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第226話

Auteur: 北野 艾
詩織の眉間に、反射的に深い皺が刻まれる。

生理的な嫌悪感が隠しきれずに表情に出る。

「……何しに来たの」

詩織は心底うんざりしていた。

本気で引っ越しを検討すべきかもしれない。

別れてからというもの、柊也がここに現れる頻度は、交際していた七年間を遥かに凌いでいる。

かつては柊也のことを誰よりも理解しているつもりだった。

だが近頃、その自信が揺らぎ始めている。

今の彼の行動は、詩織の知る合理的で冷徹な賀来柊也とはあまりにかけ離れているのだ。

薄暗闇の中でも、柊也の横顔は冷ややかさを失わない。

その声には抑揚がなく、どこまでも淡々としていた。「松本さんからだ。タラバガニを届けるよう頼まれた」

言われて初めて、彼が手に箱を提げていることに気づく。

「松本さんからメッセージが入ってるはずだぞ」

詩織はスマホを取り出した。

確かに、松本さんから午後の早い時間に連絡が入っていた。仕事に追われていて見落としていたらしい。

空輸で届いたばかりの新鮮なタラバガニが手に入ったから、好物の詩織のために二杯取り分けておいたとのことだ。

だが文面には、「私が届けに行きますから」と
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