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第428話

Author: ラクオン
突然のキスに、竜也は虚を突かれた。

彼女のキスは酷く拙いものだが、たったそれだけのことで、抑えていた感情が激しく揺さぶられた。

このまま溺れてしまってもいいとさえ思った。

次の瞬間、竜也は主導権を奪い返した。

彼女を抱き寄せ、長い腕でその腰をホールドすると、有無を言わせず口づけを深めていった。

ほのかな沈香の香りが鼻腔をくすぐる。

梨花はふと、このまま時が止まってしまえばいいのにと、願わずにはいられなかった。

何もかもが、この瞬間のまま凍りついてしまえばいい。

夜風が吹き抜け、梨花はハッと我に返った。

これ以上流されてはいけないと、彼女は竜也を突き放し、荒い息を整えながら必死に理性を呼び戻そうとした。

彼女は大きく息を吸い込み、笑顔を作って言った。

「あなたがいいって言っても無駄よ。私には、他人に父親の役を押し付ける趣味はないの」

「なんだそりゃ?」

竜也は呆れ果てたように自分の唇に触れた。

「じゃあ、今のキスは何だ。梨花、自分からキスして、どういうつもりだ?」

誰に教わったんだか。

関係を断ち切りたいと言いながら、ちゃっかり味見だけはしていくとは。

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