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第6話

Auteur: ぷりん
葵は、ただぼんやりとしていた。

当時の彼女は、哲也が自分を心から愛してくれていると信じて疑わなかった。哲也はすでに、何不自由のない豊かな生活を与えてくれていたというのに、それでもまだ、自分は十分に尽くせていないと思い込んでいたのだ。

まさに、「愛とは常に不足を感じること」という言葉そのものだった。

けれど今、哲也は何のためらいもなく、何も思い煩うこともなく、麻美と旅行に出かけてしまう。その姿を前に、葵がこれまで「愛の証」だと信じて疑わなかった「常に不足を感じること」は、実のところ、哲也が巧妙に装ったただの言い訳にすぎなかったのだと、痛感せざるを得なかった。

彼女はあまりにも愛されたくて、わずかな幻想にもすぐに心を委ねてしまう性質だった。だからこそ、あの態度を哲也の愛情表現だと、都合よく勘違いしてしまったのだ。

「葵さん」

使用人のおばさんの声が、彼女の回想を遮った。

「お昼は、何がよろしいですか?」

葵は無意識のうちに、自分のお腹をそっと撫でた。あの日、麻美が注文した脂っこい料理の数々で、つわりがひどくなっていた。薄味の料理をお願いすると、ソファに身を預け、出国前に済ませておくべきことについて考え始めた。

哲也と麻美がいないことが、むしろ安堵に繋がっていた。二人の仲睦まじい様子を目にするたび、過去四年間の自分の境遇と無意識に比べてしまっていたからだ。

何度も胸が締めつけられ、何度も心が死んでいった。

愛という名で覆われた嘘は、麻美の登場によって、完全にその仮面を剥がされ、もはや隠れる場所を失ってしまった。

この数日間に起きたことは、葵が四年かけて築き上げた信念を、音を立てて崩してしまった。気持ちはまったく落ち着かず、思考はどこまでも混乱を極め、ついにはお腹が痙攣を始めた。

次第に強まる痛みに、葵は腰を折り曲げたまま、長いあいだ立ち上がることができなかった。使用人が異変に気づき、慌てて病院へと連れて行ってくれた。

完全に意識を失う直前、葵は最後の力を振り絞って医師の手を握りしめ、誰にも妊娠のことは言わないでほしいと頼んだ。

医師は事情を察し、静かにうなずいた。

そして、葵の意識は闇の中へと沈んでいった。

再び目を覚ました時、ベッドの前には哲也と麻美が立っていた。

哲也は不機嫌そうな顔をしており、麻美は心配げに眉を寄せていた。葵が目を開けるや否や、麻美が急いで声をかけた。

「お義姉さん、具合は良くなりましたか?」

哲也が戻ってくるとは思ってもいなかった葵は、思わず口を開いた。

「......どうして、戻ってきたの?」

哲也が答える前に、麻美が言葉を継いだ。

「お手伝いさんから哲也に電話があって、お義姉さんが倒れたって聞いたんです。それで、急いで戻ってきました」

麻美のその言葉には、ほんのわずかに責めるような響きがあった。それが葵の胸にざらついた不快感をもたらした。

「......ごめんなさい。旅行の邪魔をして」

葵がそう言うと、哲也が不満そうに吐き捨てた。

「そうだよ、お前さえいなければ、あと二日は楽しめたのに」

麻美は思いやり深く彼の手をそっと握り、「哲也、そんなこと言わないで」とたしなめるように言った。

「お義姉さんもわざとじゃないんだから。また機会があれば行けるよ」

哲也は彼女の手を包み込み、微笑み返した。

葵は、二人の睦まじい様子を見ないように目を逸らし、静かに視線を落とした。

「......戻ってこなくてもよかったのに。だいたい、戻って来いなんて、誰も頼んでない」

「なんだその言い方は?俺が見舞いに戻ってきたのが、間違いだったっていうのか?」

「......どうして戻ってきたの?」葵は、もう一度問いかけた。

哲也は一瞬、言葉に詰まった。その沈黙を埋めるように、麻美が口を挟んだ。

「私が哲也に、戻ろうって言ったんです。お義姉さんのこと、きっと心配してると思ったから。旅行なんて、またいつでも行けますよ」

「そうだよ......麻美はほんとに優しいな」

その一言を聞いた瞬間、葵の胃がひっくり返るような感覚が走り、込み上げる吐き気を抑えることができなかった。

二人に「出て行って」と言おうとしたその時だった。

麻美がふいにこめかみに手を当て、ふらつくように哲也の胸に倒れ込んだ。

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