LOGIN神社の娘、女子高生巫女の【神楽坂 小夜】はある日、境内を掃除中に本殿の"白蛇像"を倒してしまう。慌てて元に戻したが、その夜、眠りにつこうとすると金縛りのような重圧で目が覚める。――そこにいたのは腰までに伸びた長い白髪の男が小夜を押し倒すようにいて......。男、【白妙】は、神社に代々祀られている、白蛇の姿をした神。実は、小夜が倒したのは、ただの像でなく、白蛇神の魂を封じる依り代だった。白妙が依り代に戻るには"運命の相手と口づけを交わすこと"。果たしてその運命の相手とは――?!
View More「んーー!! 今日もいい天気!! 絶好の掃除日和ね!!」
「小夜。あんまり力入れすぎるとまた問題起こすよ?」
「"また"って何よ"また"って!!」
ここは恋愛成就で有名な【白蛇神様】を祀るパワースポット、【神楽坂神社】。
今、大きな伸びをしたのは神楽坂神社の一人娘で女子高生巫女の神楽坂 小夜。
そんな小夜を窘めたのは小夜の幼馴染の深沢 透。
小夜は幼い頃からお転婆で、宮司である父から「少しでもお淑やかになってもらいたい」との願いで放課後や休日は家業の神社の手伝いをしている。
「ハイハイ。小夜ちゃんは大人しく本殿の白蛇神様の像でも磨いててねぇ」
「......透はいつまで経っても私のこと子ども扱いして......。わかりましたよーだ」
――こっちの気も知らないで。
透はそっと呟くが、その呟きは風によって消えて行った。
「ふんふんふ~ん。ピッカピカにしますからねぇ」
小夜は力いっぱい白蛇神様像を磨いていく。
――と、その時だった。
立ち上がった瞬間に、バケツの水をひっくり返し、その水で足を滑らせ......像を倒してしまった。
「や、ヤバい!! お父さんに叱られる!!」
小夜は急いで像の傷を確かめる。
――傷はないようだ。
急いで像を元に戻し、手を合わせる。
「......どうか何も起こりませんように......ついでにお父さんも怒りませんように......よし!!」
小夜は事件の痕跡を消すと、本殿から出て行った。
――白蛇神様の目がキラリと輝いたのに気がつきもしないで。
***
「今日もご馳走になっちゃってすみません」
「いいってことよ!! たんと食べてお行き!!」
「......小夜、自分で作ったからってた、食べ過ぎるなよ?」
「......だって、私のご飯美味しいでしょ?」
そう言われると否定のできない父と透であった。
ちなみに母は小夜が生まれてすぐ、病気で死んでしまった。
それ故、家の家事全般は小夜が担っている。
「透。お風呂入って行く? 汗かいたでしょう?」
「いや、今日はご飯いただいたら帰るよ。」
「そう? あ、お茶淹れてくるからコップ頂戴」
小夜は透からコップを受け取るとキッチンへと姿を消した。
「――帰る。帰るから腕をつねるのはやめてくれないかい"うーちゃん"」
「お前に"うーちゃん"などと呼ばれたくないわ!! "兎月さま"と呼べ!!」
「......なんで小夜には見えないんかねぇ」
「......僕だって小夜と喋りたいよ」
「なになに? 何の話?」
――小夜にはいずれ霊感が生まれるのか。
神楽坂神社を継いでほしいとの父としての願いだ。
女性宮司。うん、いいな。
全員の意見が一致した瞬間だった。
***
「ふー。今日も疲れた。明日も早いしもう寝よう。」
小夜が布団に入り横になった。
――その瞬間だった。
小夜の身体が金縛りにあったかのような重圧に押し潰されて、息が出来ない。
「......っ?!」
必死に目だけを動かす。
すると――。
月明りが差し込む部屋の中に、誰かいた。
そこには、腰まで伸びた長い白髪を持つ、美しい男が。
しかも男は、小夜を押し倒すような格好で彼女を見下ろしていて――。
「そなた......我を起こしたな?」
小夜達は休み時間になる度に、校舎中を歩き回った。 しかし、運命の相手らしき人物は見つからない。 やがて放課後になり、小夜達は人気のない屋上で集会のような集まりをしていた。 小夜は気づいた。 人数が一人多いことに。「な、な、な、何しれっと入り込んでるんですか!! 誰ですか、あなた!!」「あらー? 久しぶりに人間に見つかったわぁ」 その人物は、小夜が羨むほどのグラマラスな身体つきで、頭には可愛らしい猫耳が。「......そなた、もしや神楽坂神社にもいたか?」「え? 白妙様、お知合いで?」「違う。こやつの気配を感じたことが何度かあるのだ」「なるほど......。てことは、人間では、ない?」「......そなた、何者だ?」 白妙は謎のグラマラス美女を目を細めながら見つめる。 グラマラス美女はケラケラと笑いながら、透に抱き着いた。「な、なんですか?! なんでオレ?!」「アタシは、この子の守護霊よ。しゅ・ご・れ・い♡」「......の割にはずっと傍にいなかったようだが?」「アタシは猫だからねぇ。猫は気ままな生き物なのよ。......まぁ、目を離した隙に貧乏神に憑りつかれて近づけなくなったけれど」「ひぇえ! おいらを睨まないでおくれよ!!」 グラマラス美女は貧丸をジトーっと睨みつけながら、「シャー」っと威嚇をした。 そんなやり取りを見て、小夜はあることに気づいた。 ――名前を聞いていない。「あのぉー、ところでお姉様のお名前は何と?」「ん? なぁに、このちんちくりんな子は」「ち、ちんちくりん?! 失礼な!!」「だって、貧相な身体つきだし......、今まで神社に居たのにも気がつかなかったみたいだし?」「ぐっ......」 小夜は何も言い返すことが出来なかった。 たしかに、白妙に出会うまでは神社の娘にも関わらず、霊感が全くなかった。 そのため、白妙が言うまで彼女の存在に気がつかなかったのだ。「まぁ、いいわ? アタシの名前は"小判"。小判お姉様とお呼び」「......小判お姉様」「うふふ。素直な子はだぁい好きよ♡」 小判はそういうと、小夜をギュッと抱きしめた。 ――小夜はというと。「くっ!! この柔らかい感触が羨ましい!! 小判お姉様!! どうしたら私もグラマラスになれますか?!」「こればっかりは遺伝だから♡
学校に着くと、多くの生徒達で賑わっていた。 普通に話すと周りに不審がられるので、小夜は小声で白妙に話しかける。「......白妙様、どうです? それっぽいのいます?」「いや。おらんな」「......そもそもどうやって探すんです?」「我には人間の言う、"運命の赤い糸"とやらが見える。それがないものが候補だな」「どうして繋がっていない人なんです?」 小夜が気になったことを問うと、白妙はため息をつきながら目を閉じた。「我には自身の赤い糸が見えぬ。だから、人間も赤い糸が憑いていない者が我と繋がっている可能性があると考えている」「なるほど......ん? "考えている"? 確定じゃないんですか?!」 小夜は器用に小声で叫んだ。 白妙はそんな小夜にムスッとしながら小夜の頬をつねった。「いひゃい。いひゃいれふ......ふう」「なんならそなたの運命の相手を見ても良いのだぞ?」「え?!」 白妙のその言葉に反応したのは何故か透であった。 小夜は、何故透が? と思ったが声には出さなかった。「安心しろ透。そなたは別の誰かと繋がっておる」「誰かって誰?!」「......近くにいないと相手までは分からぬ」 透は、運命の相手が小夜ではないという現実にガッカリしながら、「これももしかして貧丸のせいか?」と透に引っ付いている貧丸を睨みつける。 ちなみに今貧丸は、白妙によって"憑りつく"ことが出来なくなったので、"引っ付く"ことで満足している。「小夜。そなたの赤い糸は......?」「白妙様? どうしたんです?」「......いや、何でもない」 白妙に見えた小夜の赤い糸。 ――小指には絡まっているのに切られたかのように先がない。 見えないのではなく、先がないのだ。 白妙も初めて見る状態なため、思わず口を閉じた。「白妙様ぁ、私の運命の人はいるんですか? 私も乙女の端くれ! 気になっちゃいますよぉ」「......あ、あぁ。いる。いることには間違いないから安心するがいい」 白妙の言葉に「やったー!!」と喜ぶ小夜と、ガックシと肩を落とす透。 白妙は小夜の小指から目が離せないでいた。「小夜。そなた、好いている相手はいないな?」「な、なんですか急に。神様も恋バナしたくなっちゃうんですか?」「そんなわけあるか。この戯けが。......そなた
学校へと向かう途中、白妙が透をじっと見つめ始めた。「白妙様? どうしたんですか? ハッ!! まさか透に運命を感じて......!!」「違うわ!! ......透」「は、はい!」「そなた、一体何を連れている?」「......へ?」 白妙はそういうと、透の背に手を伸ばし、何かを引っぺがすような動きを見せた。 すると、透は「あれ?」と首を傾げる。 ――なんだか、肩が軽くなった気がする。「し、白妙様、一体何をしたのですか? なんだか肩が軽く......」「そなた、気がついていなかったのか? そなたにこれが憑りついておったのだ」 白妙はそういうと、ずいっと何かを見せてきた。 が、何を持っているのか見えない二人。 白妙はそんな二人の様子に、「ハァ」っとため息をつくと、神力をその手に持った物に注ぐ。「お? おぉ? なんだか力が強くなった気がするぞ?」「だ、だ、誰ぇええ?!」 急に目に見えるようになった人物に小夜は驚きの声を上げる。 白妙は、首根っこを持ったままその人物に目を合わせる。「......そなた、貧乏神だな? 何故透に憑りついている?」「びびび貧乏神?!」「......いやぁ、強すぎない霊力が心地よくて」「透。そなた、不運が続いていたのではないか?」 白妙にそう言われ、透は少し考え込む。 ――そう言われてみれば思い当たる節は幾度となくあった。 子供の頃は、幼稚園にお弁当を持っていくのを忘れたり、小学校では忘れ物をしょっちゅうしたり。 最近は、財布を落とすことに始まり、傘がないときに限って雨が降ったり、テスト前にシャーペンが壊れたり、自販機で飲み物を買おうとすると小銭をばらまけたり...... 透はそれを全て「人生ちょっとついてないな」くらいに済ませていたが――。「今、そなたが考えていること全てこやつの仕業だ」「いやぁ、この子ほんっとに運が悪くてねぇ」「!! お前のせいかぁああ!!」 透は貧乏神の胸ぐらを掴み、ぶんぶんと揺さぶった。「そ、それにしても今まで見えなかったのにどうして見えるようになったの?」「我が見えるように貧乏神に力を注いだ」「ちょっとちょっと。貧乏神っていうのやめてくれる? おいらには"貧丸"って名前があるんだから」「......あまり変わりない気がするけれど」 透は貧丸から、「ギブ.
こうして学校へと行く事になった白妙。 小夜が掃除の後始末をしているのを見ていると、境内に入ってくる人間の気配を察知した。「おい、誰か来るぞ」「え? あぁ、それなら......」「小夜、おはよう」「おはよう、透! ......ハッ!! 白妙様白妙様!!」 小夜は何かを思いついたかのように、白妙を呼ぶ。「なんだ?」「......彼とか、どうです?」「......は?」 小夜の斜め上の発言に、白妙は鳩が豆鉄砲を食ったように目を点にする。 どうやら小夜は透も候補になるのではと考えたらしい。 ――そして。「物は試しです!! さぁ!! ぶちゅっとどうぞ!!」「小夜!! そなた何を考えている?! 我にそんな趣味はない!!」「趣味と運命は別物です!!」 小夜は力強く白妙の背中を押す。 それに倣い兎月も一緒になって小夜の手伝いをした。「さ、小夜? うーちゃん? なにしてるの? と言うか、そのキラキラした人は誰?!」「説明は後!! とりあえず、この人とキスして!!」「は、はい?! いくら小夜の頼みでもそれは聞きたくないよ!!」「我もお断りだ!!」 小夜と兎月は白妙を押すのをやめ、ため息をついた。「まったく。我儘はダメですよ? 今からそんなのでどうやって運命の相手を探す気ですか?」「......小夜、オレにも説明してもらえるかな?」 透がそう言うと、小夜は胸を張って透に簡単に説明をした。「この方は神楽坂神社の祀る白蛇神様の白妙様!! ちょーっと諸事情があって、依り代に戻ることが出来なくなってしまって、依り代に戻るための"運命の相手"を探すことになったの!!」「......それで、なんでキス?」 小夜は「ふっふっふ」と怪しい笑みを浮かべた。 透は何やら嫌な予感がして、小夜を直視できない。「それはだね、透君。白妙様は"運命の相手と口づけをすること"によって依り代に戻ることが出来るのだよ!!」「運命の相手?」「そ!!」 小夜は何故だか得意げだ。 しかし、それに反して、透の顔は芳しくない。「それってさぁ、小夜が手伝う必要ある?」「......なんだと?」「だってそうじゃないですか。神様なんでしょう? 貴方。自力でどうにかしてみたらいいんじゃないですか?」 透は白妙に対して敵意をむき出しにしている。 小夜はピリつきだ