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第60話

Author: 雪吹(ふぶき)ルリ
しかし、刺すことはできなかった。その人は鋭敏に振り返り、真夕の細い手首を一気に掴んだ。冷ややかな怒りを含んだ声が響いた。「真夕!君、何をしてる?」

真夕は一瞬驚き、針が床に落ちた。そこにいたのは、なんと司だった。

司が来たのだ。

「どうしてここに?」

司は彼女を放し、冷たい視線で部屋の中を一通り見渡すと、すぐに耕一に目を留めた。「あいつは誰だ?」

さっき司は耕一がコソコソと真夕の後をつけているのを見かけ、それで後を追ってきたのだった。

真夕は何かを言おうとしたが、外からまた足音が聞こえてきた。彼女が藍のために用意したサプライズが到着したのだ。

真夕は素早く司を引っ張り、二人は一緒にカーテンの後ろへと身を隠した。

司「君……」

その時、ドアが開かれ、誰かが中に入ってきた。

真夕はすぐに司の口を手で塞ぎ、小声で囁いた。「シー!」

宴会の大広間では、彩、平祐、藍、そして池本家の大奥様が、数人の実業家たちと談笑していた。一方、忠行と直子は完全に無視され、嫉妬に満ちた目でその様子を見つめていた。

直子は不満そうに口を尖らせるた。「華は何でも彩より優れているのに、彩は恋がう
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