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第7話

Auteur: 水木子
清凪は立ち上がり、いつもの冷たく高慢な表情は崩さなかったが、目の奥にはわずかに意地っ張りな涙が光っていた。

彼女は加豆子の手からレモンジュースを奪い取り、そのまま一気に飲もうとした。

佑翔は慌てて彼女を制止し、必死に言った。

「ダメだ、君は体が弱いから飲めない」

振り返って加豆子に鋭い目を向けた。

初めて、彼があんなにも苛立ちと嫌悪を込めて彼女を見た。

加豆子は悔しさで理性が崩れそうになり、堪えきれず涙目のまま、周囲の嘲笑を浴びながらその場を去った。

遠ざかっても、冷たい嘲りの声は耳に入ってきた。

「あの養女、何様のつもり?もう28歳だってのに、清凪と張り合おうなんて」

「一条家に育てられたって言うけど、あの体つきを見ればわかるわ。多分一条家に特別に育てられて、男に差し出されたんでしょうね。そうしたら28歳で未婚ってのも納得したわ」

「こんな女、まともな家なら誰も相手にしないわ」

「実は18歳の時に誰かにやられてたの、私は見たのよ。髪は乱れ、服もめちゃくちゃのまま部屋から走り出してきたのを」

そんな酷い言葉が飛び交う間も、佑翔はそこにいた。

彼は中傷を一言も否定せず、ただ清凪の不機嫌をなだめていた。

加豆子は少し離れたところからその様子を見つめ、涙を拭ってはまた落とした。

どれほど時間が経ったのかわからなかった。

ようやく気持ちを落ち着かせたところへ、背後から足音が近づいてきた。

「桜庭、まさかまだ佑翔があなたを慰める義務があるって思ってないでしょうね?」

驚いて振り返ると、清凪が腕を組み、嘲るような目でじっと彼女を見つめていた。

清凪は加豆子の隣に座り、親しげな様子を装った。

「正直、あなたの厚かましさには感心するわ。こんな歳になっても佑翔にべったりくっついて、ぷっ。彼があなたと結婚するなんて、本気で思ってるの?」

清凪の瞳に光る嘲笑は、加豆子の胸を鋭く刺した。

加豆子は黙って耐えるつもりはなく、わずかに目を細め、清凪の真似をして嘲笑の表情を作った。

「本当に、私が無理に彼にしがみついてると思ってるの?

彼が言ってないの?私たちはとっくに付き合ってるって」

「なに!」と清凪は腹を立てたが、何かを思い出したかのように不気味に笑い出した。

「知ってるわよ。ずっと前から知ってた」

清凪の笑みを見て、加豆子は背筋がぞっとした。

眉をひそめ問い返した。

「どういう意味?」

清凪の嘲りはますます露骨になった。

「まさかあなた、本気で18歳の時に佑翔があなたのことが好きで寝たと思ってるの?

笑えるわ。

私が彼に薬を盛ったのよ。私が若すぎるからかわいそうで手を出せず、

あなたみたいな性欲処理道具を代わりにしただけ。

翌日には彼、私の前で跪いて許しを乞うてたわ。

信じない?見せてあげるわ」

清凪は携帯を取り出し、加豆子に動画を見せた。

画面にはまだ幼さの残る佑翔が膝をつき、少年の嗄れた声で泣いている様子が映っていた。

まるで見捨てられそうな子犬のように、尻尾を振って懇願していた。

「清凪、俺はちゃんと洗ったんだ。本当にきれいに洗った、汚くない。

そんな目で俺を見ないで。お願いだ」

彼は何度も頭を地面に打ちつけ、額は赤く腫れていた。

だが佑翔はその痛みに気づいていないかのようだった。

動画の中で清凪の声が響いた。

「もうあの子と寝たんだから、付き合いなさいよ。

佑翔、私が一番嫌いなのは、責任を取らない男だから」

佑翔の目は絶望に染まり、やがて無表情に頷いた。

「君に嫌われさえしなければ、俺は何でもする」

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