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第115話

Author: るるね
last update publish date: 2026-04-28 23:21:38

「高校の頃から……」

 陽菜の顔から、さっと血の気が引いた。一条の言葉が、すぐには信じられなかった。

 けれど心のどこかでは分かっている。

 彼はこんなことで冗談を言うような人ではない。善悪の線引きがはっきりしていて、不正を嫌う性格だ。

 そんな彼が東和に対してあそこまで断じるのなら、東和は、本当にそれほどのことをしているのだろう。

「藤野、以前話していただろう。大手の法務チームが、お父さんに契約を持ちかけてきたと。それを聞いて思い出した。数年前、俺も類似の案件を扱ったことがある。当時、倒産寸前だった会社が、東和に市場価格を大きく下回る額で買収されていた。それ以来、こうした動きには注意している」

 陽菜は確かに、立花に父や会社の状況をかなり詳しく話していた。あのとき、東和の名前を出したかどうかは覚えていない。

 思い返せば――父が口にしていたのは、確かに東和の弁護士だった。

「やっぱり……東和、だったんだ……」

 力が抜けたように、陽菜は椅子へと崩れ落ちた。

 全身から何もかもが抜けていくような感覚。穴の空いた風船のように、ただ果ての見えない無力感だけが残る。

「藤野、大丈夫か?」

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