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英雄たる所以

Author: 一一
last update Last Updated: 2025-08-01 21:00:00
「何だ?半泣きになりながら何をしている?」

 苦悶に満ちた表情で剣を向けてきているレイに対し、ブレイズは困惑の声を上げる。

「ハッタリのつもりか?一体何を仕切り直すつもり……」

「待った」

 構わずにレイへと突撃しようとしていたブレイズを止めたのは、傍らでレイを観察していたマーガであった。

 その一言で、熱くなりかけていた思考が一気に冷やされ冷静さを取り戻す。

 ブレイズは、マーガの冷静に観察し状況を把握する能力を、彼の使う魔法と同じ位信用していた。

「彼女の。何処で手に入れたのかは分からないけど、恐らくさっき彼女が飲んだのは回復薬だね。この一瞬で魔力まで回復する薬なんて聞いた事が無いけど……」

 と、困惑と興奮が綯い交ぜになったかの様な口調で話すマーガ。

 それに驚きブレイズもレイを見遣ると、確かにレイに与えた傷が回復しているのが見て取れる。

 高級な回復薬ならまだこの回復速度は理解出来るが、魔力も回復する回復薬などブレイズは聞いた事が無かった。

 隣で驚いている辺り、博識のマーガすら知らなかったのだろう。

 その回復薬の存在は自国の発展、いや戦争にさえも役に立つ有益な物だと2人は一瞬で判断した。

「知りたい事がまた増えたね」

「だがやる事は変わらん、奴を捕らえて聞き出せば良いだけの話」

 2人でそう結論付け、改めて戦闘態勢に入るブレイズとマーガ。

 かなりの実力者であり、完全回復を果たしたレイに対してでさえも、この2人なら捕縛出来る、そう考えての発言だった。

(やっぱり今度落ち着いた時に、ニイルに頼んでこの薬を改良してもらわなくちゃ!)

 対するレイだが、飲み干した回復薬のあまりの不味さに集中力を削がれていた。

 これでは傷や魔力が回復しても弱体化デバフと大差無い。

 不味さに堪えていたレイも、段々とニイルに対して怒りが込み上げてきた。

「その為にも、さっさと方を付ける!」

 ニイルに対する怒りも込め、一気に踏み込みブレイズへと斬り掛かるレイ。

+5ブーストファイブ』のお陰で常人には見切れない程のスピードで迫ったのだが、レイは怒りですっかり失念していた。

 この程度では見切られた可能性が有るという事を。

「甘い!」

「なっ!?……ぐっ!?」

 
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