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第767話

Author: 北野 艾
しかし、堕ちていくのは彼女だけではない。柊也もまた、底なしの沼へ足を踏み入れていた。

「んぅ……」詩織の喉から、すすり泣くような甘い鳴き声が漏れる。

いじめ抜かれた子供のようにか細いその声が、柊也の嗜虐心を煽り立てる。

汗が滝のように滴り落ちる中、彼は詩織の額に自分の額をゴンと押し当てた。「詩織、よく見てろ。俺は……最後の一線だけは守ったからな」

だが詩織は、挑発するかのように顎を上げ、彼の唇に食らいついた。

その瞬間、柊也の理性の糸が完全に焼き切れた。

低い唸り声と共に、鋼のように隆起した筋肉が、彼女をきつく抱きしめる。熱に浮かされた二人の境界線が曖昧に溶け合い、雲の上を漂うような浮遊感に包まれた。

たとえこのまま息絶えることになろうと、構わない。

今の柊也にとって、この瞬間こそが全てだった。

激情の嵐が過ぎ去り、後には燻るような余熱だけが部屋に残っていた。

激しい消耗の末、詩織は泥のように眠っていた。だが、その眠りは安らかなものではないらしい。整った眉間には、浅い皺が刻まれている。

柊也は、その眉間の皺を指の腹で優しくなぞり、撫で広げようとした。

詩織が夢う
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