Share

第218話

Author: リンフェイ
佐々木唯月はまた仕事を探しに行った。

内海唯花は甥を連れて店に行った。

牧野明凛は非常に佐々木陽を甘やかしていた。ほとんどの時間は彼女が遊び相手をしていて、おかげで内海唯花はハンドメイドに専念することができた。

彼女は自分でレトロ風のヘアアクセサリーを作ってネットショップで販売してうまくいくか試してみようと思っていた。もしそれなりの売り上げがあったら、もう一つのネットショップを開くつもりだ。

今はネット通販が流行っていて、実店舗での商売よりも儲かることがある。

もしネットショップが儲かるなら、内海唯花は喜んでもう一つをやろうと思っていた。

昼になると、牧野明凛は親友に声をかけた。「唯花、今日はまた結城さんを迎えに行って一緒にご飯を食べる?家から新鮮な海鮮を持ってきたの、昼ご飯にしよう。

結城さんが来るなら、ご飯を多めに作るよ」

牧野明凛は昼食の準備をするため、親友に聞いたのだ。ちゃんと確認しないと、人数分足りないかもしれない。

「呼んでも来ないと思うよ。明凛、私は結城さんと喧嘩したっぽいんだよね」

内海唯花はお客さんが注文した招き猫を作り終わって、一休みすることにした。

それを聞いて、牧野明凛は心配そうに聞いた。「どうして喧嘩したの?最近うまくいってたじゃない?結城さんはおいしいものを食べさせるために、スカイロイヤルホテルに頼んで、ご馳走を持ってきてくれたし」

内海唯花はため息をつき、続いて言った。「土曜日に琉生君と明凛にご馳走してる時、私たちが一緒にご飯を食べているのを彼が見たらしくてさ、私は彼の影も見てないのに。それで、私が浮気して、琉生君を次のターゲットにするつもりだと言われて、頭にきたの。

琉生君は私の弟のようで、ずっと彼を弟としか見てないのに、琉生君を次の結婚相手にするはずがないでしょ。もし本当に琉生君のことが好きだったら、当時お姉さんの家から引っ越した時、彼に頼めばいい話でしょ。結城さんと結婚する必要ないじゃない?

普段余裕そうに見えるけど、実は器は針の先より小さいのよ。ケチだし、疑い深いし、口まで悪いの。本当のことも知らないくせに、私が浮気しただなんて言い出して勝手に騒いだの。これって私が尻軽な女だと言ってるのと同じよ」

結城理仁が酒乱で強引に彼女にキスしたことについては言わなかった。

牧野明凛「……三人で一緒にご飯を食
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第880話

    「彼とは関係ないわ。私が不注意で切っただけよ」唯花は相変わらず平静を装い、また姫華に申し訳なさそうに言った。「姫華、私と結城さんのことだけど……」「唯花、あなたのせいじゃないよ。説明も謝罪もいらないの。私はあなたのことをよく知っているから。ただ、結城理仁が私たち二人を騙したことに腹が立ったのよ」さっき明凛は唯花が理仁の正体を知ってからの出来事を姫華に話した。それを聞いた姫華は理仁に騙された従妹を心配していた。理仁に完全に騙されてしまっていたのだ。「唯花、私はあの人がもう結婚したと知ってから、その想いを断ち切ったのよ。暫く彼を追いかけなかったし、考えないようにしたら、気持ちが随分落ち着いたの。私のせいで自分の決断を迷わないでちょうだい。結城理仁という男はね、確かにあなたを騙したけど、それを除いたら、彼は人生を託すに値する人なのよ。もちろん、彼はあなたを長い間騙していたから、簡単に許すべきじゃないわよ。もうちょっと苦しませてやるべきだわ」姫華は次に理仁に会ったら、しっかり自分に対して敬語を使わせてやろうと思っていた。従妹の代わりに、理仁をしっかり懲らしめてやる。「これは私の考えであるだけで、あなたがどう思うかどうするかに関しては、私は干渉しないから」姫華は唯花の怪我した指に優しく触れ、見つめながら言った。「まだ血が止まっていないみたい。やっぱり病院へ行きましょう?顔色もよくないわ。私が送ってあげるから」指は本当に痛くてしょうがなかったが、唯花はまた断った。指にできた傷は切れた瞬間からズキズキと痛んだ。さっき結構深くまで傷が入ったが、指を切り落とさなくて良かった。「私のほうが年上なんだから、私の言うことをちゃんと聞きなさい」姫華は強引に唯花を外へ連れ出した。明凛も姫華の意見に同意したから、病院でちゃんと傷を手当してもらうよう強く勧めた。二人の親友の説得に負け、仕方なく唯花はおとなしく姫華に病院へ連れて行かれた。一方、理仁はプライドを傷つけられて、店を出てからそのまま会社に戻った。彼が帰ってきたのを見て、悟は驚き、手元の仕事を放り出して社長オフィスに入った。「どうして帰ってきたんだ?最近会社に来ないって言ったじゃない?その険しい顔、まさかまた奥さんと喧嘩したとか?」悟は理仁にお茶を淹れた。「まず

  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第879話

    唯花は顔を上げて彼を見つめた。しかし、理仁はくるりと背を向け、去っていった。唯花は彼が何の迷いもなく去っていく後ろ姿を呆然と見つめ、胸に痛みが走った。それが彼のための痛みなのか、それとも自分のためなのか、唯花はわからなかった。外で話していた明凛と姫華は、理仁が暗い顔をしながら店を出てきたのを見た。彼は二人を一瞥することもなく、いつも乗っていたロールスロイスに向かっていった。ボディーガード達は理仁に追い払われていたが、運転手だけが残っていた。理仁がまた車を使うのではないかと思っていたからだ。理仁が出てきたのを見て、運転手は急いで車を降り、ドアを開けた。二分も経たないうちに、理仁とそのロールスロイスは明凛と姫華の視野から消えていった。二人は何が起こったのかわからない様子で互いに目を合わせた。。すると、二人は急いで店に戻った。しかし、レジの奥に唯花の姿はなく、ハンドメイドの道具だけが静かにそこに置いてあった。机の上には血が滴り、ハサミにも血がついていた。唯花が怪我をしたのか。「唯花」「唯花」二人は彼女の名前を呼びながら奥へ入った。この時、唯花は洗面所にいたのだ。理仁はさっき突然、怒りに震えた声で彼女を責めた。彼女が彼を見上げた時、彼はそのまま去っていった。そのせいで、彼女はうっかりでハサミで指を深く切ってしまったのだ。血が全く止まらないのを見て、彼女は慌てて引き出しから常備していた止血薬、絆創膏と消毒液を取り出し、綿棒で簡単に消毒した後、薬を塗って絆創膏を貼った。出血がひどくて、机や他の指にも血がついてしまったから、洗面所で手を洗っていたのだ。「ここにいるわ」唯花は返事しながら、洗面所から出てきた。「怪我をしたの?」明凛は心配そうに尋ねた。「見せて」唯花は絆創膏を貼った指を差し出し、平然と言った。「ハサミを使ってたまに怪我をするのは普通よ。ちょっと切って血が出ただけ、大丈夫よ」明凛は慎重に唯花の傷ついた指を掴んで怪我を確認した。絆創膏を貼っているにもかかわらず、まだ血が滲み出ている。「まだ血が出てるよ。傷が深いに違いないわ。病院へ行って手当てしてもらいましょう?」「大丈夫よ。薬も塗ったから、すぐに血は止まるよ」唯花は手を引っ込め、外へ歩きながら言った。「また絆創膏を何枚

  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第878話

    「唯花、彼は普段どんなふうにあなたを騙していたの?ずっとただの会社員だって嘘をついていたの?」唯花は姫華が理仁の正体を知った時、怒りだして彼女と絶交するだろうと思っていた。しかし、実際にすべてを知った姫華は確かに怒ってはいたが、その怒りは理仁が彼女二人に真実を隠していたことに向けられていた。もし理仁がもう結婚したとさっさと教えてくれていたら、彼女は絶対潔く彼を追いかけるのをやめたのだ。結局、彼は何も言わず、彼女に独身だと思わせたせいで、姫華は相変わらずしつこく彼に付き纏っていた。その結果、彼女は知らず知らずのうちに、他人の婚姻に割り込む第三者になってしまっていた。それに、気が合う実の従妹の婚姻の第三者だった。「唯花、あなた達いつ結婚届を出したの?」と姫華は突然尋ねてきた。唯花は答えた。「確か……十月の二日か三日だったかな」その時、彼女はただ一緒に生活するルームメイトみたいな相手を探すためにスピード婚することにしていたので、正確な日付は覚えていなかった。ただ十月に入ってから数日後という記憶しかなかった。「唯花さん、俺たちの結婚記念日は十月十日だよ」姫華に責められていた理仁がこの時口を挟んだ。今では結婚記念日をしっかり覚えている。「あなたが唯花と結婚した後に、私が公に告白したのよ。結城理仁、あなたわざとやったのね!」姫華はもし自分が先に告白し、その後で理仁が結婚したならまだ理解できたのだが、理仁が唯花と結婚した後に、彼女の告白を受けたのだ。理仁は確かに彼女を受け入れなかったが、結婚したことも伝えてくれなかった。その後、彼女にしつこく付き纏われて煩わしくなったから、ようやく結婚指輪をつけたのだ。それを見たから、姫華は彼への感情を諦めようとした、という流れだ。理仁は落ち着いて言った。「俺と唯花さんのことだから、お前に知らせる義理なんてないだろう」「確かにないけど、もう結婚したことを言えばよかったじゃない?そうすれば私はとっくに諦めたわ。それに、既婚者なのに、何も言わなかったのは、私があなたを追いかけるのを見て、男としての自尊心を満たしていたのでは?」理仁は言葉を失った。彼は慌てて唯花の方を見た。ちょうど唯花も彼を見つめていた。「唯花さん、俺たちは最初、暫く結婚したことを秘密にするって約束していたから……神崎

  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第877話

    「理仁?どうしてここに?」姫華は意外そうに尋ねた。理仁の身分を考えて、彼がこんな場所にいるはずがないのに、目の前の男は紛れもなく結城理仁だった。姫華は自分の目を疑った。ぱちぱちと瞬きして、じっと理仁を見つめた。間違いなく、この人は彼女が知っている結城理仁なのだ。理仁と唯花の間に置かれた花束と理仁が唯花の手を握っている様子を見て、姫華は目がさらに大きく見開いた。最初は自分が夢でも見ているのではないかと思っていた。この男は理仁に似ている別人じゃないかとすら思った。あの冷徹無情な結城理仁が、いつもボディーガードを連れ回って、親戚以外の女性を三メートル以内に近づけさせないあの男が、自ら他の女性の手を……あ、忘れていた。理仁には妻がいて、妻にはとても優しくしているという話だった。愛妻家だという噂もあるのだ。彼女は実際に彼の妻に会ったことはないが、理仁が妻を溺愛する男だと信じでいた。理仁のような性格の男性は、一度誰かを愛したら一生その気持ちは変わらないだろう。だから、理仁が愛妻家だと噂され、姫華は何も驚かなかった。しかし、残念ながら、彼女は理仁に溺愛される女性になれなかったのだ。ふと、唯花の結婚相手の苗字も結城だと思い出した。まさか、唯花の夫は結城理仁なのかと彼女は思った。全部理解した瞬間、姫華が持っていた袋はすべて床に落ちた。彼女の顔色がガラリと変わり、じっと夫婦二人を睨んだ。唯花はスッと理仁に握られた手を引き抜き、急いでレジの奥から出てきたが、まだ何かをする前に、姫華が素早く理仁の隣に近づき、彼の腕を掴んで、彼女に向かわせようとした。理仁は彼女の手を振り払い、触られた服を払いながら冷たく尋ねた。「神崎姫華、何をするつもりだ?離れろ!」姫華は暗い顔をしながら冷たく笑った。「結城さん、その言葉そのまま返してやるわ。そっちこそ、何をしているの?」彼女は理仁以上に怒っていた。唯花はすぐに姫華に説明した。「姫華、わざと隠していたわけじゃないの。私も最近になって彼の正体を知ったばかりで」もし、姫華が何年も恋焦がれていて、公に追いかけていた結城家の御曹司が理仁だということを知っていたら、最初から絶対理仁とスピード結婚なんてしなかったのだ。「知ってるわよ」姫華は返事しながら唯花をチラッと見た。「もし唯花が最初か

  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第876話

    唯花の気持ちを取り戻すために、面子など全部捨てると言っていたくせに。いざ行動に移すのは、理仁にとってやはり難しいようだった。七瀬は急いで車に戻り、主人のために、あの花束を取ってきてくれた。「若旦那様、若奥様への花束をまだ贈っていませんよ」七瀬は花束を理仁に渡した。理仁は我に返った。確かに、彼は唯花に花束を買ってきたのだ。七瀬から花束をもらい、理仁は低い声で言った。「今月のボーナスは倍にするって吉田に伝えておく」七瀬は心の中で喜んだが、恭しく返事した。「若旦那様と若奥様が仲直りできれば、ボーナスなど、どうでもいいんですよ」「そうか?ならそのボーナスは唯花さんの花代に回そう」七瀬「……」ただ自分の忠誠を示そうとした、ただの建前だったのに、それを取り消すなんて!周りのボディーガード達は顔を背け、口を押えてこっそり笑った。理仁は花束を持って店に入ろうとしたが、一歩踏み出してまた引き返し、ボディーガード達に言った。「お前たちはもう帰ってくれ。お前たちを見れば、唯花さんは俺が騙したことを思い出すだろう」彼が連れているボディーガード達は星城の人間にとって、彼の身分の象徴だった。ボディーガード達は無言になった。理仁は彼らの反応など気にせず、花束を持って店の中に入っていった。唯花はもうレジの奥に座り、ハンドメイドを作っていた。明凛は彼女の向いに座り、頬杖をついて静かに彼女を見つめていた。理仁が入ってくると、明凛は自然に立ち上がり、その席を譲ろうとした。しかし、唯花は視線を上げて、彼女を見た。すると、明凛はすぐまた座り直し、席を譲るのをやめた。彼女は危うく唯花を裏切るところだった。「唯花さん、この花束をもらってくれる?」理仁は花束を唯花に差し出した。「結構よ。要らないわ。退いてくれない?邪魔だから」唯花は理仁を見つめて、相変わらず淡々と言った。「結城さん、前も言ったけど、私には冷静になる時間が必要なの」理仁は静かに彼女を見つめ、花束を差し出したまま引こうとしなかった。夫婦二人はどちらも動かなかった。明凛はこっそり椅子をずらした。「唯花、明凛、私帰ってきたわよ。たくさんお土産を買ってきたから、運ぶのを手伝って」夫婦二人が誰も譲ろうとしない時、姫華の声が外から聞こえてきた

  • 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています   第875話

    神様は本当に冗談が好きなお方だ。他の孫娘たちはみんな彼に孝行しているのに、よりによってこんな不孝者の唯花が玉の輿に乗れるとは!智文たちは祖父が逃げたのを見て、これ以上ここにいる勇気は無くなった。全員車に乗り込み、あっという間に逃げ出していった。理仁がバケツを勢いよく地面に置くと、勢いのあまり水がこぼれて、ズボンの裾を濡らしてしまった。「逃げんじゃねえぞ、じいさん!」理仁は遠ざかる車に向かって叫んだ。内海じいさんが逃げなければ、ボディーガード達に指示し、内海家のクズどもを車に詰めて強引に連れて行こうと思っていたのに。結局あのじじいは全く張り合う度胸などなく、自ら逃げていったので、その手間が省けたというものだ。唯花と明凛も外に出てきた。明凛は言った。「唯花、あの人たちと和解なんてしないでね。たとえ彼らがネットで謝罪したとしても、許してはいけないわ。あなたが幸せになるのを妬むことしかできない連中だから」唯花は冷たい顔で言った。「和解するつもりは最初からないわ。そもそもできないもの」「あいつ、本当に血のつながった祖父なの?お父様は実の子じゃないんじゃないかと思っちゃうくらいね。どうして実の孫娘にこんなひどいことができるのよ」唯花は暫く黙ってから言った。「両親がまだ生きていた時、よく母から聞いていたの。お父さんはお爺さんにそっくりだったって。親子じゃないわけないわ。でも、父は長男でもないし、末っ子でもない。真ん中の子だから、ずっと可愛がられなかったのよ」子供の頃、祖父母は両親に冷たかった。よく彼女の家で食事をして、お金を使い、少しでも具合が悪くなれば両親が病院に連れて行ってあげたのに、全く感謝されることはなかった。伯母たちが祝日に家で作った料理を少しだけおすそ分けすると、祖父母は一年中ずっと長男と末っ子が親孝行してくれて、料理も分けてくれると褒めていた。しかし、彼女の家でご馳走を作ったとき、いいものを全部祖父母に食べさせていたのに、まるでそんなことがなかったかのように振る舞っていた。あれほどのご馳走を生活に困っている人にあげても、その人からお礼をひとことはもらえるだろう。それを祖父母に全部食べさせたのに、彼らは文句しか言わなかったのだ!「同じ自分の子供なのに、どうしてそんなにえこひいきするんだろう」明凛は

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status