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第112話

Author: 星柚子
その後には住所が書かれていた。そこは、北斗が京市に所有している不動産のひとつだ。

――だが、北斗は自分に、二人が泊まるのは別の場所だと言っていたはずだ。

ふっ……先に自分を落ち着かせておいて、それから奈穂に会いに行くつもりなのだろうか?

水紀の指先は微かに震え、画面の冷たい光が彼女の顔色をさらに青ざめさせた。

「お兄さん、そんなに待ちきれなかったの?」彼女は携帯を北斗へ放り投げ、冷ややかに笑った。

北斗は眉を寄せた。「京市に来た以上、奈穂に会わないわけにはいかないだろ。それから彼女を連れて帰る」

奈穂は彼の女だ。ずっと彼のそばにいないなんて、あり得ない。

それに、あの政野という画家が、奈穂のそばにいる可能性があると思うだけで、胸の奥が不愉快にざわつく。

「連れ戻して、それで?」水紀の声は嘲るようだ。「私たち三人家族のお披露目でもするつもり?」

「水紀、君が妊娠していることは、奈穂に知られてはいけない」

突然、水紀はお腹を押さえ、目に涙を浮かべた。「お兄さんは……もし彼女が知ったら、もう二度とあなたのそばに戻ってこないのが怖いんでしょ?」

泣き声に震える言葉。だが、その瞳の奥には確かに冷
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