂
ロンドンに到着した蓮は、カレッジの正門前で丸一日立ち尽くして待っていた。

夕暮れ時、しとしとと冷たい小雨が降り始めていた。

私はどうにか繋ぎ合わせた出展作品を抱え、校舎から出てきたところで、すぐにその姿が目に入った。

蓮は傘も差さず、ずぶ濡れになって立っていた。

漆黒のコートは雨を吸って重く垂れ下がり、その手には、一つの古い木箱が大切そうに抱えられている。

それはアトリエで雨に晒され、蓮が回収した父の遺稿たちだった。

「柚羽」

蓮はかすれた声で私の名前を呼び、ゆっくりと歩み寄ってきた。

私は足を止めた。

「どうしてここにいるの」

自分でも驚くほど、冷淡で平坦な声が出た。

かつては、蓮とわずか数時間連絡が取れないだけで、不安に駆られて一晩中眠れなくなったものだ。

それなのに、彼が地球の反対側から私を追いかけて目の前に立っている今、私の心にはさざ波一つ立たなかった。

蓮は、大切そうに抱えた木箱を私に差し出そうとした。

「修復できる原稿は、すべて専門家に依頼して元通りにしてもらった。

遥が故意に懐中時計を落とした証拠の映像も見つけた。

事故の再調査も行われ、遥
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