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第79話

Author: 十一
陽一は手を軽く振り、「急じゃない」と言った。

ただのコート一枚のことだし、クローゼットにはまだたくさんある。

「着替えを数着取りに戻っただけだよ。すぐにまた研究室に行かないといけないんだ」

彼の声は重い鼻声で、顔にはマスクを着けていた。その声を聞いただけで、かなりひどい風邪を引いているのが明らかだった。

「ちょっと待ってください」

凛はそう言って振り返り、部屋の中へ入っていった。そして、戻ってきた時には手に保温ポットを提げていた。

「これは昨日作った生姜湯です。熱いうちに飲んでくださいね」

陽一は「生姜」という言葉を聞いて、一瞬眉間にわずかなしわを寄せた。しかし、凛はその変化に気づかず、「袋の中に風邪薬も入っています。使い方は箱に書いてありますから」と丁寧に説明を続けた。

陽一は普段とても健康で、風邪を引くことはほとんどない。それでも彼女の言葉を聞いて一瞬手を止め、保温ポットを返そうかという衝動が湧いた。

しかし次の瞬間、凛の言葉が耳に入った。「結局、昨日は私のせいで、先生が風邪を引いてしまったんです」

陽一の拒絶しようとした手は、再び静かに受け取る動きに変わった。
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Comments (2)
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あんこ
若い時とは違うよ 女性は一度の恋で学ぶ事が男性の3倍はあると思う その差が精神年齢にも関わってくるし
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JhonMeyer
しつこく追いかけて... 不幸にするため... 尚更最低な奴
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