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第685話

Author: レイシ大好き
彼女は嬉しそうに駆け寄り、靖弘の腕に手を回して笑顔で言った。

「お父さん、緒莉お姉ちゃんと一緒にいたの?」

緒莉は片眉を上げ、すぐに反応した。

「この人が真名子のお父さんなのね」

まるで今知ったかのように、声には驚きと喜びが混じっていた。

予想外の遭遇に、靖弘は少し慌てた。

まさか自分の娘とこんな場所で会うとは思ってもいなかったのだ。

一瞬、どう説明すべきか分からなかったが、緒莉の機転の利いた反応に、むしろ面白さを感じた。

真名子はこくりとうなずいた。

「そうだよ、お姉ちゃん、どうして二人が一緒にいるの?」

緒莉はにっこりと笑った。

「真名子のお父さんはすごい人だね。まさかうちの学校の理事だなんて。私たちはある大会で知り合ったの。

それで、たくさん助けてもらったから、お礼にプレゼントを選びに来たの」

嬉しそうに真名子の腕に自分の腕を絡め、

「奇遇だね!

ずっと助けてくれていた人が、まさか真名子のお父さんだったなんて!」

きらきらした瞳で靖弘を見上げ、尊敬の色を浮かべる緒莉。

その姿に、靖弘はますますこの娘を気に入った。

最初はボロを出すのではと心配していたが、この対応力は想像以上だ。

長年場数を踏んだ自分よりも、よほど老獪かもしれない。

靖弘は緒莉の肩を抱き、笑顔で娘に視線を向けた。

「真名子、この娘と知り合いだったのか?」

「うん、小学生の頃から同じ学校で、成績もずっと優秀だったんだよ!」

真名子は羨望の眼差しで緒莉を見つめ、その瞳には尊敬があふれていた。

その視線に、緒莉は少し誇らしげに胸を張る。

やはり、昔真名子と親しくしておいたのは正解だった。

結局、自分にとって得になる形で戻ってきたのだ。

靖弘も満面の笑みを浮かべる。

これで、余計な心配をする必要はなくなった。

三人で仲良く買い物を楽しめばいいだけだ。

「さあ行こう。今日はいい日から、二人とも欲しい物を好きに選びなさい。全部僕が払うからね」

その言葉に、真名子は嬉しそうに靖弘の頬にキスをした。

「ありがとうお父さん!お父さん大好き!」

靖弘は笑いながら、

「お父さんも、真名子が大好きだよ」

そう言いつつ、真名子が気づかないうちに彼女の手にブラックカードを滑り込ませた。

緒莉の瞳には、さらに濃い笑みが宿る。

ほら、男なんてこんなものだ
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