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待ち伏せ③

Author: 雫石しま
last update Last Updated: 2025-07-09 11:55:08

エレベーターの扉がゆっくりと閉まる。

「菜月」

「湊、びっくりしちゃった」

 湊に手を引かれた菜月は、賢治に見つかる事を恐れ2018号室を何度も振り返った。けれどそれは杞憂に終わった。湊がカードキーをドアノブに翳すとカチっと軽い音がして、2011号室の扉に緑のランプが点った。

「この部屋はどうしたの?」

「僕たちの作戦会議の部屋だよ」

 壁の電源スイッチにカードキーを差し込むと、夜景の中に温かなオレンジの明かりが灯った。2人の姿が大きな窓に映った。

「あああああ、ドキドキした!」

 湊が振り返ると、床に座り込んだ菜月がいた。その首には、黒い一眼レフカメラがぶら下がって揺れていた。

「菜月、お疲れ」

「う、うん、本当に疲れた!緊張した!」

 湊が菜月の前に、室内履きスリッパを置き、微笑んだ。

「あ、ありがとう」

「どういたしまして」

 湊は菜月の首からストラップを外し、窓際のソファに腰掛けた。

「どう、ちゃんと撮れてる?」

 湊は、菜月が撮影した画像を1枚、1枚、確認した。そのどれもが、賢治の不倫行為の証拠となるものばかりだった。

「すごいよ菜月、これなら興信所のスタッフに採用されるよ」

「本当!?良かった!」

 やや薄暗いが2018号室に入る賢治と”女”の後ろ姿が写っている。ただ、如月倫子の顔が曖昧だった。

「如月倫子の顔が欲しいな」

「ごめん」

「菜月のせいじゃないよ、こんな角度じゃ僕でも無理だよ」

「うん」

「如月倫子が部屋から出る瞬間を撮ろう」

「でも、いつ?」

 賢治と如月倫子が入室した時刻は20:20。2人が情事を終えて客室の扉を開ける時刻など、皆目分からない。

「賢治さんはいつも23:00過ぎには帰って来ていたんだよね?」

「でも今は、私が家に居ないから泊まりかも」

「そうだね」

 長丁場になる事は予想が付いた。

「泊まりだとしたら明日の朝」

「でも油断は出来ないね」

「うん」

 菜月と湊は客室の扉を10cmばかり開け、廊下の様子を窺った。そこに人の気配はなく、菜月と湊の2人しかいないような気さえした。

「これじゃ不審者だね」

 そこで一眼レフカメラを手にした湊が閃いたとばかりに廊下に出た。

「ちょっ、ちょっと湊!どうしたの!」

 湊は廊下に置かれた観葉植物の鉢植えの中にカメラを忍ばせ、シャッターを押した。1回目は気に入らなかったらしく、2回目の撮影は
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