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第5章

Author: Desire steve
last update publish date: 2026-08-06 15:34:56

エララ:

戦闘が繰り広げられているかのような、騒音と低い唸り声が聞こえてくる。私は無理やりベッドから這い出し、その声が聞こえる方向へと向かった。声に近づくにつれ、大地とムスクのような力強い匂いが私の鼻を満たしていった。正体が分からなくても、守られていると感じさせるような匂いだった。

私の中の狼、エリが歓喜して跳ね回り、私の名を呼びながらもっと速く歩くよう要求してくる。

私の足はアルファ・アーサーの応接室へと踏み入ったが、そこで目に飛び込んできたのは、背が高くハンサムで鍛え上げられた体つきの男が、アルファ・アーサーの首を掴んでいる姿だった。一方のアルファ・アーサーも、激闘の中でその男のシャツの襟ぐりを掴み返していた。

「つがい! つがい! つがいだわ!」エリは頭の中で叫び続けながら、尻尾を左右に振っていた。

アルファ・アーサーの部下たちが二人の男を押さえつけ、喧嘩を制裁した。すると、そのハンサムな男が私に向かって駆け寄り、私の手首を掴んだ。

彼に触れられただけで、ギデオンにさえ感じたことのない強い繋がり(結びつき)に全身が包まれるのを感じた。顔を上げて彼の目を見つめると、瞬時に私の体はその眼差しの中に溶け込んでいった。

彼は指を私のトップスに滑らせ、それを脇へと押しのけた。すると一瞬にして、彼の灰色の瞳は私の体に刻まれた刻印(マーク)を目にし、怒りで覆い尽くされた。

「よくも俺の『つがい』を自分のものにしようとしてくれたな!」彼は怒号を上げ、アルファ・アーサーに襲いかかろうと爪を伸ばした。しかし、私は彼を引き留めた。自分がその野獣(アーサー)が襲われるのを止めていることに気づいたのだ。なぜだか分からないが、アルファ・アーサーに危害が及ぶことが心配だった。

躊躇うことなく、そのハンサムな男は私の手首を引っ張り、アルファ・アーサーの邸宅から引きずり出した。

背後からアルファ・アーサーの凄まじい遠吠えと、陶器やガラスが粉々になる音が聞こえた。部下たちに抑え込まれ、私たちの後を追うのを止められているのだと分かった。あの野獣は、一度己のものとした奪い物を他人に持っていかれることなど絶対に許さないのだから。

ソファに腰掛け、足を絶え間なくトントンと鳴らしながら、私はそのハンサムな男から視線を離せずにいた。彼が私の「つがい」であり、その容姿からアルファの狼であることは分かっていたが、私はまだどんな男とも一緒になる心の準備ができていなかった。人生をめちゃくちゃにされたギデオンの仕打ちからまだ立ち直れていないし、どうやって自分の自由を取り戻すかも探している最中だった。男と一緒にいることなど、私の中で最も優先順位の低いことだった。

「何年も君を探し続けていたんだ、エララ。あのホテルで君に会えて本当に良かった」と彼は言った。彼の声はアルファ・アーサーのように低く、圧倒的な威厳に満ちていた。

私は唾を呑み込み、後頭部を掻いた。「何のホテルのことをおっしゃっているのですか、アルファ?」

「数日前の朝、君が逃げ出したあのホテルだよ。後を追ったのだが、君は足が速いようだな」と彼は鼻を鳴らした。

手が不安そうに太ももの上を滑る中、私は静かに息を吐いた。あの朝は多くの混乱に見舞われたし、次に何が起きるのか予測もつかなかった。「アルファ、私……」

「アルファ・ブレイドだ。名前はブレイド。ブラックフォレスト・ブラザー・パックのアルファだ」彼の顔がパッと華やぎ、これまで見た中で最も温かい笑みを私に向けてくれた。

「う、うん……!」声が喉に引っかかり、私はただ首を縦に振った。ブラックフォレスト・パックの強大な大富豪アルファが、私の運命のつがいだったのだ。この男については多くの噂を耳にしていたが、個人的には何も知らなかった。こんな状況で、自分をどう感じ、どう反応すればいいのか分からなかった。

手元に温もりを感じ、私の体はショックで跳ね上がった。彼は私を立たせると、私の腰に手を回し、左の食指で私のあごを持ち上げて見つめ返してきた。

「アルファ・アーサーはすでに君に自分の刻印(マーク)を与えてしまった。だから私が君に刻印を刻むことは不可能だ。だが、君が私のもの(つがい)である以上、私が君を所有することを誰も止めることはできない」彼の指が私の顔をなぞり、優しく肌を撫でた。「君を私のルナにして、私のパックへ連れ戻したい」彼がそう告げると、私は口を開いて何かを言おうとしたが、彼はその指を私の唇に当て、言葉を制した。

そして彼は続けた。「君に私のルナになることを提案するのは、君のパック出身の雌狼を我がパックの構成員が受け入れる唯一の方法だからだ。両パックが長年にわたって宿敵同士であることは、君も百も承知だろう」

私自身、どのパックの関心事にも、自分のパックのことにすら関心がないと分かっていたが、私は頷いて同意した。

彼は咳払いをして私を自分の体に押しつけた。私の胸が彼の広い胸に押し当てられ、心臓が跳ね上がるのを感じた。「君の自由を奪いたいわけではないんだ、エララ」と彼は囁いた。

なぜ彼が私の名前を知っているのか尋ねたかったが、今はただ、彼が話し終えるのを待つ必要があった。

「5年間の契約結婚を提案したい。その後、継続するかどうかはお互いに決めればいい」彼は視線を私に固定し、静かに語りかけた。

これは私にとって悪い話ではなかった。5年間ルナとして過ごす。そうすればアルファ・アーサーから逃れられるし、母を殺した義母、あらゆる悪事を働いた異母姉、そして自分を裏切ったギデオンに復讐するため、圧倒的な力をつけて戻ってくることができる。

躊躇うことなく、私は契約結婚に同意した。彼は私を温かく抱きしめ、一瞬、もっと彼の抱擁を求めている自分に気づいた。

私たちは役所の登記所へ向かい、契約結婚の手続きを済ませ、荷物をまとめるためにホテルの部屋へ戻った。両パックが宿敵同士だと知りながら、何が彼を我がパックに呼び寄せたのか尋ねる気にもならなかった。そんなことは重要ではなかったからだ。

亡き母の死以来、父が私を気にかけてくれたことなど一度もないから、私を探すことすらないだろう。彼は私がいなくても自分の家族は完璧だと思っているのだし、私が去ることで彼の願いを叶えてあげられるのは好都合だった。

ブラックフォレスト・パックに着いたら連絡を取り、合流させる唯一の人物はマリシアだ。彼女が私の唯一の家族なのだから。

アルファ・ブレイドがナイトシェード・パックの道路を抜けて空港へと車を走らせる中、私は自分の新しい生活がどんなものになるのか思いを巡らせた。感情は、自分でも分からない理由から、嬉しさと悲しみが入り混じった複雑なものになっていた。

思考に沈んでいると、車が突然キーッと猛ブレーキをかけて止まり、私の体が前方へ跳ね上がった。警察官数名がアルファ・ブレイドに停止命令を出し、私たちの車へと歩み寄ってきた。

警察官の一人が敬意を込めて頭を下げた。「アルファ・ブレイド、アルファ・アーサー様のご命令により、行方不明のルナ様が見つかるまで、何人たりともパックからの退出および進入は禁じられております」

私は頭を抱え込み、小さな恐怖が体に忍び込んできた。アルファ・アーサーは、たかが私一人のためにパック全体を身代金代わりに人質に取るというのか? 一体この暴君は何者なんだ? 私に何の用があるというのだ?

事態はますます複雑になっているようだ。アルファ・アーサーの手が私に及ぶ前に、どんな手段を使ってでもこのパックから逃げ出さなければならない。

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