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ep31.剛金鎧

Autor: 理乃碧王
last update Fecha de publicación: 2026-05-09 22:31:01

 ベルタの私室を目指し、薄暗い屋敷の中を急ぐ俺たち。

 屋敷内の使用人に擬態した魔物や操られた警備兵との戦闘を覚悟し、最大限に警戒していたが――。

「おかしい。屋敷内にまるで人がいないぞ」

「……ええ。私が『薄暮の催眠ダスクスリープ』で眠らせた衛兵以外、人の気配がすっかり消え失せているわ。地下の騒ぎに気づいて逃げ出したのかしらね」

「――薄暮の催眠ダスクスリープ。催眠呪文か」

「色々と魔法は覚えてるからね」

 ラナンが油断なく周囲を見渡しながら、冷静に状況を分析する。

 俺たちは微かな違和感を抱きつつも、目的の部屋の重厚な扉を勢いよく蹴り開けた。

 そこには、グラスに注がれた赤いワインを静かに揺らすベルタの姿があった。

「いらっしゃい、殿方たち。随分と騒がしい夜ね」

 ベルタは特に慌てる様子も見せず、妖艶な微笑を浮かべている。

 そして、先頭に立つゼイクを見据えて言った。

「あなた……私の『誘惑の甘息キャプティベイト』に掛かっていなかったの?」

「ああ。これのお陰でね」

 ゼイクは胸元から引きずり出した銀のチェーン――『蒼月鉱の首飾り』を見せつけた。

「それは……ッ
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  • 偽典のダーク・ブレイブ   ep39.退場者の微笑み

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  • 偽典のダーク・ブレイブ   ep11.藤色の絶対者

     血まみれになりながらも、ゲレドッツォは狂気に満ちた高笑いを上げた。「クカカカカカッ!!」 まだ自分が優位に立っているとでも思い込んでいるのだろうか。「汝ら、疑問に思わなかったか? この広大なる魔王城に、我ら少数の魔物しか配置されておらぬことを!」「……どういう意味よ?」 ラナンが不快そうに眉をひそめる。 だが、言われてみればその通りだった。 空からこの城に潜入した時から、俺たちはほとんど敵と遭遇していない。 魔王城の最深部だというのに、警護がザル過

  • 偽典のダーク・ブレイブ   ep10.虚飾王は龍角を誇る

     ゲレドッツォとの戦闘が本格的に始まった。  狂信のリザードマンは東国風の錫杖を高く振り上げ、その切っ先を俺たちへと向ける。「魔法を発動する気か!」 「みたいね。来るわよ、ガルア!」 俺とラナンは即座に身構える。「我が父より受け継ぎし、強大なる魔力を見せてやろう!」 ゲレドッツォの周囲の空気が、急激に温度を奪われていく。「深淵なる水底より這い出でし蒼き凍気よ。全てを凍てつかせよ……血も心臓も――蒼氷の氷嵐ッ!!」 先ほど、魔王ドラゼウフの骸を分厚い氷

  • 偽典のダーク・ブレイブ   ep09.偽りの後継者

    「灰燼に帰しなさい――赤の火弾ッ!」 ラナンは有無を言わせず、両手から灼熱の火球を放った。 スキル『二連詠唱』による、タイムラグのない連続攻撃。 殺意の照準は、祭壇の中央で錫杖を構えるゲレドッツォへ正確に向けられていた。「ゲレドッツォ様!」「我らの命を盾とし、御身をお守りするのだァ!!」 火球が届くより早く、二匹のオークがゲレドッツォの前に飛び出した。 身を挺して肉の盾となった彼らに魔法が直撃し、紅蓮の炎がオークたちを包み込む。 断末魔すら上げず、彼らは文字通り灰となって崩れ落ちた。「イ、イカれてやがる……」 フサームが、信じられないもの

  • 偽典のダーク・ブレイブ   ep08.魔王の亡骸

     黒曜石で造られた分厚い壁と床に覆われた、魔王城の回廊を歩く。 屋根を吹き飛ばす派手な侵入をしたというのに、ここまで敵の気配は全くない。 奇妙なほどの静寂に包まれる中、俺は前を歩くハンバルに尋ねた。「一つ、質問をしていいか」「何だ」 足を止めることなく、ハンバルが静かに応じる。 これから玉座の間へ攻め入る前に、俺はどうしても『標的』の情報を整理しておきたかった。 絶対的な主であったドラゼウフの死後、その隠し子だと図々しく名乗り出た輩。 魔物の世界とはいえ、その存在の不自然さがどうしても

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