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第2話

مؤلف: 九月待ち
翌日、私を待っていたのは真梨乃からの抗議ではなく、拓朗の非難だった。

「真梨乃がうつ病だと知っていながら、どうしてあんなことを書いて彼女を刺激したんだ!?

今朝、大量の睡眠薬を飲んだんだ。俺が気づいて病院に運んでいなければ、今頃死んでいたはずだぞ!」

出張だという嘘が露見したことなど意に介さず、拓朗はそれを釈明する気もないまま、有無を言わさず私を病院へ連れて行った。

「お前の口から、彼女に説明しろ。何かの間違いだったと。

彼女は、俺と自分が一緒になるものだと思ってるんだから」

あまりの理不尽さに、全身から力が抜けた。

私は信じられない思いで彼を見つめた。

「今、なんと言ったの?」

拓朗はまるで大したことでもないように言い放った。

「彼女はうつ病なんだ。少しはお前が譲ってやれ」

病室には大勢の人が集まっており、私の友人たちがこれほど一堂に会するのを見たのは初めてだった。

自分の結婚式のときでさえ、みんな揃って来てくれることはなかったというのに。

潔癖症で知られる母が、真梨乃の吐瀉物を嫌な顔ひとつせず手際よく拭き取っていた。

けれど、私が流産したあの年、母は血の匂いが嫌だと言って病室に入ろうともしなかった。

美也子が冷ややかな声で言う。

「いい加減にしてよ。危うく真梨乃を死なせるところだったのよ?」

母も私を睨みつけた。

「本当に情けない子ね。あんなものを書く前に、少しは考えなさい。さっさと真梨乃に謝りなさい」

周りの人たちは口には出さないものの、暗に私が謝るのを促しているようだった。

夫と5年間も隠れて付き合い、結婚写真まで撮っていたのは真梨乃のほうなのに。

被害者は私のはずなのに、私から全てを奪った相手に頭を下げなければならないなんて。

しばらくして、私はやっとのことで短い言葉を絞り出した。

「……なんで、私が……

私が彼女に、人の結婚を壊せって言ったの?睡眠薬を飲めって言ったのも私?」

真梨乃の顔が青ざめる。

「私が……あなたの結婚を、壊した?」

私はスマホを取り出し、拓朗との婚姻届受理証明書の写真と結婚式の映像を開いて見せた。

「私たちはもう5年前に結婚してるの。それなのにあなたは5年もの間、私の夫に付きまとっていた。それこそ、私の結婚を壊してるんじゃないの?」

私の言葉を遮るように、母が真梨乃をなだめにかかった。

「真梨乃、あの子の言うことなんて気にしなくていいのよ。拓朗とあなたこそが、本当の夫婦だって、みんな分かってるから」

美也子の顔つきも険しくなった。

「ちょっと、何をでたらめ言ってるの。拓朗さんと真梨乃こそ、正真正銘の夫婦なんだから」

その一言に、平手打ちを食らったような衝撃を受け、頭の中が真っ白になった。

――本当の夫婦って、どういうこと?

真梨乃が取り乱し始めたのを見て、彼らはすぐに私を病室から追い出した。

震える手でスマホを取り出し、マイナポータルを開いて、自分の戸籍情報を確認した。

画面が切り替わった瞬間、血の気が引いていくのを感じた。

そこには、拓朗との婚姻の記録など、どこにもなかった。

慌てて真梨乃の投稿に戻り、過去の投稿をさかのぼっていくと、婚姻届受理証明書の写真が見つかった。

そこには、拓朗と真梨乃、ふたりの名前がはっきりと記されていた。

つまり、私が本物だと信じていた婚姻届受理証明書は、偽物だったのだ。息ができないほどの窒息感が、波のように押し寄せてくる。

あれほど心待ちにしていた結婚式も、交わした指輪も、手元にあった婚姻届受理証明書も、全部、最初から仕組まれた茶番だったのだ。

だから、結婚式に人が集まらなかったわけだ。彼らはとっくに、この結婚がただの茶番だと知っていたのだから。

病室のドアが開き、彼らは医師に呼ばれて出て行った。

私がまだ立ち尽くしているのを見て、彼らの顔に気まずさが浮かんだ。

「どうして……どうして、私を騙したのよ!」

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