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第571話

Auteur: 北野 艾
受話器の向こうから、呆れたような、それでいて微かに諦めが滲む声が聞こえた。「……何だ?」

「お金よ」詩織は間髪入れずに切り込む。「振り込んだら戻ってきたわ。どういうこと?」

柊也が小さく息を吐く気配がした。「あの絵はやるよ。俺からの贈り物だと思って受け取れ」

「タダより高いものはないわ。そんなの受け取れるわけ……」

言い返そうとした言葉を、彼は静かに遮った。「見返りは求めない。ただの……償いだ」

柊也の声が、一段低く沈む。「今の俺には、金で解決すること以外、お前にしてやれることが何もないからな」

一瞬の沈黙。「もう遅い。さっさと寝ろ。これ以上、この件で頭を悩ませるな。……おやすみ」

ツーツーという電子音が、一方的に会話の終わりを告げた。

「なによそれ、意味わかんないんだけど」

事の顛末を聞いたミキは、心底理解不能といった顔でフリーズした。

「『金以外、何もしてやれない』って何?詩織がいつ、その他の何かをねだったって言うわけ?そもそもあんたが一番辛かった時、あいつ何かしてくれたっけ?無視決め込んでたくせに!」

ミキは鼻息荒く断言する。「ほんと、頭おかしいんじゃないの
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