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第663話

Auteur: 星柚子
高代は、もはや他のことを考える余裕がなかった。ただ一つ気がかりなのは、息子――北斗のことだけだった。

彼女にも分からない。北斗がいったいどうやって逃げ延びたのか。

自分がいなければ、車椅子だけで逃走を続けるなど不可能なはずだ。

それでも――今のところ彼が捕まっていない、それだけで十分だった。

扉が開く音と、足音が聞こえた。

高代はふと我に返り、濁った目をゆっくりとそちらへ向けた。

そして、目の前に立っている奈穂の姿を目にした。

ボディガードの一人が椅子を運び込み、奈穂のために置く。

一方、高代は床に座らされていた。

奈穂が椅子に腰を下ろすと、自然と高代を見下ろす形になる。

「ふふ……」高代はふいに笑った。「奈穂、まさかこんな形で再会することになるなんてね」

奈穂の表情はわずかも揺らがない。「前回、ここで面会したのはあなたの『可愛い養女』――水紀だったわ。次にここで会うのがあなたでも、別に驚きはしないわ」

「水紀……!」高代は歯を食いしばり、その名を噛み砕くかのように吐き出した。「あの疫病神!あの女のせいで、私と北斗はこんな目に遭ったのよ!」

奈穂は冷ややかに笑
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