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第3話

Penulis: 風由
真由は裏庭を通り過ぎて邸宅に入った。ドアを開けると、父の大輝、継母の西園寺梓(さいおんじ あずさ)、そして咲和が、まるで待ち構えていたかのようにリビングのソファに並んで座っていた。

酒臭く、服も乱れた真由の姿を見た大輝は、みるみるうちに表情を険しくした。「どこをほっつき歩いてたんだ?こんな時間まで何をしている!それにその格好は何だ、はしたないにもほどがあるぞ!」

真由は大輝との会話を早々に切り上げ、階段へと向かった。「秀明との縁談はもう断ったの。どこで何をしようと私の勝手でしょ」

すると咲和が立ち上がり、真由の前に立った。隠し切れないほどの笑みを浮かべて。「お姉ちゃん、お父さんから聞いたの。婚約を譲ってくれるって本当?」

その白々しい態度に吐き気がした真由は言い捨てた。「そうよ、あげるわ。どうせ、人が捨てたゴミを拾うのが好きでしょ?」

「真由、なんてことを言うんだ!」大輝が激昂する。

「秀明のような一流の婿など、そうそう巡り合えるものじゃない!あそこへ嫁ぐことは、わが西園寺家にとって名誉なことなんだ!もう伊藤家には婚約者を変える相談に行っている。伊藤家はお前よりも咲和の方を気に入っているくらいだ!後悔するなよ!」

真由は鼻で笑った。「ご安心を。私がやることすべて、後悔なんて微塵もしていないから」

それを聞いた梓は、わざとらしくため息をついた。「真由、私、心配してるのよ。そんなじゃじゃ馬な性格じゃ、婚約もなくなった今、誰がお嫁にもらってくれるのかしらね……」

真由の瞳から、冷徹な光が宿った。「私に説教できるような身分なの?愛人の分際で……自分の娘の心配でもしてたら?人の男を奪うのも、そう簡単に上手くいくとは限らないわよ!せいぜい頑張ることね!」

言い返された梓は言葉に詰まり、大輝は怒りのあまり震えていた。

相手にするのも面倒になった真由は、足早に自分の部屋へと向かった。

翌朝、真由が目を覚ますと、秀明が待ち構えていた。

相変わらず冷徹で、隙のない身なりだ。真由の姿を見るやいなや、秀明が放った言葉は「反省文」というものだった。

真由はドアにもたれかかり、ゆるんだパジャマの隙間から華奢な鎖骨をのぞかせていた。

あくびをしながら「書いてないわ。これからも書くつもりはないし」と呟く。

秀明の顔色が瞬時に冷え、露骨に苛立ちを露わにした。「いつになれば、君は言うことを聞けるようになるんだ」

「私はこういう人間なの」真由はまっすぐに見返した。その瞳には反抗の色が宿っていた。「言いなりになるなんて一生無理よ。誰かに管理されるなんて大っ嫌いだから」

「君は――」

二人の空気が一触即発の危機に陥ったとき、咲和が絶妙なタイミングで現れた。

清楚なワンピースに身を包み、品行方正で柔和な微笑みを浮かべている。

「秀明さん、お姉ちゃんを責めないで」と咲和は優しい声で話し、丁寧に書かれた反省文を秀明に差し出した。「お姉ちゃん、昨日は機嫌が悪かっただけだと思うの。だから私が代わりに書いておいたけど……これでどうかしら?」

それを受け取った秀明の表情は、一瞥した後に真由を見たことで、より深い落胆に染まった。

「咲和を見習ったらどうだ。同じ家で育ちながら、なぜこうも彼女のように謙虚で分別ができないんだ?

昨日の件はこれで終わりにする。反省の色がないのは困る。すぐに着替えて、一緒にビジネスパーティーに出席するぞ」

真由は迷わず首を振った。「行かないわ。咲和を連れて行けばいいんじゃない?彼女の方があなたの好みなんでしょ」

秀明が眉を寄せた。「真由!君は俺の婚約者だ」

その一言が、鋭いナイフとなって真由の胸に突き刺さった。

そう、自分である理由は「君じゃなきゃダメだから」じゃない。ただ昔決めた契約があり、家名として婚約破棄ができないからだ。

愛情など、ここには微塵も存在しない。

もし選択権があるのなら、秀明はずっと前に咲和を選んでいただろう。

それなら、この世で存分に成就させてやろうじゃないか。

咲和はすかさず言葉を挟んだ。「秀明さん、お姉ちゃんはこういう格式張った席は不慣れなのかもしれない。……それなら、私がお手伝いしようか?お姉ちゃんに足りない礼儀や作法があれば、横から私が教えるわ」

そう言って、真由の拒絶も聞かずにその腕を取り、強引に階段へと引っ張り始めた。「さあお姉ちゃん、似合う服を私が選んであげる」

部屋に入ると同時に、真由は咲和の手を振り払い、氷のような視線を向けた。「二人っきりになったんだから、そんな仲のいい姉妹を演じるのはやめて」

咲和の柔和な笑みは瞬時に消えた。しかし、冷淡な口調で返した。「お姉ちゃん、勘違いしてるみたいね。本当に仲良くなりたいだけよ」

「仲良くなりたい?一生無理。あなたなんか死ねばいいわ!ああ、死んだらあなたの墓の前で狂ったようにダンスして祝ってあげる!あなたの母親も連れて、二人仲良くあの世へ行きなさいよ!」

痛いところを突かれた咲和は顔色を悪くしたが、ついに牙を剥いた。「いい加減にしなさいよ!本当に仲良くしようなんて思うわけないでしょ?秀明さんに次の婚約者が私だって知られたら、あちらは大喜びよ!あなたみたいな無礼でだらしない人間は、秀明さんにふさわしくないんだから!」

「あら」真由は眉を上げて一歩近づき、嘲るような口調で放った。「それならどうしてさっき、秀明にその婚約者が変わったってことを自分から教えなかったの?怖いの?彼に全部バレたら逃げられるかもって、自信がないんでしょ?」
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