ボク、女の子に生まれ変わったけど、元気です!

ボク、女の子に生まれ変わったけど、元気です!

last updateTerakhir Diperbarui : 2026-07-10
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 病弱ゆえ、十三歳の誕生日を前に、早世してしまった少年が、異世界で、元気あふれる猫耳少女、「アユム・トマルナー」として生まれ変わった!  夢は、長生きすること! 元気の塊な健康オタク少女と化し、友人たちと、ほのぼのとした、でもときに切ない日常を繰り広げます!

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Bab 1

第一話 九月五日(月) 今日も元気!!

 ぱちっと、目が覚める。

 身を起こし、う~んと伸び。今日も体の調子がいい! 

 がらりと窓を開けて、「おはよー! 今日も元気をありがとう!」と、誰に言うでもなく叫ぶ。まだ、外は完全に明るくなっていないけど、スズメたちも元気だ!

 ジャージへの着替えとトイレを済ませたら、洗顔。

 鏡に映っているのは、金髪ショートヘアの美少女。ただし、猫耳。いや、この世界・・・・では、これが人間の耳なのだけど。

 寝癖を治すついでに、猫のしっぽも、軽くブラッシング。ちなみにこれも、人間のしっぽ・・・・・・

 顔を洗ったら、台所へ行き、ホワイトボードに赤マジックで「アユム ジョギングに行ってきます!」と書き残し、家を出る。

 新聞は……まだ来てないか。少し待っていよう。

 少しすると、向こう側からスクーターが近づいてくる。

「おっはよー! 今日も早いねえ、アユムちゃん」

 猫耳ヘルメットな運転手のお姉さんが、ボクの前で停車し、新聞を一部手渡してくる。

「おはようございます! お姉さんもお疲れ様です!」

「ありがと。じゃ、次のお宅行くから」

 そう言って、彼女は再発進。遠ざかっていく。

 さーて、新聞を家に入れたら、ボクもご近所流そうかな!

 ◆ ◆ ◆

「ただいまー!」

 心地よい疲れとともに、帰宅。

 台所を覗くと、お母さんが料理を作っていて、おじいちゃんが新聞を読んで、おばあちゃんはテレビを見てる。三人とも、猫耳に猫しっぽだ。

「おはよー!」

 元気に挨拶すると、それぞれから「おはよう」と返事が帰ってくる。

「お父さんはお店かな? ハーちゃんは……今日もねぼすけか」

 うんうんと、一人うなずく。

「そういうわけだから、シャワーの前に起こしてきてくれる?」

 お母さんにそう頼まれ、「ラジャー!」と、二階に向かうのでした。

 ◆ ◆ ◆

 ボクの部屋の隣、「ハーシル」というかけ札のドアをノック。……返事なーし。

「入るよー」

 中に入ると、妹のハーちゃんが、すごい寝相で寝息を立てていました。

 頭が、枕と逆だし。どこをどうやったら、そーなるの?

「起きてくっださーい。あっさでっすよ~!」

 シャーッとカーテンを開けると、「うにゃ~、まぶし~!」と、可愛い妹が苦情を言う。

「あと、十分じゅっぷん~」

「ごはん、できちゃうよ? 冷めたら美味しくないよー。さあ、起きる起きる!」

 がばっと布団を剥がすと、「うにゃ~!」と、濁音が混じったような声で悲鳴を上げる。

「くはあ~。おはよー……」

 大あくびをしながら、挨拶するハーちゃん。

「はーい、おはよー。じゃ、ちゃんと起こしたから、ボクはシャワー浴びてくるねー」

 そう言って、彼女の部屋をあとにするのでした。

 ◆ ◆ ◆

 ふー。ロードワーク後のシャワーって、なんでこんなに気持ちいいんだろう。

 ご飯がもうすぐできるから、あんまり悠長に出来ないので、軽く汗を流すだけなのが残念だけど。

 それにしても、自分の体を見て、改めて思う。

 「ほんとに、女の子なんだなあ」って。

 ボクの前世は、こことは違う世界で、人間の耳もこんな感じではなく、丸っこいのが顔の横についていた。しっぽもなし。

 そして、ボクは男の子だった。

 ボクにとっては、前世はただの記憶の一部っていうのかな。今生で女の子であることには、とくに違和感がないんだけど、幼い頃、前世の記憶がなにかの拍子で戻ったときだけは、大変パニックを起こしたらしい。

 それ以来、転生したと公言しているのだけれど、残念ながら、唯一の例外を除き、家族も含めて首を傾げられてしまう始末。

 こんなボクだけど、前世ではとても体が弱く、たいそう早死にしてしまったようだ。

 たしか、覚えている限りだと、十三歳の誕生日を迎える直前だったはず。

 学校も、中学まではなんとか上がったけれど、ほとんど入院生活だった。

 だから、ボクの今生の目標は、ズバリ長生き! とりあえず、念願の十三歳の誕生日を、元気に迎えたい!

 前世では、よくお父さんとお母さんが、「丈夫に産んであげられなくてごめんね」って泣いて謝っていたけれど、誰も悪くないよ。ただ、神様がイジワルなだけだったんだ。

 前世のお父さん、お母さん。そして、お姉ちゃん。ボクこそ、長生きできなくてごめんね。みんな、向こうで元気に暮らせているのかな。ボクはこっちでは、とても元気だよ!

 だから、あまり自分たちを責めないでね。

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第一話 九月五日(月) 今日も元気!!
 ぱちっと、目が覚める。 身を起こし、う~んと伸び。今日も体の調子がいい!  がらりと窓を開けて、「おはよー! 今日も元気をありがとう!」と、誰に言うでもなく叫ぶ。まだ、外は完全に明るくなっていないけど、スズメたちも元気だ! ジャージへの着替えとトイレを済ませたら、洗顔。 鏡に映っているのは、金髪ショートヘアの美少女。ただし、猫耳。いや、この世界では、これが人間の耳なのだけど。 寝癖を治すついでに、猫のしっぽも、軽くブラッシング。ちなみにこれも、人間のしっぽ。 顔を洗ったら、台所へ行き、ホワイトボードに赤マジックで「アユム ジョギングに行ってきます!」と書き残し、家を出る。 新聞は……まだ来てないか。少し待っていよう。 少しすると、向こう側からスクーターが近づいてくる。「おっはよー! 今日も早いねえ、アユムちゃん」 猫耳ヘルメットな運転手のお姉さんが、ボクの前で停車し、新聞を一部手渡してくる。「おはようございます! お姉さんもお疲れ様です!」「ありがと。じゃ、次のお宅行くから」 そう言って、彼女は再発進。遠ざかっていく。 さーて、新聞を家に入れたら、ボクもご近所流そうかな!  ◆ ◆ ◆ 「ただいまー!」 心地よい疲れとともに、帰宅。 台所を覗くと、お母さんが料理を作っていて、おじいちゃんが新聞を読んで、おばあちゃんはテレビを見てる。三人とも、猫耳に猫しっぽだ。「おはよー!」 元気に挨拶すると、それぞれから「おはよう」と返事が帰ってくる。「お父さんはお店かな? ハーちゃんは……今日もねぼすけか」 うんうんと、一人頷く。「そういうわけだから、シャワーの前に起こしてきてくれる?」 お母さんにそう頼まれ、「ラジャー!」と、二階に向かうのでした。  ◆ ◆ ◆  ボクの部屋の隣、「ハーシル」というかけ札のドアをノック。……返事なーし。「入るよー」 中に入ると、妹のハーちゃんが、すごい寝相で寝息を立てていました。 頭が、枕と逆だし。どこをどうやったら、そーなるの?「起きてくっださーい。あっさでっすよ~!」 シャーッとカーテンを開けると、「うにゃ~、まぶし~!」と、可愛い妹が苦情を言う。「あと、十分~」「ごはん、できちゃうよ? 冷めたら美味しくないよー
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第二話 九月五日(月) トマルナー家の朝
「あ、お父さんおはよー!」 お父さんが、お店の方から戻って食卓についていたので挨拶すると、「おはよう」と、返事される。 ボクはもう、制服姿。今日から、ピカピカの中学一年生! 元気な姿で制服に袖を通せるのが、嬉しくてしょうがない。……スカートだけどね。「おねーちゃん、ほんと朝から元気だよねえ……くはあ~」 だらしなく、あくびをかみ殺すハーちゃん。「だってそりゃもう、元気が取り柄だもん! 前世のぶんまで、健康に生きないと!」「おーおー、始まったな。前世語り」 おじいちゃんが、愉快そうに顔をゆがめる。むう、冗談とかじゃないのになあ。でも、ボクが同じ立場だったら、信じるの難しいのかなあ? 当事者としては、よくわかんないや。「じゃあ、アユムも揃ったところで、ご飯にしましょう」 お母さんが、ご飯を配膳する。 今日は、ベーコンエッグにトーストとサラダ。このあたりでは、いかにも朝食って感じの朝食。 ボクは前世で、日本っていうところに住んでたらしく、こう、お米とかお味噌汁なんかが恋しくなるけれど。ここ、ラドネスブルグ国では、それは朝食としては、どマイナーな料理なのです。 それでも週に一回だけ、両親やおじいちゃんが、ボクに合わせて作ってくれる。やっぱり、お米の食感とかなんか違うんだよねー。作ってもらっておいて、申し訳ないけど。けど、やっぱり嬉しい。「いただきます」 おじいちゃんの音頭取りで、皆で唱和。このへんは、前世の風習を思い出すね。ただ、合掌じゃなくて、手を握るようなスタイルなので、格好だけは向こうのキリスト教っぽい。 ちなみにボク、脳内でベーコンとかトーストとか言ってるけど、この国ではぜんぜん違う言葉。ただ、なんだろう。ついつい前世の言葉で、ふっと脳内に浮かんじゃうんだよね。 とりあえず、目玉焼きにはケチャップ! 味付けはみんな好みがバラバラで、たとえばおじいちゃんなんかは、シンプルに塩コショウ一本槍。 このへんで、食事しながらボクの一家を振り返ってみよー! ボクの名前は、アユム・トマルナー。前世では、渡丸歩なんて名前だったと記憶してるけど、ある意味、真逆の名前なのは面白いね。向こうの世界の言葉で、だけど。 六人家族で、お父さん・お母さん、おじいちゃん・おばあちゃん、そして妹のハーちゃんがいる。 お父さんとお母さんは
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第三話 九月五日(月) さっそく、新しいお友達が出来ました!
「今日から、皆さんは本校の一員となるわけですが……」 入学式は、体育館で校長先生の長~いスピーチを拝聴。このへんは、どの世界でも変わらないのかな。あくびが出そうなのをこらえる。 でも、前世では先生のスピーチ中に倒れて保健室に担ぎ込まれたボクが、今では精神的にはともかく、肉体的にはピンピンして話を聞いていられるのだから、それだけで嬉しい! ふと、バーシの方を見ると、船を漕ぎそうになっている。寝ちゃダメだよー!  ◆ ◆ ◆  先生方のお話も終わり、教室にて、最初のホームルーム。 各自、自己紹介をしていく。そして、ボクの番!「アユム・トマルナーです! 趣味というか生きがいは、健康に生きることです!」 なんて自己紹介すると、みんな、ちょっとぽかんとする。うーん、そんなに変だった? ともかくも、元気に自己紹介を終え、バーシの番に。オカルト趣味を披露すると、これまたぽかんとされるのでした。お互い、苦労するねー。 自己紹介が終わると、色々お話だのプリントだの頂いて、放校時間。 バーシと一緒に帰ろうとすると、「あのさ、ちょっとそこの二人!」と、背後から声をかけられる。 振り返ると、ボクたちと同じような、女子二人組。片方は金髪の姫カット。もう一人は、銀髪のショートヘア。「いやー、あんたら面白いねー。すっごい興味深いわー」 愉快そうに、口元に手を当てる姫カットさん。うーん? とりあえず、バカにしている感じではないようだけれど?「ああ、自己紹介しないとだね。ってもう済んでるけど、もう一度。あたしはクク・チェンバレン。で、こっちが……」「シャロン・レーベルトで~す。よろしくぅ~」 しゅびっと、おどけた調子で敬礼するシャロンさん。「ええと、じゃあボクも。ボクは、アユム・トマルナーで……」「そっちが、バーシムレ・ストルバックちゃんっしょ? もう覚えた。でさ、せっかくだから、友達にならない?」 おおっと! いきなりの申し込み! 前世では、経験しなかったムーブだー!「ボクは、構わないけど……バーシは?」「んー、これもなんかのご縁かな? いいよー」「そうこなくっちゃ!」 ククさんが、指をパチンと鳴らす。「あ、それと。あたしもこいつも、呼び捨てでいいから。堅苦しいのナシで」「あ、うん。ククさ……クク」 こうして、入学早々、新しいお友達が二人出来
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第四話 九月五日(月) ボク、ウェイトレスさんなので!
 ボクの住んでいるラドネスブルグ国は、前世の知識と照らし合わせると、ヨーロッパの……たぶん、やや北寄りの西欧に近い。まあ、小学生程度の知識しかなかったから、詳しくはないんだけど。 向こうの日本の九月なんて暑くってしょうがなかった記憶があるけど、こっちの九月は過ごしやすい気温です。 カエデが好まれていて、日本で桜がたくさん植えられていたように、街路樹として植えられていて、秋になると紅く染まり、それはきれいなもので。今はまだ、これから紅くなりますよ~って時期だけど。 そうそう。暦といえば、こちらでは一ヶ月がぴったり三十日で、十二ヶ月。一年が三百六十日なのです。覚えやすいよねー。一週間は、不思議なもので、こちらでも七日だけど。キリスト教とかないんだけどね。 カエデ繁る市民公園を抜けて、商業地区へ。ボクとバーシの家は、そこの大通りにあるのです。 ボクの家は食堂だけど、バーシの家は女性向けの服屋さん。なもので、バーシも自然とオシャレさんに育ちました。ボクもそんなバーシから、色々オシャレを教わっています。今じゃ、女の子だからね! 二人でおしゃべりしながら歩いていると、家に到着!「じゃあ、また明日~」 互いに手を振り、それぞれの家に裏口から入っていく。 で、家からお店をちょいと覗くと……。 おお~。今日も大盛況だね! お父さんの料理、おいしいからね~。 お客さんにご挨拶してから、レジ打ちしていたお母さんに、ただいまを言う。「おかえりなさい。あまり疲れてないようなら、お店に出てもらえると助かるんだけど、どう?」「いいよー。シャワー浴びて、着替えてくるね」「あ、その前にお昼まだでしょう。お義父さんに、ご飯作ってもらって」 「はーい」と返事し、店から家の方へ向かうのでした。  ◆ ◆ ◆ 「ただいまー。おじいちゃん、お昼お願いしていーい?」「おう、もうそんな時間か。おかえり」 リビングで読書していたおじいちゃんが、よっこいしょと立ち上がる。「ハーちゃんは?」「ハーちゃんなら、もうお昼済ませて、お友達の家に行ったよ。同じのでいいかな?」「うん! 今日は何だろー。楽しみ~」 ボクも、料理ぐらい覚えた方がいいのだろうけど、お店では接客の方に集中してるからねー。 ちなみにここ、大衆食堂「トマラン」は、おじいちゃんが開いたお店で、今はお父さんが厨
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第五話 九月五日(月) 激戦を終えて
 ボクはまだ子供なので、五時になったら、お仕事上がり! ここから先になると、本格的に酔っ払ったお客さんなんかが増えて、五時前の忙しさの比じゃなくなるそうで。 そんな状態を、二人で切り盛りするお父さんとお母さん、すごいなあ。「ただいまー」 裏口から、ハーちゃんが帰ってきました。「おかえり」 脱衣所に向かい、エプロンほか、今日の洗い物を洗濯機に入れる。「ハーちゃん、なんか洗うものある?」「んー。お風呂入る。ちょっと、脱衣所から出てて」「りょーかーい。なんなら、一緒にお風呂入らない?」 う~んと伸びをして、提案。「おねーちゃんと? やだよ、恥ずかしい……」 あらま。ハーちゃんも、そんなお年頃ですか。じゃあ、別々に入りましょうかね。 というわけで、洗濯は一旦おあずけ。 ちょっと汗臭いけど、今日のテレビニュースを視聴。 ちなみに、このラドネスブルグ……というか、世界的にそうらしいんだけど、ボクの前世時代より、若干文明が古いみたい。 テレビが板状の横長じゃなくて、箱状の寸詰まりだし、パソコンはとても高価で、それでいて性能がスマホなんかより相当悪いらしくて。 スマホといえば、携帯電話そのものが、冗談みたいな大きさだったり。 こっちで電話といえば、基本的にダイヤルの付いた置き電話。それも、受話器が長~いの。そうじゃないと、ボクら会話できないんだもん。 ボクは生まれた時からこんなだったから慣れてるけど、前世のボクにとっては、すっごいカルチャーショックなのかもね。 とりあえず、今日のニュースは、ここルンドンベア市を騒がせる謎の不審者。やだなあ。 ボクが前世と同じく男で、さらに元気だったら、こんなのにも立ち向かえるのかな? 今となっては、わからないことだけど。 ハーちゃんも、バーシも、ククたちも、気をつけて欲しいねー。もちろんボクも、気をつけないと。 それにしても、ニュースって基本明るい話題ないよね。悲しいねえ。 テレビを見て時間を潰していると、ハーちゃんがお風呂から上がったので、交代。 やっとこ、ゆったりと入浴。 ふわあ~……。やっぱり湯船に浸かるのは落ち着くねえ~……。ラドネスブルグは、前世日本と同じく、湯船とシャワーのハイブリッド文化です。 なんだか、気持ち良過ぎて寝ちゃいそうになるけど、しっかりしないと! 湯船で溺れるニュー
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第六話 九月五日(月) おじいちゃん、おばあちゃん孝行
「アユムちゃん、お電話終わった?」 おばあちゃんから尋ねられたので、「うん」と返事。「じゃあ、今日も前世のお話聞かせてくれるかしら」「おお、いいねえ。頼むよ、アユム」 おばあちゃんとおじいちゃんから、前世トークを頼まれてしまいました。 二人はバーシと違って、ボクの前世話をあくまでも「ホラ話」として楽しんでるわけで。そのへん、ちょっともにょるけど、おじいちゃん&おばあちゃん孝行はしておきたい。 リビングソファの角っこに腰掛けて、話のネタを考える。「インターネットの話は、前したでしょう……? 何がいいかなあ?」 ボクも、前世で長生きしたわけじゃないからね。どうしてもこう、話の幅が狭い。「じゃあ、お豆腐の話でもしようか!」 ちょっと最新の話でもないけど、お豆腐の話でも。 豆乳を固めたものと説明すると、そこはおじいちゃん、料理人。ビビッと反応!「へえ、豆乳をねえ?」「うん。健康にもいいんだよ!」 ドヤァ。健康オタクの面目躍如!「なんか、東のほうに、そういう感じの料理ありませんでしたっけ?」「どうだったかなァ? 聞いたことあるような気もするけど」 二人とも、興味津々! ふっふっふっ。 せっかくなので、湯豆腐についても説明。 鍋料理については以前話したことがあるけど、野菜オンリーな湯豆腐については、初耳なようで。「ほー、そりゃアユムが好きそうだねェ」「んー、ボクはあんまり食べたことがないんだけどね。でも、こっちでも食べてみたいかな」 前世では、ほんとに食が細かったからねー。そのときの取りこぼしを取り返すように、がっつり食べてみたいな。「今度、作ってみるかー。マエへさんも、食べるだろ?」「いいですねえ」「わ! 楽しみぃ!」 おじいちゃんは、おばあちゃんをさん付けで呼ぶ。いわゆる姉さん女房で、おばあちゃんのほうが、一つ歳上なんだよね。 おじいちゃんが、常連さんだったおばあちゃんに惚れ込んで、猛烈アタックで口説き落としたらしい。おじいちゃん、アツいねえ~。 それにしても、おじいちゃんの湯豆腐かあ。お豆腐の入手が難易度高そうだけど、楽しみだなあ。「しかし、アユムがよく口にする醤油って調味料、アルクと研究してみるかねェ」 口ひげを撫でながら、お醤油の利用を検討するおじいちゃん。「ほんと!? ボ
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第七話 九月六日(火) 幽霊なんていない! ……って言い切れないもどかしさ
 今日も、朝のルーティンとして、世界に「おはよう!」 うんうん! とっても元気だ! 調子がいい! さっそく、ロードワークに出たけど……。郵便受けに、新聞が差さってた。今日は、先を越されちゃったな。なんか残念。 とりあえず、行ってきーましょ。  ◆ ◆ ◆  不審者が出るらしいから、ロードワークは日が出てからにしなさいって、お母さんに怒られちゃった。しゅん。でも、心配してくれてるんだものね。ボクは今、女の子なんだし。 そのあと、ねぼすけハーちゃんを起こし、朝食をいただいて、今日も元気に登校~! そして、一時間目・数学終わり!「勉強、ムズ~」 げんなりした様子で、バーシがボクの机にやってきた。「だるそうだね。ボクは、初めて覚えることだらけで楽しいよ!」 こちらは、元気ハツラツ! 数学自体は、日本の授業とほとんど同じだと思うけど、ボク、ろくすっぽ通えてなかったからね。「アユムちゃんは、元気ですねえ。うーん、勉強楽しいって感覚だけは、共有できそうにないわ~」 ため息吐くと、幸せが逃げちゃうよ?「よっ。二人とも、何の話?」 あ、ククシャロコンビも来た。「勉強がたのしーって話~」「逆だよ~」「何かよくわかんないけど、意見が割れてるみたいだねー。あたしゃ、バーシに同意だな」 えー?「シャロンは?」 楽しんでくれた、かな? かな?「眠気をこらえるのに、必死だったっすよ~」 ああ、そういえば、そんな子でした。昨日の校長先生の話とか、寝てたんだろうなあ……。「むう~。新しいこと覚えるの、楽しいと思うんだけどなー?」「あ、話は変わるんだけど」 うにゅ。バーシに、話題を変えられてしまった。「西に廃教会あるじゃない? そこ、出るんだって! 探検しようよ!」 おばけのジェスチャーをするバーシ。「うえ!? あたし、そーゆーのニガテなんだよ~」「うちは、キョーミあるっすね~」 おや、今度は凸凹コンビで意見が割れた。「でも、不審者が最近この辺出るらしいから、ボクとバーシだけだと、さすがに不安なんだよねー」 ククに視線を送る。「ぐ……。そー言われるとなあ……。えーい、あたしも女だ! 肚ぁ、くくっちゃる!」「そーこなくちゃ!」 バーシが、パチンと指を打ち鳴らす。 うんうん。ボクも、バーシと二人ぼっちで夜の廃
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第八話 九月六日(火) ミギャーッ!!
「ここが、恐怖への入口というわけか……」 満月の下、廃教会の扉を前に、今にも「ごくり」という音が喉から聞こえそうな声で、つぶやくクク。大げさだなー。 この教会、火事の後建て直されたそうだけど、出るという話が広まりすぎたのと、新任の司教様が鎮魂を試みたけど、それでも怪現象が収まらないという話のダブルパンチで、結局廃することになったらしく。 バーシはというと、カメラを手にフラッシュを焚いて、一人盛り上がってる。相変わらずだねえ。 ちなみにこの世界のカメラ、スマホどころかデジカメですらなく、フィルムっていうのを使う。これ、専用の設備使わないと、写真にできないんだって。不便だね。 インスタントカメラっていう、その場で写真にできるのもあるけど、色々お高くて、バーシには手が届かないらしい。 で、シャロンは……見事な大あくび。休日とか、一日中寝てるんだろうなあ。先祖返りってやつかな?「よーし、いい絵撮れた~。じゃー、行きまっしょー!」 ムードも何もなく、楽しげに扉を開けて、中へ入っていくバーシ。ボク、クク、シャロンと続く。 「なー……やっぱりやめとかねー……?」と、ククが小声で撤退を提案するけど、オカルトを前に引くバーシではない。諦めよう、クク。 懐中電灯の明かりが、教会内をさまよう。異変ナシ。「うーん、ガセだったのかなー? おばけさーん、いるなら出てきてー」 バーシが残念そうにこぼすと、突如、「ブァーン!!」と、パイプオルガンの音が鳴り響く!「ウギャーッ!!」 ククの悲鳴!「ミギャーッ!!」 ボクの悲鳴!! ウギャーはともかく、ミギャーは人の悲鳴としてどうなんだろ……とか考えてる場合じゃない!!「バーシ! マジだよこれ! これはダメだ!!」 バーシに連れ回されて、場馴れしたこのボクも、さすがに撤退を提案する。「え? なんで? ここからが本番じゃない!」 すっごい嬉しそうに、シャッター切ってるし……。「あ、あああ……シャロンがいねえええええ!!」 再度、ククの悲鳴! ほんとだ! シャロンが消えてるゥ!? パイプオルガンが、厳かにメロディを奏で始めた!「「ヤダァァァァーッ!!」」 ククと抱き合い、悲鳴の合唱!「あー、もう! テープレコーダーも、持ってくるんだったー!」 バーシは相変わらずだ! 
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第九話 九月六日(火) 幽霊少女・アイ
「わたしは、アイ・ロマネストっていいます。いわゆる、地縛霊……っていうんでしょうか。昇天することもできず、ここに縛られ続けています」 なんというか……いきなり重い自己紹介をされてしまった。ボクたちも、それぞれ自己紹介をしていく。さすがのバーシも、興奮より、厳粛さのほうが勝ったようだ。「新しい司教様が、鎮魂の儀式を執り行っても昇天できないのは、わたしが悪い子だからですよね……」 手で顔を覆い、さめざめと泣き出してしまった。 今気づいたのだけど、この子、見た目の割に、むしろボクたちよりしっかりした喋り方だ。 バーシの話によると、ここが焼け落ちたのは、十数年前だっけ。そのときの被害者だとすると、こうした喋り方は、永い幽霊生活で身についたのかも。 そういうことなら、ボクたちより、よっぽどお姉さんなのか。「えーと、聞きにくいことですけど、昔の火事で死んでしまったんですよね?」「はい。あれから、何年経ったのでしょうか……」 顔を上げ、天井を仰ぎ見る彼女。「バーシ、何年前?」「んーと……テレビの内容だと、十四年? だったかなあ?」「じゃあ、ボクたちよりずっと年上ですね! アイさんって呼んだほうがいいですか?」「いいえ、アイちゃんとかでいいですよ。大人になった自覚なんて、全然ないですから」 ほみゅ。「じゃあ、アイちゃん。こんな喋り方でいいかな?」「はい」 それじゃ、話を先に進めよう。「こういうこと、訊いていいのかわかんないんだけど、アイちゃんはなにか強い未練を残しているの?」「ユーフラジーが、どこを探しても見当たらないんです……わたし、あの子とずっと一緒だったから、あの子がいないと……」 「ユーフラジー」という新ワードに、首を傾げるボクら。「お人形なんです。片時も離さなくて、シスター・ノナに作っていただいた、大事なお友達なのに……。わたし、悪い子だ……」 再度、顔を見合わせる。どう考えても、火事で焼けてしまったに違いない。それを探し続けてたら、そりゃ、いつまでも昇天できないわけで。「えーっとね、言いにくいんだけど、ユーフラジーは火事で焼け……」「違うもん! ユーフラジーは、わたしを置いてったりしないもん!」 それまで大人っぽい話し方だった彼女が、突然、見た目にふさわしい、子供っぽい癇癪を起こす。そうだよね。
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第十話 九月七日(水) 部活どうする?
「アユムは、部活決めた?」 学校の休み時間、バーシが不意に話を振ってきた。「うーん、正直悩んでる」 雨が降らなければ、毎日走り込みしてるぐらいだから、足の速さには自信がある。でも……。「陸上にしようか悩むんだけどさ、そしたら、バーシやククたちと過ごせる時間が減っちゃうなって。あと、家の手伝いがあるから、やっぱり陸上は無理かな」 陸上選手への道を進む、なんてのもカッコイイけど、やっぱりボクは家業を継ぎたい。おじいちゃんの時代から、ずーっと続いてきたお店だもん。「そっかー。私は服飾部なんか興味あるけど、確かにうちも、お店の手伝いがねー」 二人で腕組みして悩む。放課後、あまり自由になる時間がない。それが、ボクらのネックだ。「よ。ご両人! 何の話?」「あ、クク、シャロン! 実はね……」 部活絡みで悩んでいたことを、打ち明ける。「二人が陸上と服飾にコダワリがないなら、ミョーアンがあるっすよ」 びっと人差し指を立てるシャロン。「自分たちで、部活作っちゃうんすよ」 その発想はなかったとばかりに、「おお~」と声を上げる一同。「確か、ここ、四人から作れたよな?」「っす。だから、あとは内容決めて、顧問のセンセーをゲットすれば、おっけーっす」 なるほど。「そういやさ、二人の店も定休日ってあんだろ? いつ?」「うちも、バーシんところも、毎週火曜。家族ぐるみでお付き合いがあるから、定休日を合わせてるんだ」 火曜、とかナチュラルに脳内翻訳しちゃったけど、もちろん、この国の言葉での曜日名が、別にあります。 ちなみに、小学生のときは、さすがにお店の手伝いがなかったので、陸上やってました。得意種目は、長距離走。「そっか。じゃー、やるならそこかな? うちらも、特に何もない日だし」 ククの言葉に、こくこく頷くシャロン。「問題は何をやるかだね! やっぱ、オカルト部とかどう!?」 活き活きと、提案するバーシ。「冗談でもやめてくれ。もっと、穏便なので頼む。第一、そんな変な部、申請通らねーだろ」 二の腕を抱いて身をすくめるククに、不満そうな我が幼馴染みの顔が、好対照。「じゃあ、ボランティア部とかどうかな?」 代わりに、ポンと出てきたアイデアを口にする。「いかにも、教師受け良さそーだな。やっぱ、ゴミ拾いとかか?」「それだけが、ボランティア
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