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第5章

Author: Deep ink
last update publish date: 2026-08-11 15:26:53

アルファの誘惑

アザレア〜

ヴェルヴェット・エクリプス・クラブは山腹の奥深くに埋もれるように存在していた。そこは赤い光と重低音、そして狩るか狩られるかのためにやってくる狂った狼たちの巣窟だった。

足を踏み入れた瞬間、獲物であり捕食者でもあるような感覚に包まれ、鼓動は早くなったが、私は立ち止まらなかった。

身に着けた短い黒のドレスは、淫らそのものだった。お尻をかろうじて覆う程度の丈で、胸元は深くはだけ、一歩間違えれば胸が完全にこぼれ落ちそうだった。ノーブラ。ノーパン。下にはただ、剥き出しの敏感な肌があるだけで、怒りと歪んだ期待の入り混じった感情で、すでに湿り気を帯びていた。

一歩踏み出すたびに生地が腫れ上がった膣口を擦り、背筋に望まない火花を走らせた。

ここへ来たのは、彼のゴールドカードを返すため。

少なくとも、VIPエリアに向かって群衆の中を歩きながら、頭の中で何度も繰り返していた言い訳はそれだった。

ローマンは闇そのものを所有しているかのように、陰になったボックス席に一人で座っていた。両脚を大きく広げ、片腕をシートの背もたれに怠惰に回し、その強靭な体躯は寛ぎつつも危険なオーラを放っていた。彼が目を上げ、私を捉えた瞬間、空気の流れが変わった。

彼の視線が私の体をゆっくりと舐めまわし、露出した肌の隅々、ドレスが身体にフィットして描く曲線、そして薄い生地越しに固く尖った乳頭を捉えた。

その視線に、膣が固く締め付けられた。両脚の間に熱が溢れ出す。彼に対して身体が反応してしまうこと、あの夜、彼が私をどれほど満たしたかを正確に記憶している自分が忌々しかった。

私は彼のボックス席へと真っ直ぐ歩み寄り、広げられた彼の太ももの間に立ち止まった。膝が触れ合いそうなほど近く。彼が手を伸ばせば、ドレスの下に滑り込ませて滴る私を見つけられるほど近く。

「これを返しに来たの」と、ゴールドカードを差し出しながら言った。声は思った以上に低く、息混じりになっていた。

彼はすぐには受け取らなかった。ただ、あの冷たく読み取れない仮面のような顔で、顎を固く結び、外の森のように暗い瞳で私を見つめるだけだった。

私は身を乗り出し、胸が彼の顔から数インチのところに来るまでかがんだ。「オフィスであの女と交わっているのを見た後、一日中私を避けていたでしょう。本物が恋しくなったんじゃないかと思って。あなたの肉棒をどう受け止めればいいか、本当に分かっている相手が」

私は彼の硬い太ももに片手を置き、指を上へと滑らせ、ズボンの上にすでに膨らみつつある塊の近くを擦った。「このドレスの下、何も穿いていないのよ、ローマン。私の膣は丸見え。あなたが深く突き刺したせいで、まだヒリヒリしているの」私は微かに笑みを浮かべた。「あなたがすべきことは、手を差し入れて、欲しいものを奪うことだけ」

彼の呼吸は穏やかなままだったが、顎の筋肉がわずかに強張るのが見えた。ボックス席の背もたれにある彼の手がピクリと動き、私を掴みたい衝動と戦っているようだった。

私はさらに近づき、唇が彼の耳にかすめるようにして、掠れた声で囁いた。「このテーブルの上に私を組み敷いて。みんなが見ている前で、ここで私を抱いて。前回みたいに、あなたの名前を叫ばせて。私を使って。また私を台無しにしてよ。そうしたいんでしょう?」

一瞬だけ、彼の指が私の太ももの生肌に触れた。彼を求めて脈打っている場所に、目と鼻の先だった。息が詰まった。濡れた小陰唇に彼の指が触れるのを待ちわびて、下腹部の奥に熱が溜まった。

だが次の瞬間、彼は素早い動きで私の手からカードをひったくると、突然立ち上がり、一言も発せずに去っていった。VIPエリアの真ん中で、私を捨てられた玩具のように置き去りにして。

拒絶のショックが、背筋に氷水を注がれたように襲いかかった。

ゆっくりとボックス席に沈み込みながら、私は奥歯を噛み締めた。胸が締め付けられ、怒りと恥ずかしさが混ざり合って醜い感情へと変わっていく。

押し戻そうと戦ったが、目に涙が滲んだ。

彼は私を欲していなかった。本当は。さっき彼の瞳に見えた気がしたあの熱も、私の気のせいだったに違いない。私はただの、公の場で恥をかかされた惨めな、拒絶されたベータに過ぎなかった。

こんな格好をして、自分からあからさまに差し出しても、彼は何事もなかったかのように立ち去ることができるのだ。

テーブルにあった空のグラスを掴み、ウイスキーを注ぎ込むと、喉を焼くように一気に飲み干した。液体は喉を焼き尽くしたが、屈辱感を和らげることは何もしてくれなかった。

「クソ野郎」と私は呟き、もう一杯注いだ。「傲慢で、冷酷な嫌な奴。あなたのソレが腐り落ちればいい。自分のプライドで喉を詰まらせて死ねばいいのよ」

何杯もグラスを空けた。アルコールが血管を駆け巡り、あらゆる感覚が鋭くなると同時にぼやけていった。頭がクラクラした。私の膣は放置され、不満を抱えたまま、今も怒りに満ちて脈打っていた。

一人の男が向かいのボックス席に滑り込んできた。悪くない身なりだったが、ローマンとは比べるべくもなかった。彼の視線が、かろうじて隠された私の体を卑しい目つきで舐めまわした。

「やあ、可愛子ちゃん」彼は私との距離を詰めた。「今夜は本物の相手を探してるのかい? そのドレス、脱ぎたがってるように見えるぜ。奥の部屋に連れて行って、その綺麗な顔に浮かんだ怒りを忘れるまで、その太ももの間に顔を埋めてやろうか」

「興味ないわ」私は彼をまともに見ようともせず、素っ気なく言った。

彼は笑い、さらに近づいてきた。「おいおい、つれないこと言うなよ。こんな場所でそんな格好をしてる女は、ハメられたがってるに決まってるだろ。その膣がどれくらい濡れてるか触らせろよ。滴り落ちてるんだろ」

「嫌だと言ったでしょう」私は息を吐き出し、立ち去ろうと立ち上がったが、彼は私の手首を掴み、自分の体に強く引き寄せた。

彼の手が滑り落ち、短いドレスの下から私のお尻を掴み、指が剥き出しの濡れた膣口に触れた。

「じらしてんじゃねえよ、このアマが——」

私の中で怒りが弾けた。グラスをひったくり、残りのウイスキーを彼の顔面に真っ直ぐ投げつけた。

彼は怒号を上げ、私の頬を強くひっぱたいた。顔全体に痛みが弾けた。口の中に血の味が広がり、よろめきながら頭が横へと跳ね飛ばされた。

殴り返そうと動いた瞬間、耐えがたい破壊音とともにボトルが彼の頭で砕け散った。

嵐が解き放たれたかのように、ローマンが現れた。小鼻を膨らませ、額に深いシワを寄せていた。

彼は瞬時に男に襲いかかり、残忍で容赦のない力で拳を振るった。拳が肉を叩く湿った破壊音が響くたび、床に血が飛び散った。男は反撃しようとしたが無駄だった。ローマンは完全なるアルファの怒りそのものだった。野蛮で、止められず、暴力の中に完全に没入していた。

「やめて!」私は彼の腕を掴んで叫んだ。「ローマン、やめて! 殺してしまうわ!」

彼は私を強く突き飛ばし、私はボックス席のシートに倒れ込んだ。彼の目は野生的で、完全に理性を失っていた。男が完全に動かなくなるまで、彼は何度も、何度も拳を打ち込み続けた。VIPエリアの床には、ただ血まみれの破片と化した男が転がっているだけだった。

クラブ全体が静まり返っていた。誰もが息をのんで見つめていた。

胸を激しく打たせながら、私は凍りついたように座り込み、自分が誘惑しようとしていた怪物を見つめていた。あの冷たい仮面の裏に隠されていた、生の、恐ろしいほどの力。

私は一体、何を始めてしまったのだろう?

そしてなぜ、私の一部は彼が助けに来てくれたことに安堵のようなものを感じているのだろうか?

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