分享

第458話

作者: 小粒キャンディ
久子は興奮状態で、心の声を口に出したが、途中で一花の隣にいる男も怒らせてはいけない相手だということを思い出した……

「愛?黒崎慶は私を愛してなんていないわよ。あの男は黒崎家が育てあげた、たいそうなお方よ。あんた達と全く同じ。あいつは愛情なんて持ち合わせていない。人としての最低ラインですら余裕で越えるような人間よ。それに……」

一花は柊馬の傍まで行くと、しっかりと彼の腕に手を絡め、声を優しくさせた。

「今、私にはもう……この世で最も完璧な素敵な旦那様がいるもの」

一花が顔をあげると、柊馬の自慢に満ちた顔が見えた。

黒崎家と慶の存在がはっきりとした比較対象となり、一花は自分が望んでいる人生とは一体何なのかをはっきりと意識できた。

彼女の人生を完璧なものにしてくれる、魂の片割れ。

そして、その存在のおかげで、この世の難題を一緒に乗り越えられる、人生のパートナー。

努力したいと思える相手。何度も何度も心を震わせ、喜びを与えてくれる存在。

彼は永遠に彼女の人生を照らし、彼女は彼のために進むべき道を教えてくれる。

柊馬は再び彼女を懐に引き寄せ、大切な宝物のようにしっかりと抱きし
在 APP 繼續免費閱讀本書
掃碼下載 APP
已鎖定章節

最新章節

  • 偽物クズ夫に別れを告げ、スパダリと政略結婚します   第464話

    一花のことは一言も言わなかった。綾芽は頷いた。「ええ、おばあ様が亡くなったんです。まだ手続きもしていないので、帰らないと」「それはもちろんだよ」浩之は頷いて、携帯を取り出して休暇をとるという綾芽のために許可をした。「出張ということで処理しておくから、その通りに申請を出しておいて」「どうもありがとうございます!」浩之が融通の利く人なので、綾芽は少し驚いた。すると彼女はまた付け加えた。「できるだけ早く終わらせて、会社に戻ってきますので」「会社はそもそも君を南関に行かせる予定だったんだ。君は少し早いけど、南関に行ってそのプロジェクトを考察してしまってもいいだろう」浩之の声は淡々としていた。綾芽は京原にはあまり長く滞在する予定ではないし、どのみちいつかは南関に戻ることになるのだ。だから、少し早くあっちに行ったところで別に問題はない。はずなのに……「柏木さん」「はい?」浩之は暫くじっと考えてからようやく口を開いた。「固執する必要のないことで人生を無駄にしないほうがいい。君がもう離婚を決意したのなら、早めに目を覚ましたほうがいいと思うよ」その言葉に綾芽は言葉を詰まらせた。紬は彼に慶が浮気して綾芽を傷つけたから、二人は今離婚協議中なのだと言ったのだ。しかし、綾芽が実は離婚したくないということを、浩之は知らない。それなのに彼は綾芽が家に戻って夫にしつこくまとわりつかれるのではないかと心配しているらしい。「心配しないでください」綾芽はうまく説明することはできないので、ただ彼に頷くしかなかった。「男性だって女性と同じですよ。何かにこだわってしまうのは、ね。私は感情に振り回されるようなことはありませんから」綾芽の言葉は少し悲しく冷たかった。浩之は酒のせいで体が少し熱く感じ、心の中も燃えるように熱く感じた。横目で、綾芽の美しい顔に残る傷ついた表情を見て、彼は突然勇気を出し、彼女の手を握った。「実際、世の中の男がみんな同じってわけじゃない。ずっと一途な奴だっているんだよ」浩之のこの行動に、綾芽は驚き急ブレーキをかけた。「副社長……」浩之も彼女の手を握ったのはあまりよろしくないと気づき、すぐに手を引っ込めた。彼は少し気まずそうに綾芽がくれたお茶を一口飲んで、目線を向こう側に移した。この時、綾芽の心臓はバ

  • 偽物クズ夫に別れを告げ、スパダリと政略結婚します   第463話

    「柚葉ちゃん、おばあ様が亡くなったって……本当なの?」綾芽の電話が繋がると、柚葉の泣き声が聞こえてきた。黒崎久子が亡くなったと聞き、綾芽はかなり驚いた。しかし、それが本当だと分かると、口角をにやりと上にあげた。危うく笑い声を漏らしてしまうところだった。あの死にぞこないのクソババアが、慶との離婚を望んだものだから、今天罰が下ったのだ!綾芽は興奮する気持ちを抑え、柚葉の詳しい状況を尋ねた。柚葉は泰司に言われたとおり、久子が突然心臓発作を起こしたと伝えた。一花の事は一切触れなかった。一花の事は、綾芽が帰ってきてから、直接話したほうがいい。綾芽はまた家の状況を尋ねた。柚葉はその質問に一つ一つ丁寧に答えていった。電話を切った後、綾芽はどうもおかしいと感じた。普段の柚葉であれば、綾芽に対してまるで仇のように反抗的な態度をとってくるのに、今日はどういうわけか、かなり態度が良い。しかも、早く帰って慶の様子を見てあげてほしいとまで言われてしまった。兄の傍には今綾芽の存在が必要だと言われたのだ。久子という黒崎家の支えがなくなってしまったから、現実がはっきり見えてきたのだろうか。しかしなんといっても、柚葉のその知らせはちょうど良いタイミングだった。綾芽と慶は今まさに離婚協議の最中で、急いで彼とは関係を修復させる必要がある。そして今、久子という邪魔者がいなくなったので、絶好の機会だ。綾芽はすぐに行動を開始した。飛行機のチケットを買い、颯太を小さなマンションの部屋から両親のもとへと送った。今彼女は仕事が忙しく出張にもよく行くので、両親が怪しむこともなかった。ただ、颯太が綾芽と離れるのが寂しくなり、泣いて一緒に行くと喚いた。まるで父と子の間で何か感じ取るものがあったのか、颯太は突然父親に会いたいと泣き叫んだ。その姿に綾芽は心を締め付けられる思いだった。ただ彼をなだめる言葉をかけて、すぐに父親が会いに帰ってきてくれると伝えた。息子のためにも、彼女はなにがなんでも、慶との仲を戻さねばならない。家のことを済ませると、最後に会社に休みの申請をした。綾芽は帰る途中で、浩之に電話をかけた。浩之はこの時ちょうど外で商談中だった。綾芽が運転しているのが分かると、迎えに来てほしいと伝えられ、綾芽はそのついでに休みをも

  • 偽物クズ夫に別れを告げ、スパダリと政略結婚します   第462話

    「だったらどうすればいいのよ。それじゃ、私たち……一花さんに謝罪のメールでも送る?」柚葉は小声で言った。それを思うと彼女は手が震えてきた。実はさっき病室にいる時、柚葉は長い謝罪文を打っていた。しかし、それを一花に送信することができずにいたのだ。もちろん、彼女の携帯からはそのメールなど送ることはできない。……一花がこんな大物だと知っていれば、最初から良好な関係作りをしておけばよかったのに!柚葉は、一花が黒崎家に嫁いできた時、まだとても優しかったことを覚えていた。彼女は実際、心の中では一花のことを嫌っていたわけではなく、ただ……頼れる家族も家柄も大したことのない女がこのようなシンデレラストーリーになって、嫉妬してしまったのだ。しかし、一花からの好意はとても享受していた。柚葉は好き嫌いが激しい。妊娠中のつわりのせいでずっと食欲がなく、一花はそれを見ると、親切にもいろいろな料理を工夫して作ってくれていた。一花の料理は食欲をそそり、とても口に合った。本当に家で雇っているシェフよりも料理の腕が高かった。一花がいれば、柚葉は妊娠中ずっと気持ちよく過ごすことができた。しかし……一花が素晴らしい人間であるほどに、柚葉は彼女を陥れたい衝動に駆られるようになった。一花の完璧さをどうにかして下げたいと思った。柚葉自身もよく分からなかったが、一花に対する態度はどんどん悪くなっていった。一花が反抗的な態度を見せると、全て一花のせいにした。「こうなると分かってたら初めからしてなかった。後悔したところで意味なんかない!」泰司は白目をむいた。「できるもんなら今謝ってみろよ?自分がどれほど嫌なことをやったのか、今から相手に思い出させる気か?」「……」柚葉は下を向いて後悔していた。泰司は柚葉が本当に恐れているのが分かり、それ以上は何も言わず、イライラしてタバコに火をつけた。黒崎家はもう終わっている。一花がこれ以上何かしてくることがあるだろうか。しかし泰司は、仕事をこのまま続けられるのだろうか。黒崎家と絶縁したところで、今さら遅いかもしれない。「そうだ、それから柏木綾芽とかいう奴がいるだろ?」泰司は何かを思いついたかのように、すぐに柚葉のほうを見た。柚葉はその言葉に瞳を一瞬輝かせたが、すぐにまた暗転した

  • 偽物クズ夫に別れを告げ、スパダリと政略結婚します   第461話

    一花が西園寺家の令嬢だという事実を知ってから、京子の心は逆に落ち着いていた。彼ら黒崎家は今回、予期せぬままに火の中に飛び込んでしまっていた。そして災いから逃れることはできない。柏木綾芽がその元凶であり、一花はさらに彼らにとっての脅威であった。久子はもう倒れてしまった。彼女はもう年だから、もう二度と黒崎家を支える力は残っていない。則孝にはまだ世話する家族が必要だ。だから、京子は慶には立ち上がってもらいだかった。「……」慶は京子の話を聞き終わると、何も言わずに久子のほうへ跪いた。彼は黙ったまま、額を床につけた。その後は、京子がいくら彼を起こそうと名前を呼んでも、慶は一言も発せず、その格好のまま動かなかった。そして夜中、久子の心臓は止まった。黒崎家は全員その周りにいて、医者が死亡時刻を確認したあと、死亡手続きや葬儀の手配にとりかかった。そして慌ただしくしていると、いつの間にか朝になっていた。久子は生前、葬儀は盛大ではなく質素に行ってほしいと遺言を残していた。そしてただ、夫と一緒に埋葬してほしいと望んでいた。だから、遺体は火葬後、遺骨を久子の夫と同じ墓に、そして一部は慶が家に持ち帰り、仏壇に供養することで決定した。京子はもう疲れ果てていて、柚葉と泰司と一緒に少しだけ慶に付き添い、そのまま休憩しにいった。柚葉と泰司も長居することはなかった。則孝のほうも気になっているからだ。しかし、久子が亡くなったことは、暫く則孝には伏せておくことにした。黒崎家を離れる時、泰司が何か言おうとして口には出さなかった。そして道の途中、彼はすぐに柚葉に訴えた。「一花さんはあの西園寺家の令嬢だった。黒崎家はもう終わりだ!一体どうするんだ。一花さんは慶君に復讐してきた、それなら……君とお兄さんは縁を切ったほうがいいだろ!」「泰司、あんた人としてどうかしてるわよ。今は、おばあ様が亡くなったばかりだというのに、なんでそんなことを言い出すわけ?」柚葉は極力その話題を避けたかった。実は彼女自身も心が落ち着かなかったのだ。一花が西園寺家の令嬢だという知らせを受けると、柚葉も全身に冷や汗をかいてしまった。黒崎家だけでなく、泰司自身も身のこなしを上手くしておかないと、路頭に迷うことになってしまう。この時、柚葉は一花が言っていた言葉

  • 偽物クズ夫に別れを告げ、スパダリと政略結婚します   第460話

    慶はずっとベッドに横になり、聞こえないふりをしていた。しかし、久子は全身の力を振り絞るように罵声を浴びてくるほど怒りを露わにさせていたというのに……昨日は倒れることはなかった。「水瀬一花よ。おばあ様は今日あの女に会いに行ったの」京子の冷たい声が響いた。京子が知らせの電話を受けた時、久子はすでに倒れて最も近い病院に運ばれていた。京子も久子の部下に聞いて、久子が一花に会いに行ったことを知ったのだ。「おばあ様はあなたのために、あなたがあの女のせいでこんなに傷ついているのを見かねて、あの女にガツンと言ってやろうとしたのでしょうね。それがまさか……」「一花のところに行ってくる!」慶は目を真っ赤にさせて、京子の話を全部聞き終わるのを待たず、なんとか力を振り絞って立ち上がった。しかし、ここ数日きちんと食事をとっていなかったため、体に力が入らず、立ち上がるのも体が震えてしまった。それなのに今から一花に責任を追究しに行くなどできはしない。「あんた、誰に喧嘩を売りに行こうとしてるわけ?一花さんはね、あの西園寺グループの令嬢なのよ!」京子のその言葉に慶は立ち止まった。彼の体はまるで石化したように暫くの間硬直していた。そしてやっと理解できないといった顔で母親を見た。「母さん、何を言ってるんだ?」「……一花さんは、あの西園寺家の令嬢だったのよ」京子の声は、いたって安定していたが、奥歯を食いしばるかのように、途切れ途切れに言葉を出していた。彼女は慶が来る前に、この事実を知った。自分が最も馬鹿にし、軽蔑していたあの嫁が、黒崎家の全てを奪っていったうえに、彼女自身が南関のトップ富豪である西園寺家の娘になったのだ。しかし、立て続けにショックを受けてしまい、死活問題が目の前に横たわると、彼女がいくら憤怒に燃えようとも、強制的にその気持ちを心の底に鎮めてしまうしかなかった。京子は携帯を差し出した。そこには西園寺家の令嬢に関する記事が掲載されていて、一花の姿もはっきりと写っていた。西園寺家の令嬢はとても控えめな人だと。西園寺匠はすでに他界している。西園寺家の令嬢の話は世間の誰もが知っていたが、その顔は公の場に公表されていなかった。しかし、西園寺家の令嬢が出席したイベントやパーティーは少なくなかった。ただ、黒崎家の誰もがそれには

  • 偽物クズ夫に別れを告げ、スパダリと政略結婚します   第459話

    一花は体の向きを変えて、もう外を見ることはなく、柊馬の体を抱きしめた。柊馬は痛みをいつもの癖で無視したが、身近にいる大切な存在にはいつも敏感に反応が出てしまう。しかし、今は一花が傍にいる。彼女は彼の気持ちを安定させる薬となっている。彼にトラウマを呼び起こさせる時間はどんどん短くなっていた。「分かった。君の言う通りにするよ」柊馬は一花のほうへ顔を傾けた。一花が自分をとても気遣ってくれているので、長年心の中に抑え込んで蓄積されていた冷たさが、温かくなっていく。彼は彼女の耳元に顔を近づけ、一花の熱い息遣いを感じた。自分の人生を安心して彼女に完全に託せるようだった。空がだんだん暗くなり、冷たい雨が続いたとしても、心の中はもう二度と寂しさを感じることはない。「……」久子が緊急で病院に運ばれたという知らせが黒崎家の耳に届いた。慶が急いで出てきた時にはすでに夜中になっていた。柚葉と泰司はドアの外に立ち、柚葉の目は真っ赤に腫れていた。明らかにずっと泣いていたようだ。泰司は彼女の傍に立ち、慶が来たのを見ると、すぐに彼の肩を軽く叩いた。「おばあ様の様子を見ておいで」柚葉は慶の姿を見ると、また言葉にできないほど泣き始めてしまった。「お、にいさん……おばあ、ちゃんが……」「……」柚葉が言い終わるのを待たず、慶はすぐに病室のドアを開けた。部屋の中には、静かに久子がベッドに横たわっていた。彼女の体にはたくさんの管が挿入されていて、ベッドサイドモニタが置かれている。ボディーガードがドアの入り口に立ち、京子が静かにベッドの傍に座っていた。看護師がちょうど久子の腕を拭いているところで、傍にいた医者が何かを話しているところに、慶が急に入ってきた。京子は落ち着いた様子で顔をあげ、慶が入ってきたのを見ると、医者に向かって頷いた。医者は病室を出ようとしたが慶がすぐに目の前に立ちはだかった。「先生……祖母は……大丈夫なんですよね?」「残念ですが、できることはもうありません」医者はため息をつき、それ以上は何も言わずに出ていった。慶は奥歯をかみしめて、顔からは一気に血の気が引いてしまった。彼はすぐに壁に手をつき、自分の体を支えた。柚葉から電話を受けた時には、すでに久子は危篤状態だと伝えられた。最初は慶は信じられなかった。

更多章節
探索並免費閱讀 優質小說
GoodNovel APP 免費暢讀海量優秀小說,下載喜歡的書籍,隨時隨地閱讀。
在 APP 免費閱讀書籍
掃碼在 APP 閱讀
DMCA.com Protection Status