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第858話

مؤلف: 北野 艾
書斎、ワインセラー、ルーフガーデン、果ては会議室やトレーニングルーム、茶室まで。

そこは詩織にとって、自宅というより「もう一つのオフィス」のような場所でもあった。

普段、そのフロアに上がるのは掃除の家政婦くらいのものだった。

ミキは足音を忍ばせ、抜き足差し足で階段を上った。

初恵を起こさないよう気遣い、照明すらつけずにスマホの画面が放つ微かな光だけを頼りに進む。

詩織のワインセラーには何度も足を運んでいる。目を閉じていても中を歩けるほど熟知していた。

重い扉を開け、中に入ってからようやくスイッチを入れる。さて、今夜はどの一本で喉を潤そうか――弾む心で棚に手を伸ばそうとした瞬間、視界の端に映ったものに心臓が跳ね上がった。

ソファの上に、何かが丸まっている。

「……幽霊っ!?」

悲鳴が喉元まで出かかったが、辛うじて飲み込んだ。よく見れば、そこにいたのは詩織だった。

薄手のルームウェア一枚という心許ない格好で、髪は乱れるままに垂れ下がっている。

その隙間から覗く顔はどこか生気がなく、暗がりに浮かび上がる姿は確かに肝を冷やすものがあった。

「なんだ、詩織か……てっきり会
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