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第4話

Penulis: ひとくちネコ
三年前、私が達也と結婚した日。

彼女はひとりで隣のホールに座り、私たちの結婚式を最初から最後まで見ていた。

そこで私は達也に尋ねた。

「あの人、あなたの親戚?」彼はちらりとその女を見て、しばらく黙ったあと、「さあ……知らない人だよ」と答えた。

彼女のあまりにも虚ろな表情を見て、私はてっきり失恋でもしたのだと思った。だから、気の毒になって、祝福のキャンディとケーキを分けてあげた。

まさか、その失恋の相手が――私の夫だったなんて。

私は視線を落とし、ふと笑ってしまう。

私が大切にしてきたこの愛は、最初から嘘にまみれていたのだ。

スマホが急に震えた。

画面を開くと、達也のオフィスのデスクの写真が送られてきた。

【馨ちゃん、会社に着いたよ。この書類の山、見えるか?君の旦那さん、もう死にそうに疲れてる。元気を出すためにキスしてくれない?】

私は力が抜け、シートの背にもたれたまま、顔を手で覆って力なく笑う。

――そうね。確かに、疲れてるでしょうね。

でも、その力を注いでいるのは仕事じゃない。

春奈は車を走らせて出て行った。私もあとを追う。

知るべきことはすべて知ってしまった。もう、尾ける気力もなかった。

それなのに、あの車が偶然にも私と同じ道を走り続けていた。

十字路で信号が赤に変わり、私たちは並んで停まる。

彼女はちらりと私のほうを見た気がする。

信号が青に変わり、私は前を見据えたまま、何もなかったようにアクセルを踏んだ。

数秒後――車体が突然、激しく衝撃を受けた。

頭がフロントガラスにぶつかり、車はそのまま大型トラックに突っ込んだ。

耳を裂くようなクラクションの中で、激しい痛みが私の意識を奪っていった。
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