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第295話

작가: 北野 艾
詩織はやんわりと断った。「いいえ。ここの方が静かで落ち着きますから」

譲は最前列に陣取る数人の背中を見やり、彼女の言い分に深く納得した。

「あなたは前に行かなくていいの?」と詩織が尋ねる。

譲は首を横に振った。「いや、俺も静かな方が好きなんだ」

二人がそんなやり取りをしているところに、悠人が到着した。

彼はまず詩織の姿を認め、反射的に眉をひそめた。

すぐに視線を外し、会場の前方へと目を凝らすと、最前列の中央に座る志帆の姿が飛び込んできた。

悠人の足が止まる。彼は少し考えた後、進路を変えて第二エリアの席へと向かった。

彼もまた、このオークションのVIP会員ではある。

だが、志帆の隣には柊也がいる。そこへ割り込むのは野暮というものだ。だからあえて一歩引いた席を選んだのだ。

第二エリアは、詩織たちのすぐ前、志帆たちのすぐ後ろに位置していた。

オークションが中盤に差し掛かった頃、志帆の琴線に触れる品が登場した。

カシミール産の極上サファイアをあしらったネックレスだ。開始価格は2億円。

なかなかの高額品だ。

ここ数年、サファイアの価格高騰は凄まじい。

ましてや既に枯
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